・・・・どうやってできてるか知ってますか?

Fanatic三神です・・・。

欧米諸国にはまだまだ及びませんが、健康志向の促進もあって日本でもDecafe(カフェイン除去コーヒー)の消費が少しずつ伸びてきています。

今までDecafeはおいしくない!!・・・という評判だったのですが、なかなかどうして最近はクオリティーの高いものを入手することができるようになってきたのです(やったー)。

やっぱりたくさん飲む人だとカフェインは少ない方がいいし、妊婦さんやお子様にも安全なので、需要はありますよね。さらにおいしければ言うことなし!!

Decafeのコーヒーは特徴的なDecafe臭(ちょっとスイートポテトっぽい香り)があるのですが、実はこれ・・・深煎りにすると全然わかんなくなるのでパンチの強いコーヒーにはよりうって付けですね。

さらに工程の関係で生豆に高温処理などを行っているので、時間がたってもいわゆる“Woody”なフレーバーが出ません(逆に言うとすでにWoodyみたいな状態になっているため)。という事で経時変化を気にすることがないので、ある意味気が楽だったりして・・・・(^○^)。

そんなこんなで流通しているDecafeのコーヒーなのですが、実は作り方にいろいろ種類があります。たまに興味深々なお客様に製法を聞かれることがあったりしますよね。という事で今回は様々なDecafe処理=Decaffeinated Processを取り上げてみまーす!

Decafe製法の種類

  • Organic Solvent(有機溶媒法)
    • Direct Method(直接法)
    • Indirect Method(間接法)
  • Swiss/Mountain Water Process(スイス/マウンテンウオーター抽出法)
  • Supercritical CO2 Process(超臨界二酸化炭素抽出法)
  • Triglyceride Process(トリアシルグリセロール抽出法)

・・・・以上の4種類があります。

最後のTriglyceride(いわゆる中性脂肪らしい)Processは知らないなー。聞いたことないってことは日本ではあんまり一般的ではないのかもしれないですね。

各処理方法は細かく書いていくと意味わからなくなるので、サラッと説明していきますねー(^○^)。

Organic Solvent(有機溶媒法)

この方法は有機溶媒を使用してカフェインを抽出する方法です。なお使用する薬剤(塩化メチルなど)が日本で認可されていないため、日本では流通できないカフェインレスのコーヒーです(ありま)。

【Direct Method(直接法)】

まずGreen Bean(生豆)を高温の蒸気で蒸したあと、Methylene Dichloride(塩化メチル)もしくはEthyl Acetate(酢酸エチル)等の有機溶媒ですすぎます。

そうすると生豆のほとんどの成分に影響を与えずにカフェインが有機溶媒によって抽出されます。これを8~12回ほど繰り返し、基準に適合するまでカフェインを抽出していきます。

なお全ての製法のDecafeコーヒーの、Caffeine除去においての目的数値は下記の基準が適用されます。

  • US Standardで97%除去
  • EU Standardで99.9%除去

【Indirect Method(間接法)】

この間接法ではまず準備段階として、高温のお湯に生豆を数時間ひたし、全ての成分を抽出して濃い溶液を(あ?これもコーヒー?)つくります。そしてこの溶液に上記と同じいずれかの有機溶媒(塩化メチルor酢酸エチル)を添加し、蒸発させることでカフェインを分離します。そして残ったカフェインフリーの溶液を用意して次のステップに進みます。

新たにDecafe処理対象の生豆を高温で蒸し、柔らかい状態で上記のカフェインフリーの生豆成分溶液につけます。溶液と新たな生豆にはカフェイン以外の全ての成分がほぼ同じ量含まれているので、Solubility Equilibrium(平衡溶解度)により、カフェインのみが生豆から溶液に移動します。こうしてフレーバー成分や味の強さを損失することなく、カフェインを除去することができます。

Decafe処理の序盤で水を使うのでこの間接除去法は“Water Process”とも言います。

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まあここまで書いといてなんですけど、日本では薬剤が承認されていないので、これらのDecafeコーヒーは日本で飲むことができません。塩化メチルなんて焙煎中に焼失しちゃうのにね。所詮お役所仕事の政府のお偉方にはわからんのですよ・・・。科学的根拠のない制限なのにね。ぷんぷん( ・`д・´)。

Swiss Water® Process/ Mountain Water® Process

両方とも系統としてはIndirect Method(間接法)に属します。Swiss WaterもMountain Waterも同じ原理を用いたDecafe処理製法なのですが、商標の関係上2種になっています。Swiss Water®は1979年に生まれ、主にスイスで発展したためこの名がついています。処理工場はカナダにあります。一方Mountain Water®はメキシコに処理工場があります。

処理にあたっては上記のIndirect Method(間接法)の様に、まず生豆の“カフェイン以外”の成分を溶解させた抽出液を作成します(豆汁)。なお今回の除去の場合は有機溶媒を使用しないです。このDecafe処理方法は溶液の溶解成分の安定性に依存しており、Gradient Pressure Different(圧力勾配差)つまり、カフェインのない溶液(Caffeine Lean)とカフェインを含有している生豆(Caffeine Rich)の含有量の差を用いてDecafe処理を行います。(なんか浸透圧の反対みたいな現象だね)

Gradient Pressure(圧力勾配)によって生豆のカフェイン成分が溶液側に移動するのは、上記で紹介したIndirect Methodも同じですね。溶液はカフェイン以外の生豆成分が飽和しているのでカフェインのみが移動し、その他の本来は水溶性のコーヒー成分は生豆に残るという仕組みです。

カフェインが移動した溶液は炭素を浸透させることによってカフェインを吸着(ここが有機溶媒と違う点)。残りの生豆成分は溶液に影響を与えないで残ります。そしてまた再利用されます。この連続バッチ処理は8~10時間程度行われ、目標の除去率の達成まで続けられることとなります。

・・・なんかカーボンマイクロフィルターでカフェインを吸着させて除去するって昔聞いた覚えがありますね。当時は除去後の溶液の成分を、抜いた生豆に戻すと思っていたのですが、違っていました・・・。

よもやカフェインのみが移動するとは!!(;゚Д゚)

Swiss Water

https://www.swisswater.com/

Mountain Water

https://www.interamericancoffee.com/decaf-mountain-water-process-mwp/

ちなみにメキシコの工場に生豆を持ち込めば5t単位から処理してくれるので、オリジナルのDecafeコーヒーが欲しい方はぜひ!!!(・・・めんどくさい?)〇山さんは昔カナダでやってたような・・・。

まあ日本ではこのSwiss WaterかMountain WaterのDecafeが一番流通してますね。

Supercritical CO2 Process(超臨界二酸化炭素抽出法)

なんかすごい言葉だな・・・。直訳すると“超致命的二酸化炭素工程”(笑)??

・・・”Critical”には“臨界”という意味があるみたいです。

超臨界・・・。まるで原子力やスーパーサ〇ヤ人みたいな名前の処理方法ですね。この超臨界カフェインレスコーヒーは一時おいしいDecafeという事で話題になりました。処理工場がドイツにあるんですけど(ドイツにしかない?)、なんでもラインがパンク気味なのでそんなに作れないそうです。なので日本でも流通量はそんなにありません。

気圧と温度は密接に関係していて、例えば通常の1気圧での水の沸点は100℃ですが、標高が高くて気圧が低い地域だと沸点が100℃以下になります(余談ですがコロンビアで昔WBCが開催された時なんでも気圧が低くてエスプレッソのクレマが安定しなかったようです)。

例として密閉の容器に水を入れて過熱をすると、液体の上部が蒸発し始めます。そのまま過熱を続けると下面の液体も蒸発して圧力が高まり、容器内の水は液体なのか気体なのかがあいまいな状態になります。そしてこの状態から圧力をいくら上げても容器内の物質は液体に戻ることがなくなります。この臨界点を超えた状態を“超臨界”と言い、超臨界に至った物質は“超臨界流”となって物質を溶解する能力を持ちます(すとりーむ!)。

超臨界二酸化炭素抽出法はこうした気圧と温度の仕組みを使ってCaffeineを溶解/抽出する方法です(ムズカシイナァ・・・( ゚Д゚))。

超臨界

https://www.jasco.co.jp/jpn/technique/internet-seminar/sf/sf1.html

まず生豆は高温で蒸された後、高圧容器に格納されます。この容器内に水と液体のCO2(二酸化炭素)を流入させて65℃の温度で300atm(300気圧!!!)にまで加圧します。これによりCaffeinが超臨界流体になったCO2に溶け込みます。コーヒーフレーバー等の重要な成分はCO2に溶け込まず、その大半がコーヒー生豆に残留します。その後別の容器に移してCO2と洗浄用の水でカフェインをこすり取ります。そして使用後のCO2はリサイクルされて高圧容器に戻されます。

Decafe処理は結構リサイクルが多いのね。

以上!

Triglyceride Process(トリアシルグリセロール抽出法)

これは初めて聞いたな・・・。まだまだ知らない事がいっぱいあるのう・・・。

まず生豆を熱湯、またはコーヒー溶液(豆汁?)ですすぎ、生豆表面にCaffeineを引き出します。その後別の容器にて、使用済みコーヒー粉から抽出したコーヒーオイルに浸してすすぎます。

高温に保って数時間後、オイルに含まれるTriglyceride(トリアシルグリセロール)がコーヒーのフレーバー成分を残したままCaffeineのみを除去します。その後はオイルを除去して豆を乾燥させます。除去に使用したコーヒーオイルは再利用可能で、また別のバッチのCaffeine除去にリサイクルされます。この手法はDirect Contact Method(直接法)の1つとして分類されてますね。

ここでも薬剤のリサイクルが行われるんですね!エコ!!(^○^)

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とりあえずDecafeはこんなとこみたい。

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煮るなり焼くなり好きにして♡

わたしのときめきは・・・・・

すでに超臨界点突破!!!!!!!

カンスト!!(;゚Д゚)

【完】