こんにちはCoffee Fanatic三神です。

最近新たな研究で脚光を浴びているイエメン・・・・。

コーヒーの第二の故郷ともいえるこの国は、最近の研究では現在伝播している様々な品種のルーツでもあり、かなりの遺伝的多様性であふれていることが分かりました。

今のところ新しく確認された特定の品種群は最近では”Yemenia(イエメニア)”と称されて、これから来る新しいブームの到来を予感させます。現在品種名はアルファベットや記号での分類になっていますが、今後はエキゾチックなネーミングが増えてくるでしょうね!!(^○^)

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これだけ重要な国にも関わらず、なぜリサーチが進んでいないのか・・・。

その理由は宗教紛争による政情不安にあります。

詳しくは割愛しますが、現在もほぼ内戦状態で、サウジアラビアを後ろ盾にしているイスラム教スンニ派と、イランをバックにしているフーシ派が争っていて、かなり不安定な状態です。

数年前には空港が空爆されたり、かなりエキサイティングなことになってしまったので、渡航できない国になってしまいました。それまではワタルの社員も昔、出張していたのですけど長らく行けてないですね。

品種の研究や投資は主に西側主導で行われることが多いのですが、イエメンは反米政権で加えて内戦状態だったのでなかなか進まなかった訳です(渡航できないしね)。おそらく今でもイエメンに渡航歴があるとアメリカで入国制限がかかると思います。

そういえば数年前、アメリカ人でイエメンの輸出業者をしているRayyan MillのAndrew氏がSCAA展示会に参加するにあたって大変な目に遭っていましたね。

彼は空港が爆破されていたので海路でまずエチオピアに行くしかなかったのですが、途中で海賊と間違われて拘束され、その後アメリカに渡った時に入管で拘束され(渡航歴がおかしいので・・・)、さらにSCAAが終わってイエメンに帰る際には今度はイスラム武装勢力に拘束されるという散々な目にあった話を覚えています・・・・。(うへぇー(;・∀・))

何とかアメリカに帰れたものの、彼はいまだにイエメンに戻れていません・・・(現地スタッフにメールして仕事している・・・)。

Rayyan Mill

Rayyan Millは数年前にサンプル訴求しましたが、上記の通りうまくいかなかったのか、結局届きませんでしたねー。

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・・・・と言う感じで内戦がぼっ発した2015年以降、イエメンはなかなか厳しい状態に陥りました。

とりあえず船は動いていたので輸入はできていたのですが、当時はいろんなお客さんから「本当に大丈夫なの?」とお問合せいただきましたね(゜-゜)・・・・。

それ以前からイエメンでは水不足が深刻な問題になっていて、もうすぐ地下水が枯渇してコーヒー栽培できなくなると言われていましたが、そういえばどうなったんだろね???

ということで、いつコーヒーがなくなるのか?はたして大丈夫なのか?かなり先行き不透明な産地でしたが、近年ではACEのサポートによるQIMA COFFEEのオークションや、QIMAが出資した品種研究の論文が発表されたりして、にわかに注目が集まっています。

QIMA COFFEE

今回はつい先月(2021年2月)に発表されたQIMAのリサーチについてではなく、それ以前の2014年にイエメンの各大学とリサーチセンターが行った、イエメンの品種群リサーチについて書いていきたいと思います。(Part②でQIMAの内容にふれます)。

それではいってみよー!

Genetic diversity of coffee (Coffea arabica L.) in Yemen via SRAP, TRAP and SSR markers

(訳)SRAP/TRAP/SSRマーカーによるイエメンにおけるコーヒー(コフィア・ アラビカ)の遺伝的多様性

元の論文はResearch GateからDLできるので良かったらどうぞ(^○^)

https://www.researchgate.net/publication/258149144_Genetic_diversity_of_coffee_Coffea_arabica_L_in_Yemen_via_SRAP_TRAP_and_SSR_markers

このリサーチでは様々な遺伝子解析とゲノム分析法に基づいて、イエメンに生育しているコーヒー栽培種の遺伝的グループ分けを行っています。それぞれの分析方法によってはグループ分けが変わったり、異なる事があるのですが、分析方法によって様々な見方があるのが面白いですね!

イエメンのYafea City(ヤフェア・シティー?)から採取された計17種のコーヒー達が遺伝子分析され、以下の様にコードが割り振られました。

【Yafeaのそれぞれの谷から採取された栽培品種】

  • Voters Valley(ボテルス・バレー?)
    • B1、 B3、 B4、 B6(4種)
  • Htaib Valley(ハタイブ・バレー?)
    • C1、C2、C6(3種)
  • Hmouma Valley(ハモウマ・バレー?)
    • E2、E3d、E4a、E4c(4種)
  • Tllb Valley(トゥルブ・バレー?)
    • G2b、G3(2種)
  • Aerqh Valley(アエルク・バレー?)
    • H1、H2、H3(3種)
  • Alogabrin Valley(アロガブリン・バレー?)
    • I3(1種)

計17種

(数字がとんでいるのは、調べたら既存種だったのかもしれませんね)

これらの品種がそれぞれの分析方法で遺伝的近似性に沿った分類がされています。これをまとめたテーブルが下記の物になります。

*Genetic diversity of coffee (Coffea arabica L.) in Yemen via SRAP, TRAP and SSR markers Table 1より

分析にはSRAP、TRAP、SSR。そしてこれらの3つの混合を用いた検査方法を行ったようです。

SRAP Analysis

SNAP(Sequence-related amplified polymorphism配列関連増幅多型)は2001年にG. LiとC. F. Quirosの両氏によって開発された、植物のゲノムのORF(Open Reading Frame)において遺伝的な変異を特定する分子技術です。この技術は近年に発展された分子マーカーシステムで、シンプルかつ、時間当たりの作業効率が良く、数多くのマーカーと共優性を持ち、再現性が高く、順序良く、特に優先順位ごとのターゲット化に優れているそうです(長・・・)。

*ORF:DNA又はRNAの配列をアミノ酸に翻訳した場合に終了コードである終始しコドンを含まない、読み取り枠がオープン状態での塩基配列を指す。

*共優性:どちらの遺伝子も優性である事。血液のO型に対してA型、B型は優性であり、両方の遺伝子が発現する。よってA型、B型は互いに共優性である。

SRAPマーカーは多様な品種群から栽培品種を特定する場合に使用され、遺伝子分析において広く活用されている技術です。

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ナンノコッチャ( ゚Д゚)・・・・・・?

ファナティックはBiology不得意なのでちょっときついですねー。

Gene Techは苦手だなぁ(涙)

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要は、SRAP分析は塩基配列のほんやくコンニャク(どら〇えもん)ってことですかね?グループの中に埋没している特定の一種類を探し出すときに有用なのかな?論文中にはAGTC等の塩基対のデータと難解な分析計算や方法が羅列されています・・・・。

詳細な方法は難しすぎてわからんので要約すると、DNAを増幅(培養??)して分析するみたいですね。増幅方法はコロナ過で皆さんご存じののPCR(Polymerase Chain Reaction=ポリメラーゼ連鎖反応)で検体を増幅するようです。

PCR検査とは

(ふーん。温度変化で遺伝子がふえるのねー(゜-゜))

TRAP Analysis

TRAP(Target Region Amplification Polymorphism指定範囲増幅多型?)。SRAP分析と同じく比較的近年に発展された分子マーカーシステムで、シンプルかつ、時間当たりの作業効率が良く、数多くのマーカーと共優性を持ち、再現性が高く、順序良く、特に優先順位ごとのターゲット化に優れているそうです(同文)。日本語だと“遺伝子トラップ法”と言うみたいですねー。

“ジーントラップ法とはプロモーターをもたないレポーター遺伝子をゲノム中に挿入することにより、ある遺伝子の発現パターンなどを調べる分子遺伝学的手法。すべての生物において、その遺伝子の発現はエンハンサーやプロモーターと呼ばれる塩基配列によって制御されている”(wikipediaより)

TRAP法は特定の遺伝子配列に対してのマーカーを生成する目的で使用されます。遺伝資源の遺伝子型判定、そしてマーカー支援選択での交配等、対象の植物がどのような遺伝的変異を遂げたかにおけるマーカー生成において有用とされています。

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うごわー!!・・・・シ、シヌ・・・(;’∀’)

要は、TRAP分析ではその植物がどのような遺伝的系譜をたどったかが分かるってことかしらね?

SSR Analysis

SSR(Simple Sequence Repeat単純反復配列)は比較的新しいクラスに属するDNAマーカーです。

“マイクロサテライト(microsatellite)は、細胞核やオルガネラのゲノム上に存在する反復配列で、とくに数塩基の単位配列の繰り返しからなるものである。縦列型反復配列(short tandem repeat; STR)あるいは単純反復配列(simple sequence repeat; SSR)とも呼ばれる。繰り返し回数が多くなると遺伝子もしくはその産物であるタンパク質が不安定になりやすく、疾患の原因となるものも存在する。ゲノム中に広く散在しており、普通は中立で共優性を示すことから、集団遺伝学やDNA鑑定のための遺伝マーカーとして利用されている”(Wikipediaより)

SSRマーカーは、迅速な検査が可能で、信頼性高く、マーカーが豊富で、共優性があり、ヘテロ接合性を持ち、多型性で、ゲノムにそって均一に分散されおり、再現性が高く、体細胞性的に安定しており、PCR法を用いた分析に適しているなど、多くの利点を持っています。(・・・・ほんとに多い!!)

*ヘテロ接合性:二倍体生物の染色体がAa , Bb などのように同一でない対立遺伝子をもつ個体のこと

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ゲフゲフ・・・・(/o\)

タヒぬ

タヒぬ

要は、SSR分析は比較的実行しやすく、安定した分析ってことですかね??

結果はっぴょー

【SNAP】

SRAPを用いた分析では、今回の17の品種が3つのグループに分類されました。特にC1とC3にかなりの類似性が見られ、I3とE4cは遺伝的に遠いことが分かりました。C1とC3が近いのは共に同じHataib Valleyから採取されたからだとみられています。

I3はAlogabrin Valleyから。E4cはHmouma Valleyからと言うように別の谷から採取されていました。

【TRAP】

TRAPを用いた分析では、C1とC6が最も高い類似性を顕し、同じくHtaib Valleyで採取されました。この分析方法でも17種の品種は3つのグループに分類されています。

クラスター1(品種群1)はE3dのみとなり、これはHmouma Valleyから採取されています。次のクラスター2(品種群2)はI3のみで、Alogabrin Valleyからもたらされています。その他の15種は全てクラスター3(品種群3)に属することになりました。

【SSR】

SSRではE3dとE4aに最も高い類似性が見られ、最も遺伝的に離れているのはC6とH1であることが判明しました。この分析でも17種の品種は3つの品種群に分類されました。

クラスター1に属するのはC3とC6でHtaib Valley採取されています。クラスター2に属するのはG3とH1でこれらはそれぞれTllb ValleyとAerqh Valleyから採取されました。クラスター3にはその他の13種が属することになりました。

【SRAP+TRAP+SSR混合】

3種混合分析では品種の派生図として樹形図が作成されました。この樹形図はSRAPで作成された樹形図に類似性がありました。3種混合でも品種群の分類が試みられましたが、結果は3グループに分かれ、配分はおおよそSRAP単一での分析に近いものとなりました。

3種混合ではC1とC3が最も高い類似性を顕し、E4cとI3が遺伝的に一番遠いことが判明しました。これもSRAP単体での分析結果と似たような結果になりました。

*Genetic diversity of coffee (Coffea arabica L.) in Yemen via SRAP, TRAP and SSR markers Figure 2より

まとめ

(注)2014年の時点での報告なので、今はもっと分析進んでいると思いますです。

結果としては谷ごとに栽培品種の遺伝的特徴が異なっていることがわかりました。現在ではDNAフィンガープリントの進歩により、分子分類、栽培品種の特定、そしてマーカーを使用した植物選定において、分子マーカー診断はより利用しやすくなりました。数ある分子分析のなかでもSRAP分析は新しいPCRマーカーですが、近年では遺伝資源の特徴、栽培品種の特定、分子マッピング、クローニングなどでの使用頻度が高くなっています。しかしコーヒーの遺伝的多様性においてSRAP分析の有用性はまだ確証されていません。最近では(2014年時点で)このSRAP分析に持続性と信頼性があるかどうかを確認するため、6種のアラビカの交配種の遺伝子分析に使用されたようです。

TRAPマーカーにおいては品種の多様性を高いレベルで明確にすることができます。またTRAP分析はゲノムに散布される多数に及ぶマーカーの生成速度が速く、それによって形成されたリンクが多くの遺伝子情報上のギャップを補完することが可能であることが分かりました。前出のSRAP同様、まだコーヒーの遺伝的多様性についての検証が十分ではありませんが、近年では小麦の遺伝子における多様性の分析において有用な手段として用いられています。

SSRマーカーには遺伝子多型におけるいわゆるコフィア属とC. arabica種間における遺伝的多様性とその構造分析に有用であることが確認されました。複数回における分析の結果、SSRマーカーは狭い範囲での遺伝子ベースを持つ生態における分析手段の一つとして有用であると考えられています。アラビカ種はいわゆる狭い遺伝子範囲での植物であると数多く報告されていますが、イエメンに現在育成しているアラビカコーヒーの遺伝子型の関連性については、まだSSRを使用しての検証がなされていません。

結論

SRAP、TRAP、SSRは3つともイエメンの異なる谷から採取されたコーヒーの遺伝子型における差異の分析において有用であると考えられます。今回の分析によってコーヒーの遺伝子型における遺伝的多様性がイエメンの谷ごとによって存在することが判明しました。3種混合分析で得られた遺伝樹形図はSRAPに基づいた樹形図と類似性があることが分かりました。計37の対立遺伝子がこの17の品種から増幅されました。

こうした今回の発見は生物学分類上の“属”や栽培品種の特定、そしてコーヒーの経済的価値を高める交配戦略としての遺伝子多型研究における将来の礎になると考えられます。

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以上!!

Googleで専門用語調べながらじゃないと全然わからないですね。

・・・・・死ぬかと思った。

あはははははははははは(;・∀・)

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そこに愛はあるのか!?

SRAP細胞ありまーす!?(´Д⊂ヽ

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それはまさに愛の“TRAP”であった。

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