たゆまず動かず天日にさらされるコーヒー達。

微動だにせず、その実を太陽に身を任せる様はまさに無為自然・・・。

無為自然ふぁなてぃくみかみです。

生産処理シリーズ、ナチュラル編に突入したいと思います。

前回で大まかな3種類の生産処理を区分しましたが(Natural, Washed, Pulped Natural)、今日はNaturalにフォーカスして掘り下げたいと思います。びよーん

Natural Coffeeのバリエーション

  • 一般的なNatural
  • Perla Negra(コスタリカバージョン。ニカラグア/ホンジュラスのとは違います。)
  • Winey Natural
    • Layer式
    • Mountain Dry式
  • Funky Natural
    • Water Contact式
    • Rwanda式
  • Carbonic Maceration/ Anaerobic Fermentation
  • DOT(Dried on Tree)

こんくらいかな?最近は処理が複雑で混じってるから分類がむずかしいですね。最終的にコッコ(乾燥したチェリーの名前)の状態でDry MillにてHulling(脱殻)されるものがNaturalにあたりますかね。

一般的なNatural

一番シンプルな方式ですね。ピッキングしたCherryをそのままコンクリートパティオに広げて乾燥させます。収穫後、乾燥させる前に再度ハンドピックして熟度の高いCherryをソーティング(選別)する作業があります。産地行くと女性達が総出で、手作業で行っている風景をよくみますね。

それ以外には、サイフォンと呼ばれる貯水タンクにCherryを投入して、沈んだ密度の高い物をソーティングする方法もあります。(ウエットミル/水洗設備で比重選別水路に通す方法もありますね)

乾燥前にソーティングしておかないといけない理由が実はちゃんとあります。チェリーは乾燥が進むと青い未熟果実も完熟果実もまったく同じ黒いレーズンみたいな色に変色してしまうので、乾燥後の選別は目視では不可能なのです。なので乾燥前に手作業や比重選別で熟度をそろえる必要があります。そうすることで以下の物がはじき出されます。

  • 青いチェリー
  • 比重の軽いチェリー
  • 乾燥、追熟が行き過ぎて黒いレーズンみたいになった物(通称ボイア)
  • 剥けてしまったチェリー
  • 夾雑物

乾燥は約4週間から30日。天候によって期間が変わります。水分値約12%程度まで乾燥するのが一般的ですかね?もし途中で雨が降ったりした場合は黒いビニール袋で覆って雨露をしのぎます。また明け方も結露するので夕方以降はビニールで覆って夜を越します。

ちなみに水を使った比重選別を行っていないNaturalでは乾燥後、出荷直前のDry Millでの精選がかなり重要です。Dry Millの詳細な行程はまた別の機会に書きます。先ほどソーティングで熟度をそろえると言いましたが、Cherryの中には見た目は真っ赤なのに、内部の生豆に発達異常、不足が発生している場合があります。

サイフォンやウエットミルで水を使ってチェリーの比重選別をしていればまだ大丈夫なのですが、そうでない場合はDry Millで精度の高い比重選別やスクリーニングを行う必要があります。なのでNaturalの場合は特にDry Millingにはこだわりたいですね・・・。

Perla Negra(African Bed乾燥)

英語でいうブラックパール。“黒い真珠”と言う意味です(きれいな黒い色してるからかね?)。ちなみにここではコスタリカのNaturalを指します(ホンジュラス、ニカラグアはPulped Naturalのカテゴリー。次々回に解説するね!!)。

Perla Negra方式では熟度の高いチェリーをハンドピック(選別摘果)した後に水を使って比重選別を行っています。

そしてさらにAfrican Bed(Suspended Patioともいう)という高床式でネットが張られた乾燥台でゆっくり乾燥されます。より気を使っている所だと、乾燥台の上にひさしがあって直射日光を防ぐものシェードタイプのものや、グリーンハウスみたいにビニールの小屋の内部に設置されている物もあります(セカドーラって言います・・・スペルわかんね・・・汗)。

コンクリートパティオみたいな地面ではないので、ほこりや異物、バクテリアなどの混入が少なく、また下面がネットになっているので乾燥効率がいいです。それでも3-4週間はかかります。最近コスタリカはSlow Dry(ゆっくり乾燥)にこだわっているので(その方が生豆内部のフレーバー、糖結晶を傷めず、水分活性値を低く維持しやすいらしい)、結局30日位かけているところもあります。

なおAfrican Bed発祥のアフリカ、特に最近のルワンダやブルンジは上記シェードのついた乾燥棚でNaturalやったりしてますね。最近はワイニーなフレーバーが流行っているので、次の処理を組み合わせる場合も多いです。

Winey Natural

ワイニー(ワインみたいな)とういう単語は正式には存在しないので、正確なスペルがいまいちわかりません・・・ぼよーん。意図的に乾燥初期、もしくは直前にCherryの水分値を高く維持して、しばらく内部発酵させたものです。これを行うとより果肉の味が強く発現し、ワインのようなやや発酵した果実の風味が発生します。なんかとっても良さそうですが、作り方は実はそんなに難しくありません。

  • Layer式

乾燥時にCherryをあまり広げないで厚い層にして乾燥させます。具体的に何センチの層にするのかはそれぞれの生産者のノウハウですが、層にすると内部のCherryの水分が高くなるのでそこの部分が発酵します。期間は2、3日位ですかね?Naturalに限らず、乾燥時は大体30分ごとに撹拌したりするのですが、この期間は水分が抜けないように撹拌を控えます。この期間が終われば通常の乾燥に入ります。

  • Mountain Dry式

コンセプトは上記Layer式と同じです。こちらは山の様に円錐形に積み上げることで内部の水分を高めます。見た目が山だからMountain Dry・・・。そのまんま!!

Funky Natural

Funkyは泥臭いとか野暮ったいという意味なのですが、その名の通りこのNaturalにエレガンスは微塵もありません。Winey Naturalよりもさらに発酵フレーバーを増大させたものです。強烈な発酵香で、もはやコーヒーの元の味が何だかわかんなくなる位です。生豆の見た目(アピアランス)も茶色くなってて、はっきり言って発酵豆だらけ!欠点そのものです。ちゃんとお国に説明しないと生産国の輸出規格通らないですね・・・。全部発酵でアウトじゃ!!

とにかくこの強烈な個性はぜひ一度試してみるといいかも。えへ。

  • Water Contact式

収穫されたCherryで満たされた、60kg位の収穫袋にバケツで水をじゃぶじゃぶ注ぎ、水に漬けこみます。(初めてニカラグアで見た時はほんとにびっくりした・・・!)もはや水分高くするというよりも、意図的にCherryを“腐らせ”に行っている感じです。さらに発酵を強くするには日照が強い時間帯にその袋を直射日光にあてて温度をあげていく場合もあります。

  • Rwanda式(実質Buf Coffee式・・・。)

2種類あって上記のニカラグアに近いやり方ですと、雨よけなどに使う黒いビニールシートの中にCherryをいれて、水をぶっかけてから密封します。それをAfrican Bedの上で日光にさらします。大体1、2日位ですね。黒いビニールなので熱の吸収がえぐいことになります。内部は50℃超えるんちゃうかな・・・?

もう1つはグレインプロと呼ばれる生豆輸出用の穀物ビニールにCherryを入れて、そこにメカニカルウオッシュで取り除いた別のロットのコーヒーの粘液質(ミューシレージ)を投入します(うわお!!)。そしてAfrican Bedで日向ぼっこ。これは本当に発酵がやばいのでグレインプロにあらかじめ針で穴をあけます。そうしないとグレインプロがパンパンに膨らみます。どかーん。

一応Rwanda式と書いてありますが、これらは実質Buf Coffee社でのみやっている内容です。Samuelさんは研究熱心なので・・・。

Carbonic Maceration/Anaerobic Fermentation

カーボニックマセレーション/炭素発酵(マセレーションは浸すって意味だけどね)。フランス後読みだと、“マセラシオンカルボニック”って読んだ覚えがある。これはワイン業界から引用した生産処理ですね。ふぁなてぃっくはワイン業界に少しいたので、聞き馴染みがありますね。10年くらい前にコーヒーでCarbonicとかMalolacticとかやった面白いのにー・・・とか思ってたらほんとに実現しましたね。ぱちぱち。

最近はワイン業界のコンサルタント入れて生産処理してる生産者多いから、ルモンタージュとかピジャーシュとかドサージュとかその内やりそうですね。意味あるかわからんけど。

初見はColombia Santuario農園で作られたものが初めてかな?WBC(World Barista Championship)でオーストラリアのSasa Sesticが使って優勝したやつね。

本家はブルゴーニュ地方南部、ボジョレー(ボージョレ?どっち?)村で行われるワイン醸造のための葡萄破砕、ジュース搾取、浸漬の方法で、具体的にはステンレスタンクに葡萄を入れて密封するというものです。タンク内の初期酸素と水分を得て、果皮の酵母が果肉発酵プロセスを開始します。発酵が進むにつれて二酸化炭素が発生し、タンク内の圧力が高まると葡萄がつぶれて搾汁、浸漬できる仕組みです。なお二酸化炭素は酸素より比重が重いので、下にたまって軽い酸素を上部に追いやります。結果的に行程後半では嫌気搾汁、嫌気発酵になるので酸素による酸化ダメージが少ないという利点があります。

コーヒーの方もほぼ同じ。ステンレスタンクにCherryを投入し後から二酸化炭素ガスをタンク内に注入します。すると二酸化炭素が酸素を追い出し、嫌気発酵(Anaerobic Fermentation)が行われます。

なお二酸化炭素を封入しなくても嫌気状態は維持できるので、炭酸ガスを入れない場合は”Anaerobic Natural”と呼ばれます。

なんか他の英文解説読むと、酵母、酸素が共にない状態の発酵では糖分が分解されて、さらに酸味が弱くなるらしいです。アントシアニンやタンニンの影響でCherryの果皮は紫ピンクに変色し、さまざまな化学反応によりイチゴやラズベリー、バナナ、バブルガムのようなフレーバーが生み出されるそうです。詳しく知りたい人は“嫌気発酵”でググルといろいろ出てきますよ(アルコール発酵、乳酸菌発酵も嫌気性なのね)。

Carbonicは個人的にはよりフレーバーや味が強いWiney Naturalの強化版のような感じがしますね。

一応Naturalカテゴリーで紹介してますが、この後乾燥に入る前にWashed工程に進めば水洗式にもなります。また同じ嫌気発酵ではコスタリカのAnaerobic Fermentationもありますが、こちらはPulped Naturalなのでまた今度説明しますね。

DOT(Dried on Tree)

ディーオーティー。樹上完熟。完熟した実を収穫しないで、木になったまま乾燥させて収穫する方式です。便宜上、黒いレーズンみたい(Boia=ボイア)になるまで乾燥させます。

でも実はこれ、すっごく木に負荷がかかります・・・。黒く色づき始めるギリギリまでコーヒーの木は養分をCherryに吸われていく上に、いっぱい実がなったままだと物理的にとっても重いのです。恐らく全部樹上完熟すると2〜3kg位は木に荷重されているのではないでしょうか?

収穫後は養分や土壌整備等、かなりケアをしてあげないと翌年の収穫に響きます。なので最近はBoiaになるまで乾燥させず、黒紫位に変色したころで収穫し、Naturalに仕上げてるところが多いと思います。

熟度は高いはずですが、難点は成熟異常や途中で枯れてしまった実も乾燥するとことごとく黒い色に変色してしまうので、Boiaの状態で収穫すると未成熟や矮小な実が混入するリスクがあります。これは続くドライミルでどうにかするしかありませんね。

またDOTでもこの期間に雨に降られると、果皮の間に水分が入り込み、バクテリア等によるフェール臭の発生リスクが高まるので、結構気を揉む生産処理です・・・。

んー・・・。

Naturalはこんなところかなー?

他は特になかったかな?まあこれからも新しいのたくさん出てくるだろうけど・・・。

次回はWashed=水洗式を詳しくみていきますよー!!

Naturalメイク・・・好きです。

お出かけメイク・・・好きです。

結局どっちも好きなんかい!!

ううん。あなたが好きです・・・♡。

こんなん言われたら無為自然無理だね。ぐへへ。