とれぬなら、乾かしてしまえ粘液質!!

ホーホケキョ。ファナティックみかみです。

生産処理編最後!クライマックスのPulped Natural。

たぶんこれが一番種類があってカオス。

でもこれまでに生産処理いろいろ説明したから意外と短く済むかな?

・・・安易な判断は禁物かしら・・・うへへへ。

では恒例の分類から

Pulped Naturalの分類

  • 一般的なPulped Natural
  • Honey Coffee
    • White Honey
    • Yellow Honey
    • Red Honey
    • Black Honey
    • Gold Honey
  • Sweet Sugar
  • Anaerobic Fermentation
  • Perla Negra(ニカラグア方式)
  • Double Pass(Pulped Boia)
  • Sweet Shower
  • Hydro Honey

おお・・・。なんだかよくわからんがすごそうですね。これで全部かな?なんか他にもあるかもしれませんが、とりあえずいってみよー。

 一般的なPulped Natural

以前にも述べましたが、Pulped Naturalは乾燥工程を短くするためにブラジルで生まれた生産処理です。Washed項目でも紹介したPinhalense社の設備などで果肉除去を行い、水路でパーチメントを運搬し、Mucilage(ミューシレージ)と呼ばれる粘液質が付着したままの状態で乾燥工程に入ります。

粘液質は幾分か水溶性なので、水路の中で少し溶解しますが大部分が残ります。乾燥は20日程度。脱殻後の生豆はNaturalとWashedの中間位でやや黄みがかった色をしています。テイストもちょうど中間位。甘さと質感がややWashedより強い感じがあります。昔はSemi Washedとも呼ばれてました。

 Honey Coffeeシリーズ

もともとコスタリカで定着した呼称で、名付け親は某ワタ○社の顧問であった人でした。コスタリカのPuled NaturalのプロモーションにおいてHoneyの名称が提案されてこの名が定着するようになりました。ブラウンシュガーのようなキャンディー色のパーチメントはMucilageの含有率、または見た目の色合で以下のように分類されます。 

White Honey

Mucilage含有率ほぼ0%。前回のSemi Washedカテゴリー機械で粘液質をすり取るMechanical Washedと全く同じです。パーチメントはきれいな白い色。ハニー要素全くありません。なんでWhite Honeyなのか?って聞いたら、パーチメントのセンターカットはどうやっても粘液質取れないからこれもハニーコーヒーだって・・・。ん?・・・なんだと?そんなのほんと微量だろ(怒)。

単に聞こえがいいからWhite Honeyという名称にしただけです。個人的にはそういう発想は気に入らないけどまあしょうがないか。

え?味ですか?Semi Washed の味ですよ。

もともとコスタリカコーヒーは鮮やかな酸が特徴だったので、ある意味これが一番コスタリカらしいのかもしれません。実は結構好みの味。

Yellow Honey

Mucilage含油率約30~50%。通常コスタリカでハニーといったら大体このYellow Honey(イエローハニー)を指します。果肉除去したパーチメントを水路で運び乾燥にかけます。途中水に接触するのである程度粘液質が失われます。場合によってはMucilage Remover(粘液質除去機)を軽い出力でかけて、残留粘液質量を調整します。

ちなみにMucilage含有率は目安です。実際は乾燥後の色合いをみて名称つけてるだけです。乾燥後のパーチメントが黄色/オレンジ色になった物を“Yellow Honey”と呼称してます。

味わいは甘さ、ボディーの印象があがり、酸とのバランスが良い感じですね。

Red Honey

Mucilage含有率100%。Red/Black Honeyは粘液質100%で仕上げられます。この場合、水を運搬で使用すると粘液質が溶け出すので、水路が使えません。水を全く使用しないで、Pulper(果肉除去機、パルパー)から排出されたパーチメントを荷台に直接受けて乾燥テーブルに運搬する必要があります。

これ、大変手間がかかるやり方で作業負荷がとても強いです。荷台の容量は少ないので、パルパーと乾燥台を人力で何往復もしなければなりません。

しかも網状のAfrican Bed(乾燥テーブル)に直接パーチメントを置いてしまうと粘液質が付着して固まり、その後の使用が不可能になってしまうので、一度黒いビニール上に展開して予備乾燥させないといけません。ある程度水分が飛んでからAfrican Bedに移します。

予備乾燥後もかなりべたつくので、撹拌は後半にならないとほぼ不可能。おおよそおにぎり大の塊に分けて乾燥させ、べたつきが少なくなってからバラして乾燥を継続していきます。そうすると赤い色のパーチメントになります。

乾燥は天日で30日ほど、期間はNaturalとほとんど変わりません。しかもナチュラル以上に手間がかかります。

味わいはナチュラルに近づき、生豆の外観も似ています。ロットによってはワイニーな味がする場合があります。

Black Honey

Mucilage含有率100%。作り方はRedとそんな変わりません。ただ乾燥の初期にShadeを使用して日蔭を作りSlow Dry(ゆっくり乾燥)を数日施します。その後はAfrican Bedでの乾燥になります。これも30日以上かかります。

味わいはRedより上品で、Naturalっぽさはあるものの、酸もしっかりしている印象です。まあでもコンディションによるかなぁ・・・。

Gold Honey

Mucilage含有率100%。こちらも途中経過はRed/Blackと同じ。乾燥だけ違います。乾燥の初期にあえて日照の強い時間帯に集中的に天日乾燥させます(黒ビニールの上で)。3日ほどこの工程を経た後にShadeを使用してSlow Dryに移行します。その名の通り黄金色。でもYellow Honeyと見分けつくんかな?もっと色濃くなるかな?

味はYellow Honeyの強化版ですかね?

あ、あと補足なのですが、最終的な呼称は色を見ての判断なので、Blackのやり方しても色が赤かったらRed Honeyです。同じようにRed作ろうとして黒くなっちゃったらBlack

です。・・・そこんとこ宜しく・・・・。

Sweet Sugar

すいーとしゅがー。こちらもコスタリカ。Mucilage含有率200%です。ん?200%??粘液質2倍??そんなことあるの?

どういうことかというと、まず2ロット分の処理を行います。片方はWhite Honeyで処理。もう片方はMucilage100%の処理をしておきます。White Honeyを作る過程でこすり取られた粘液質をもう片方のパーチメントに添加します。なので200%になるわけ。

密閉しないで樽の中に24時間漬け込み、その後乾燥させます。

甘さ2倍!!かな????

Anaerobic Fermentation

アナエロビックファーメンテーション。前回のCarbonic Macerationとちょっと違った形の嫌気性発酵です。上記のSweet Sugarのように樽内部でMucilage200%状態にした後、満杯の樽を密閉します。そうすると初期の発酵で生じた二酸化炭素が酸素を追い出し、嫌気発酵が行われます。もともとはメキシコの発酵の専門家から着想を得たらしいです。この状態で24時間発酵させます。そしてその後22日位かけて乾燥。

これも圧力が強くかかり樽がパンパンになります(どきどき)。気を付けないと開封時に蓋がぶっ飛ぶので注意が必要です。どぱーん!!あぶない!!

味はまさしくシナモンのフレーバーが顕れるのですが、後になって生産者が本当にシナモンを添加していたことが発覚。さらにAnaerobic数ロットがコスタリカのCOEでレギュレーション違反により失格するなどメタメタなことになりました。(通過した物もあり、COE1位になった物もあったような・・・)

そのためシナモン味が発酵で生じるのか、実際にシナモン入れてるからその味がするのかいまだに不透明。とってもグレーなコーヒーになってしまいました・・・。

Perla Negra

ペルラネグラ。英語名ブラックパール。前々回のコスタリカのNaturalではなく、ニカラグアのDon Estebanミル、またはホンジュラスで試みられてるPulped Naturalの生産処理です。粘液質のついたパーチメントを冷暗所内の黒ビニールに薄い層にして敷き詰め、さらに上からまた黒いビニールで密封します。場合によってはチーズを作るときに使用する乳酸菌(カビ菌?)などを添加します。発酵させた後乾燥。そうして出来上がったパーチメントは黒い斑点がたくさんついたまだら模様になります(やっぱりカビ??)。ちょっとグロテスクですね。全然黒真珠じゃありません。ひゃあ。

生産者はうまくいくとコンデンスミルクのフレーバーになると力説しますが、なかなかそういうロットに巡り合ったことがありません(というか出会ったことがない)・・・。コリアンダーの香りがするものもありますが、大抵は糠漬けのようなフレーバーがします・・・・。うーん。これっていいのかしら?

Double Pass(Pulped Boia)

ダブルパス。別名パルプドボイア。ブラジルで行われる処理です。以前にも説明しましたが、熟度が行き過ぎるとチェリーは乾燥し、黒いレーズンのようになり、比重が軽くなります。これをBoia“ボイア”と呼びます。ボイアは比重選別で浮いてしまう上に、果皮が硬くなるので通常のPulperで果肉除去できません。完熟しているのは確実なのに、今までは欠点としてはじかざるを得ないのが状態でした。しかし、これを打開するための方法が編み出されました。それがDouble Pass。やり方は至極単純。

ボイアをタンクに入れ、水で満たして一日位置きます。そうすると果皮がふやけます。そして通常の処理のごとくPulperにかけて果肉除去します。その後Pulped Natural処理。

熟度が高いので甘さが強くNaturalにかなり近い風合いになります。

いちおうBoiaを処理するものですが、普通にCherry状態で収穫し、わざわざNaturalに仕上げてから上記の方法で処理することもあったような気がします。

Sweet Shower

すいーとしゃわー。ブラジルIrmas Pereira農園で行われる方法。生産処理は午後、または午前に行うのですが、Cherryの収穫が朝の場合は正午位にウエットミルを回し、収穫が夕方近くになる場合は、翌日の午前に稼働させます。後者の場合、Cherryは一晩タンクに置いておかれることになります。ぽつーん

前回Double Fermentationのところで説明しましたが、収穫後のCherryは自分が持つ酵素等で自己消化や発酵が始まります。発酵は糖分を消費するので、甘さが減退すると考えられます。そう仮定すると収穫後から処理までに時間を置くと糖が消費されてしまうことになるので、それを防ぐため、夜の間スプリンクラーでCherryに水を散布して冷やし続け、なるべく発酵させないようにします。

そうして処理されたコーヒーは甘くなるはずだという論理です。

そもそも産地の夜は結構冷え込むので、果たしてこのシャワーに効果があるのかちょっと懐疑的ですが、発酵をできるだけさせないというアプローチが面白いですね!

Hydro Honey

はいどろはにー。今度はコロンビア発の処理ですね。Sweet Showerと真反対の発想で、収穫後のCherryを3日位放置して、自然発酵?熟成?させます。その後Pulperにかけて、各種Honey製法にて仕上げます。

これも甘さ、ボディが強めに形成されますかね。

・・・

こんなところかなー?

今回はやはり恐るべき長さになりましたねー。

でもしょうがないですねー。

この製法はいろいろ発明されてますからねー

そういえば余談ですが、Natural編でDOT(必殺技じゃないよ。それはDDT・・・)紹介するの忘れましたね。樹上完熟、Dried on Tree・・・ナチュラル編に加筆しました。

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同じハニーでもあなたにならトラップされたい!!

Black Honey Trap!!

いやーん