こんにちはCoffee Process Fanatic三神です。

日進月歩で革新が進むコーヒー業界・・・・。

なんか言ったもん勝ちな世界のような気がしますが、年々新しい生産処理が生まれていることに目を背けることはできません(笑)。ちゃんとリサーチしていないと気が付いた時にいろんな生産処理が増えて困るので、今回メモることにしました。うほ♡

(ちなみにアイキャッチ写真はコスタリカ、タラスのケニア式)

いざ蓋を開けてみるとこれまた奇妙で複雑な処理がいっぱい!!

今回は以下のProcessを取り上げてみます!

  • Double/Triple Anaerobic
  • 720 hours Anaerobic
  • Gold WashとBlack Lime Honey
  • Mosstoを利用したAnaerobic Natural
  • Thermal Shock Washed
  • Supersonic Project
  • Raisin Honey
  • Barrel Aged
  • Infusion Coffee

・・・・・

それでは行ってみましょう!!

まずはAnaerobic Fermentationのおさらい

最近流行りの生産処理。俗にいう“嫌気性発酵”を取り入れたコーヒーの生産処理です。もとネタはフランスのボジョレー地方で行われているワインの搾汁、浸漬、発酵方法ですね。この浸漬/発酵法を”マセラシオン・カルボニック(仏)=“Carbonic Maceration(英)”と言います。

Carbonicと言う風に書いてあるので、炭酸ガスを封入しているかと言うと、そういう訳ではなく、密閉したタンクにブドウを入れていると、まず自重でつぶれ、初期の発酵で発生した炭酸ガスが、酸素を上部に追いやって(二酸化炭素の方が比重は重い)タンクの内圧を高めます。そしてその圧力でさらにブドウがつぶれて、果汁を絞ることができます。密閉するだけで果汁が絞れるので簡単なうえに、酸素による酸化ダメージが少ないのが特徴です。これによりバナナのようなMC(マセラシオン・カルボニック)香が発生します

コーヒーに適用された方法だと以下の3パターンあります。

  • 気密性の高いタンクに密閉して嫌気発酵=Anaerobic
  • 気密性の高いタンクに密閉して、さらに炭酸ガスを吹き込んで嫌気発酵=Carbonic Maceration
  • パーチメントやチェリーの乾燥に使うビニール、もしくはGrain Pro等を使用して嫌気発酵=Semi Anaerobic

上記のいずれかの方法をチェリーで行うとAnaerobic Naturalでコロンビア式。果肉除去をしたミューシレージが付いたパーチメント状態で行うとAnaerobic Honeyでコスタリカ式になります。

コーヒー業界だと、炭酸ガスを人為的に吹き込む物をCarbonic Maceration。吹き込まない物をAnaerobicと表記を分けていますね。まあ・・・・炭酸ガスを無理に入れなくても、自然に発生するので、最近は密閉するだけのAnaerobicを採用しているところが多いですかね?

なおビニール等で行うSemi Anaerobicは気密性がないので、実質ただのワイニーやファンキーナチュラル的な発酵になってしまうことが多いです。

Anaerobic Naturalのフレーバーはバナナ、バブルガムフレーバー、ベリー類等のMC香が出るのでちゃんと成功したかどうかはカップでしっかり判断したいですね。

(Anaerobic Honeyはシナモンフレーバーが出る事になってるけどちょっと怪しい・・・・。)

Double/Triple Anaerobic

コロンビアの農園で行われている生産処理で、嫌気発酵工程を2~3回取り入れています。上記で説明したように嫌気発酵はチェリーで行うタイプと、果肉除去したハニー状態で行うタイプがあり、Double/Triple Anerobicはこれらのタイプを組み合わせて行います。

【レシピ♡】

  1. チェリーの状態で嫌気発酵(1回目)
  2. 果肉除去した後ミューシレージが付いた状態で嫌気発酵(2回目)

*どちらかの工程で一度吸気して、再度嫌気保管させた場合は1カウントを増やして“Triple”と呼称するらしい。

コロンビアのEl Paraiso農園(Cauca)、La Maria農園(Huila)などで採用されている方法です。

El ParisoのDouble Anaerobicをカップしましたが、イチゴジャムまんまの味がしました。人工的な感じが強く怪しさ満点ですが(発酵槽にイチゴ入れてんじゃないだろうな・・・)、まあ特徴はかなり強いですね。

720h Anaerobic

Cherryの状態で720時間密閉タンクにてAnaerobic Fermentationを行います(長が!!)。これだけで30日を要します。・・・・大体ナチュラルの乾燥は4週間~30日なので、乾燥まで含めると2か月かかりますね・・・。失敗したら船積みが間に合わなくなるのでその年の再生産は不可能でしょうね(;゚Д゚)。

【レシピ♡】

  1. チェリーの状態で720時間(30日)嫌気発酵

かなり強い発酵、ベリーフレーバーが伴うようです。発酵臭がかなり強い場合には発酵中の温度が高いことがうかがわれます。・・・その場合は実質ファンキーナチュラルに近いかもしれませんね・・・。

これもコロンビアEl Paraiso農園(Cauca)で行っています。日本で飲んでみたかったら、〇〇〇〇〇Coffeaさんで飲めるかも(^○^)。

Gold WashとBlack Lime Honey

両方共チェリーを嫌気発酵した後でPulping(果肉除去)し、そこにはぎ取った果肉の絞り汁=ジュースを投入。再度発酵させるという生産処理です。ジュースはパルプを粉砕して漉した物、もしくは最初の嫌気発酵で下にたまったジュースを使うバリエーションがあるようです。こうした果汁は“Mossto”と言うらしいです(ふーん)。

【Gold Washのレシピ♡】

  1. チェリーをバックの中で水に一日漬ける
  2. チェリーの状態で96時間嫌気発酵
  3. 果肉除去
  4. パルピングしたCherryの外皮を破砕し、漉して果汁(Mossto)を作成
  5. 果汁をパーチメントへ添加
  6. 果汁と共に72時間嫌気発酵
  7. 水洗

Black Lime Honeyのレシピ♡

  1. Gold Washと同じ工程を上記の6まで行うが、全生産処理行程のPHを果実のライムと同じPHに合わせて酸度調整する。
  2. 水洗を行わないで、ミューシレージが付いたパーチメントをアフリカンベッドへ移動
  3. 18~20日乾燥させてBlack Honeyに仕上げる

怪しいコーヒーを多く世に放ってきた(笑) Camilo Merizalde氏・・・・。彼が所有するコロンビアEl Santuario農園(Cauca, Popayan)で新しく採用された生産処理方法です。まあこれもDouble Anaerobicですな。

水洗するのをGold Wash。ハニー処理するのをBlack Lime Honeyと言うようです。ライムと同じPHを維持しているので、Black Lime Honeyはライムのような酸があるとの事。・・・・ライムのPHは2位ですが、この環境で酵母とかバクテリアって生きていけるのかな??????(;゚Д゚)

そもそもどうやってこんな低PHを達成するんだ??酸性に誘導する場合、通常は有機酸とかの添加だけど・・・・。やっぱりライムジュースぶち込んでるんじゃないだろうな?(笑)

ファナティックはこの間Gold Washをカップしましたが、ナツメグや花山椒のニュアンスがありてエキゾチックなAnaerobicでした・・・。なんか怪しいですけどねー・・・・。

Camilloのお友達のLuis Paulo(Carmo Coffees)もやっているようなので、その内BrazilのSantuario Sul農園でも見かけるかも?

なんだか金のバブル(Gold Rush)を予感させますが、果たしてGold Washのブームは来るのか・・・・!!!?

コスタリカのMosstoを利用したAnaerobic Natural

もう一つはコスタリカの方法です。ちょっとMosstoの定義が上記のコロンビア版と異なります。こちらでは嫌気発酵で底に溜まった発酵果汁のことを指します。

【レシピ♡】

  1. まず何らかのチェリーの状態での嫌気発酵を行い、発酵後に下にたまったジュース(Mossto)を回収
  2. イーストや細菌などの微生物をふんだんに含むMosstoを新たに嫌気発酵するCherryに投入
  3. 密閉タンク(ワンウエイバルブ)にて24時間嫌気発酵
  4. その後一度水洗いして乾燥工程に入るナチュラル

嫌気発酵は一回ですが、別のバッチで滞積した発酵果汁を再利用する方式です。

https://www.allycoffee.com/coffees/aquiares-esperanza-anaerobic-natural/

同じコスタリカのVolcan Azul農園がオリジナルで、コラボによってAquiares農園で行われたみたいです。(・・・・・F1 Esperanza種ってなんだ?また新しい品種かよ・・・・(*_*))

http://volcanazul.com/

なんでも使用したMosstoは繰り返し使うようで、発酵回数を重ねる度により複雑な微生物体系を獲得していくらしいです(うほう)。

これはまるでアナゴとかウナギのツメと同じではないか!!!(゚Д゚)ノ

Mosstoは農園門外不出のタレなのですね!!!

・・・・おいしそう????

・・・・

Thermal Shock Washed

・・・・なんか心臓発作を連想させる名前ですな(゜-゜)・・・・・。これもコロンビアのEl Pariso農園で行われています(掲載頻度が高いなこの農園)。この生産処理方法は温度差を利用してコーヒー生豆繊維を広げる方法です。

発酵槽で温水を使用することでパーチメントが開く⇒チェリーパルプやミューシレージのエキスが内部に浸透(パッションフルーツやマンゴー果汁を添加することもある?)⇒温度を下げてパーチメントを引き締めることによって果汁をがっちり吸収させる。

・・・・てな感じ♡

【レシピ①♡】

  1. チェリーをバック(収穫用?)内で19℃の温度で24時間保管
  2. パルピング後、24℃の水温で36時間水洗発酵
  3. 発酵後40℃の温水で洗浄
  4. 洗浄後12℃の水でパーチメントを冷却
  5. メカニカルドライヤーを32℃に設定し、水分値が11%になるまで乾燥

Thermal Shock

パティオを使用しない理由は、日中は温度が上がりすぎて夕方では下がりすぎるため、温度差が大きすぎて一貫性を保てないからだそうです。マシンドライヤーだと乾燥のクオリティーが心配ですが、32℃は比較的低いので、スロードライになるのかもしれませんね。

*メキシコやサルバドルでは40℃(コンクリートパティオ表面の想定温度)に設定したマシンドライヤーで最初から乾燥させるので、高温乾燥になり、白変劣化しやすいとされている(大体白くくすんで日本に来る・・・。合掌)。

【レシピ②♡】

  1. チェリーを18℃の環境で48時間嫌気性発酵(プレッシャーリリースバルブ付き)
  2. パルピング後、20℃の環境で48時間2度目の嫌気性発酵(Double Anaerobic)
  3. 40℃の温水で洗浄、12℃の水で冷却(Thermal Shock)
  4. 35℃の環境で34時間乾燥。(25%の水分が10-11%位になるまで)

Thermal Shock②

(Presser Release Valve付だからきちんと密閉させてるのね)

レシピ①、②両方ともEl Paraiso農園の方法ですが、若干の違いはあるものの概要は同じですね!

このコーヒーを飲めばあなたのSoulもThermal Shock!!(; ・`д・´)

・・・・かな?

・・・・・・

Supersonic Project

何をもって音速なのか・・・・?マジで意味不な生産処理プロジェクト・・・。Project Originを率いるSasa SesticによるNatural Processです。Sasaはバリスタの世界チャンピオンで、コーヒーの生産処理に初めてCarbonic Macerationを導入したコーヒーを使用し、鮮烈な優勝を勝ち取ったバリスタですね!Ona Coffee Roastersを主宰しており、今ではバリスタの多くが使っているDistributor(Leveler)=OCDの発案者でもあります(多才な人やね)。

このプロセスを行うと、Fruit Bomb(フルーツ爆弾)と形容できる、チェリー、ブルーベリー、ストロベリー、ジューシーなスグリ、キビ砂糖の強い甘さとクリーミーなボディーが感じられるそうです・・・・(ほんまかいな?(゚Д゚)ノ)。

【レシピ♡】

  1. アフリカンベッドにてチェリーを30cmの層にして配置
  2. 最初の3日間は24時間ごとに攪拌して発酵を弱めていく
  3. その後はチェリーを薄い層にする(クリーンカップ性を高めるらしい)
  4. 水分値が16%になったら冷暗環境で7日間保管する(糖分を安定させるらしい)
  5. 再度アフリカンベッド戻し、薄い層にして7日間乾燥。もしくは水分値が12%になった時点で終了

4週間ほどかかる複雑な乾燥工程・・・。

Supersonic Project

名前の割にはかなり地味な生産処理ですね。Super Sonicらしからぬほど時間がかかっています(/・ω・)/。

エルサルバドルでは有名なFinca Himalaya農園(Apaneca)で採用されました。

Raisin Honey

レーズンのようなHoney Coffee。・・・・と言う事だと思います?

【レシピ♡】

  1. 収穫後のチェリーをアフリカンベッドにて一夜置く
  2. 水でチェリーをすすいだ後パルピング
  3. 13~15日間乾燥させる

これこそ一夜干し!!( *´艸`)

今までの生産処理と比べると、プロセスとしてはかなり普通な印象を受けるハニーコーヒー・・・。コスタリカのFinca Chopin(Tarrazu)やFinca Senel(Brunca)で採用されました。

2018年のWCRC(World Coffee Roasting Championship)で出てきましたが、その後はとんとこの生産処理名は耳にしませんなぁ・・・・。

Barrel Aged

生豆、もしくはパーチメントを使用済みのスピリッツの樽で熟成させたコーヒーです。樽の種類にはワイン用オーク樽、バーボン樽、スコッチ樽、シェリー樽など色々あります。

スタバの影響で最近ちらほら耳にすることが多いのですが、実は2012年頃に実験そのものは始まっていて、最初はCeremonyというアメリカのロースターが始めました。ファナティックも2015年位の時にコーヒーニュースで耳にしたことがあります。

Barrel Aged

Ceremony Coffee Roaster

でも今はやってないみたいですね。バリエーションは2つあり、1つは生産国で生産処理工程に樽貯蔵を挟む物。もう一つは消費国でGreen Beanを樽に貯蔵する物です。

生産国の場合(メキシコ)

乾燥パーチメントの状態でウイスキー樽に貯蔵。3週間ほどAgingさせる。脱殻後船積み。

消費国の場合(スタバ)

スラウェシの生豆をウイスキー樽に貯蔵。数か月間Agingさせる

*消費国その他のロースターでは樽を回転させたり、頻繁に攪拌を行うことによって香りを生豆に定着させる。Aging期間はロースター次第で、樽の種類は色々あるが、厳密にはどういった銘柄に使われていたかは大抵不明。

両方共使用済みのスピリッツ樽を使用しますが、産地でAgingしたものは到着後貯蔵期間が短く、かなり風味が抜けているという結果になっています。・・・まあしょうがないですね。長く熟成させると船積みに間に合わないから翌年の輸出になっちゃいますからねー。

・・・・でもブルマンみたいにそのまま樽で輸出したら面白いかも( *´艸`)

Infusion Coffee Project

Roast Design Coffee発!!!Barrel Agedから着想を得て私、Coffee Fanatic三神が発明しました。ぱちぱちぱちぱち。

Barrel Agedはロマンがあって面白いのですが、何点か問題点がありました。

  • なんのスピリッツをAgingしていた樽なのかわからない(銘柄ね)
  • 基本的に香りしか移らない
  • 香りを定着させるのに時間がかかる
  • 樽の置き場所・・・・・・(゜-゜)

・・・・・・というところで、ファナティックはまず“ブランドの明らかな銘柄”と“スピリッツの味”という2点を重要視して、作成しました。

実際に使用している銘柄は・・・・

  • Guatemala Ron Zacapa 23(ラム)
  • Old Forester(ケンタッキーバーボン)
  • Glenmorangie 10 years(スコッチウイスキー)
  • Yamazaki(ジャパニーズウイスキー)
  • Henesy Very Special(コニャック)

知名度もあって、しっかりした品質のものを使用しています!

(商標の問題があるので、銘柄はパッケージでは謳っていません)

生豆に飲ませるのはもったいない( *´艸`)・・・・。

・・・本当はベンチャーウイスキーとかマイクロディスティラリーで作りたいのですが、知名度があんまりないのと、入手が不安定なので今のところ取り組めてないです・・・・。Kovalとかもおいしいんだけどねー・・・。

しっかりしたブランドのスピリッツの価値、味、香り!そしてコーヒーとのマリアージュを楽しんでいただくべく、新しいカテゴリーとしてのコーヒー・・・・Infusion Coffee Projectを立ち上げました!!

【レシピ♡】

  1. スピリッツを計量
  2. RDC秘伝のレシピでスピリッツを生豆に混合
  3. RDC秘伝の貯蔵方法でAging
  4. Infusion Coffee用のファナティックローストでおいしく焙煎(笑)

以上!!!

え?ちゃんと説明してないって?(笑)

・・・・はっきり言って生産処理ではなく、フレーバーコーヒーの一種ですが、ぜひRoast Design CoffeeのInfusion Coffeeを試してくださいな( *´艸`)

コーヒー戦国時代

ここまで書いてると、特殊な生産処理に否定的な方も多いかと思います。現在のコーヒー生産地はより素晴らしいプロファイルを求めるため。そして生産性と病害虫の耐性を高めるために様々な品種改良と非伝統的な生産処理が入り乱れる状態となっています。

温暖化による病害虫の発生頻度の高まりもあり、生産国において伝統品種にこだわる姿勢が年々低くなってきています。何かが良ければすぐ採用するようなアグレッシブさがある反面、生産者のコーヒーづくりに関する、ある意味哲学的な側面は少ないようにも感じられます。最近は特に上記で示したように、派手なフレーバーを可能とする発酵方法や、他の果実のピューレーを発酵槽に投入するといった人為的なフレーバーの添加なども行われるようになってきました(もちろん保守的な人たちも多くいます)。

そうすると本来のコーヒーの味が何なのか?・・・・何が素晴らしいコーヒーの定義なのかが分からなくなるという側面もあります(まあこれはこれで面白いけどね)。

実際コーヒーのお手本になっているワイン業界の方は原産地統制呼称などがあって法整備整っているので、品種や生産方について厳格なレギュレーションを定め、それぞれの生産地域の伝統と品質、ブランドの維持と保護に努めています。

ではそれが最適解かと言うとそういう事でもありません。

フランスのワインの原産地統制呼称=AOC(Appellation d’Origine Contrôlée )で制定されたワインの生産地区、いわゆる村名や区画名での格付けは1935年に制定されてからほとんど変化、更新がされていないです。AOC以前からあった1855年に制定されたメドックの格付にいたっては2級であったシャトームートンロートシルトが1級に昇格された以外は格付けが改定されていません(もはやガラスの天井・・・・)。

AOC

フランスのAOCは格付けが固定されているため、もうどうしようもないんですね。例えばブルゴーニュ村のムルソーと言う地区は素晴らしい白ワインの産地として超有名なのですが、実はこの村には特級畑が存在しません。1級までしかないです。他のモンラッシェとかコルトンとかの村には特級が制定されていますが、ムルソーにはないのです(いろいろ事情がある)。

どんなに頑張っても、素晴らしいクオリティーができても、法律は動きません。なので、“1級=プルミエクリュ”以上の区画がないので、特級=“グランクリュ”を公言できない訳です。そして当たり前ですが、ムルソーの村名のAOCを名乗るためには、法律に準拠した醸造方法と品種を使用しなければなりません。

作り方と栽培品種を違反したら“ムルソー村のワイン”を名乗ってはいけないのです。

( ゚Д゚)

・・・・・・

そうすると若い作りや新規参入者のモチベーションをそぐわけです。

もし自分が親や親戚から特級の畑や、テロワールの優れた区画を継承したらウハウハですが、新規参入者や良い畑を持っていない生産者はとっても不利になる訳です。もちろん特級の畑を買ったり、ブドウを買い付ける事は理論上できますが、まあまず新規参入者には売ってくれないですね。生産量も限られているし・・・。

そうすると若手や新規参入者は、新しい醸造方法や自分の畑にあった品種を採用する作戦に行きたいところですが、そうするとAOCに抵触するので、一番格下のテーブルワイン=Vin de Tableの表記になります。

仮に上記のムルソー村でそういうことをすると、ムルソー村で作ったワインだと名乗ってはならないのです。

若者や新規参入者はもちろん心も若い訳です。新しい発想に満ちていることもあります。そうすると「なんで昔の法律と伝統に縛られなきゃいけないんだ?」という気持ちになってもおかしくないのですよね。

フランスの各地域のワインは大体それぞれの特徴がありますが、そういった各地方の典型的な味づくりをそれとなく強制されてしまっているような部分もあります。

もちろん伝統とブランドの継承を誇りに思ってワイン造りをする若者もいるでしょうが、こうしたAOCがブランドと品質を守りつつも、一方で新しい革新を阻害するような要因にもなっているのは事実でしょう(スーパートスカーナーみたいな例もあるけどね)。

Super Tuscan

コーヒー業界ではまだこうしたAOCのような細かい品種と生産方法の整備がないので、戦国時代の様に様々な品種と生産処理相乱れ、次から次へと試されている状況です。

情報の透明性と消費者の選択

奇妙な生産処理や派手なフレーバー、極端な品種選好等に眉を顰めたくなるコーヒーラバーも多くいらっしゃるでしょう。しかし、これは何が良いか?悪いか?と言った事ではありません。

上記の通り、余りにもストイックに伝統品種や従来の生産処理にこだわると、抜きんでたコーヒーを生み出すことは現実的に難しい現状があります。反対に派手な味が出るからと言ってフルーツを発酵槽に入れるのは、そもそもコーヒーの味を楽しんでいるのかどうかが根本的に疑問でもあります。

ここで重要なのは消費者がどういった生産処理や品種を使ったコーヒーなのかを知ることができるかという事です。大事なのは消費者が選べるという点ですね。

ワインでも醸造用の樽にスコッチウイスキーの使用樽を使うメーカーもあります。こうしたワインには当然モルトやウイスキーの香りがつきますが、全くそういうことをオープンにしないで、そのフレーバーをワインその物の個性だと消費者が思っていたら、スコッチ樽を内緒で使っていた事が判明したとたんに「騙された!!」・・・・と思うかもしれません。

でも最初からスコッチの樽で熟成したワインだと謳っていれば、それが面白いと思う人は買えばいいし、純粋じゃないと否定したい人は買わなくていい訳です。

こうした生産処理や品種の情報の透明性があれば、何が良くて悪いなどと言う事がなくなります。好ましくないと思えば選ばなければいいのです。そうすれば自然にそれぞれのマーケットが整理/形成されていくわけですねー。

・・・・・・

と、今日はこんなところかな?

気が付いたら8000文字超えとる!!!!

うほほ。

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化粧は嫌だと!?

すっぴんが良いだと!!!?

愚か者め!!!!!!!!!!!!!!!

メイクしていようとなかろうと、お出かけ用のお顔こそ、

愛しのハニーの真のすっぴんなのだ!!!

ぬははははははははははははははは