こんちはーCoffee Fanaticみかみりょうです。
いま進行中の品種シリーズを一休みして、ちょっと焙煎ネタで小休止しようと思いました。具体的な焙煎の方法はともかくとして、ちょっと用語でもまとめてみますー。
ぱちぱちぱち。
熱力学用語(Thermodynamics)
さーもだいなみくす。熱における物理法則ですね。エネルギー保存の法則とかいろいろあるけど、全部やると大学の講義みたいになっちゃうので、とりあえず下記の項目を取り上げてみます。
- Enthalpy
- Entropy
- Endothermic Reaction
- Exothermic Reaction
Enthalpy
えんさるぴー。“熱量”と呼ばれます。ある物体を特定の温度にあげるのに必要な熱量を指します。物体の重量や体積が大きく、かつ上昇させる温度が高い場合には必要とされるEnthalpyが多くなります。
ある焙煎を計画した時、投入する生豆の量が多く、かつ焙煎終了予定時の温度が高い(焙煎が深い)場合は多くの熱量、Enthalpyが必要になります。バーナーの出力が弱かったり、ドラムが薄い、または焙煎環境の周辺気温が低い等、低カロリー状態だと供給できる熱量が不足し、十分な総熱量を獲得するまで時間がかかったりします。こういった場合は生豆の投入量を減らす、もしくは予定の焙煎度合いを下げる(焙煎を浅くする)ことで予定Enthalpyを少なくする必要があります。
Entropy
えんとろぴー。物体のある態の不可逆性の指標として数値化されたものです(ナンノコッチャ・・・)。むかし化学の授業で、ある空間にボールがあったとして、そのボールの数が多くかつごちゃごちゃ散逸している状態はエネルギーが高くEntropyが高い状態であると教わりました。例えるならば人口密度かな?状態を指す場合と実際の数値を指す場合があってややこしいですね。
水の三態の場合だと、氷、水、水蒸気の順に態の変化に必要とされる熱量が上がっていき、その反対の態には戻りづらい性質になっています。つまりこの時水蒸気のEntropyは水や氷よりも高いということになります。
焙煎時の生豆投入量が多く、かつ焙煎終了時の温度が高い場合ドラム内のEntropyが高くなっています。つまりはその状態になるのに必要な上記のEnthalpy(熱量)も高く、そのため多くの熱量を使用したということになります(なんか同じこと言っているね・・・)。
まあ、その時の場のエネルギー状態だと思ってもらえばいいですかね(要するにFUJI ROCK状態はEntropy高い・・・かな?)。
Endothermic Reaction
えんどさーみっくりあくしょん。吸熱反応。温度の低い物体が外部環境より熱を吸収する状態です。焙煎初期では生豆はドラムや熱風などから熱量を吸収します。1ハゼを迎えるまでこの状態なので、焙煎初期に生豆にどれくらいの熱量を吸収させるかという点において、Endothermicは焙煎計画における窯の余熱や火力、焙煎想定時間等に関わる部分になりますね。
なお焙煎における区分訳では、投入後から生豆が黄金色に色づく期間をDrying Phase、黄金色から1ハゼまでの期間をMaillard Phaseといいます。
Exothermic Reaction
えくそさーみっくりあくしょん。発熱反応。上記のEndothermicの反対の現象です。物体が外部環境に熱を開放する状態です。焙煎における1ハゼのタイミングで、それまで吸熱していた生豆はクラックを迎えて、今度は逆に外部環境へ熱を開放します。そのため焙煎機が供給している熱量+豆からの追加熱量供給で、この時のROR(Rate of Rise=時間当たりの温度上昇率)は上昇します。そのままの供給火力を維持すると焙煎進行速度が早くなるので、ロースターさんは経験的に1ハゼ時に火力を下げることが多いと思いますが、これは上記の理由からによります。
なお1ハゼ開始時点から焙煎終了までをDevelopment Phase(Time)といいます。
焙煎における熱伝導用語
熱は温度が高いところから低いところに移動する性質があり、それを熱伝導、伝熱とも言います。Heat Transferともいわれます
- Conduction
- Convection
- Radiation
Conduction/伝導
こんだくしょん。伝導は接触する二つの物体間で熱が移動する伝熱になります。この場合は正式にはThermal Contact Conductanceとなりますね。複数の伝熱を総括した意味もやや含んでいます。
焙煎機だと半熱風式がConductionを最も利用しています(実際には対流熱効率は70~90%程あるので、伝熱の内訳としては低い)。熱源によってドラムを温め、そのドラムに生豆が接触することで伝熱されます。なお同じ熱源の上を空気が流れてドラム内に流入するので対流熱効果(こっちの方が多い)もあります。半熱風式の場合、下記で解説している対流熱は主にドラムの内部で加温しているため、排気ダンパーを開けて空気の流量を増やすと窯内部の温度が低下してしまいます。逆に言えば半熱風の場合は例えば1ハゼ時に熱が入り過ぎそうな時に排気ダンパーを開けて窯の温度を下げるという手も使えます。
なお下記のRadiationで触れてますが、温められたドラムも熱も持つため、そのドラム自体が電磁波を放射する輻射熱効果も実は得ています(ほんとに微々たるものですが・・・)。
代表的焙煎機
- Probat PROBATONE Series
- Giesen W Series
- 富士珈機Rシリーズ
Convection/対流
こんべくしょん。対流は二つ物体間を流れる物質が熱を媒介する伝熱です。ガスや液体といった分子の群体流が熱量を運び、対象の物質に熱伝導を行います。エスプレッソマシンなどの熱交換機は水を温めてコーヒーやミルクを温めるのでこれもConvectionですね。冷房なんかもそうかな?
熱風式焙煎機はConvectionを主に利用した焙煎機になります。半熱風式や直火式はドラムの下に熱源があるのですが、基本的に熱風式はドラムの下ではなく、別の個所に空気を温めるところがあって高温の空気をファンでドラムに送り込み伝熱します。
なんだかんだ言ってドラムも温められちゃうので、ほんの気持ち伝導効果もあります。そして微々たる輻射熱効果もあったりして・・・。
代表的焙煎機
- Loaring S Series(なぜか日本ではスマートロースターと呼ばれるLoaring・・・)
Radiation/輻射
れでぃえいしょん。輻射は熱源から放射される電磁波による伝熱です。長い波長では赤外線などのエネルギーが弱いものもありますが、紫外線、マイクロウエーブやX線などエネルギーの強いものあります。基本的には絶対零度以上の温度を持つ物質は何かしらの電磁波を照射します。(だから赤外線カメラとかで見ることができるのね)。エネルギーを付帯した電磁波を照射することでエネルギーの一部が熱に変化し対象の物質に熱が伝わります。
炭火焙煎の遠赤外線効果をうたっているロースターもありますが、もし焙煎機が半熱風式だとしたら遠赤外線は鉄のドラムを透過できないので、意味なし芳一です。赤外線効果を出したい場合は穴あきパンチングドラムの直火式でないといけません。
ハロゲン灯を使用した小型の家庭用電気焙煎機などがあります。(レントゲン焙煎機とかあったら面白いかな・・・?)
代表的焙煎機
- Stronghold S Series(熱風+ハロゲン)
焙煎用語
焙煎全般でよく聞く用語をちょっとピックアップしてみました。
- Calorie
- Profile
- Plot/Roasting Curve
- Logging System
- Charge/Discharge
- Bottom Temp/Turning Point
- Color Change
- ROR
- Increasing/Diminishing curve 2022.6.18修正
- Crack
- Drying/Maillard/Development Phase
- Development Time Ratio(DTR)1/8加筆
- Neutral 1/15加筆
Calorie
かろりー。一般的に火力を指します。ガス圧計、%表示、ダイヤル目盛りなど各焙煎機メーカーでカロリーの表示が異なります。熱源はガスや電気が一般的ですかね。
Profile
ぷろふぁいる。生豆の投入温度、投入重量、火力、各Phaseの時間、終了時の温度など、あるコーヒーの焙煎に際しての各パラメーターの総称となります。その時にとられた焙煎方法。つまりは焼き方になります(どいう風に焼いたの?ってこと)。
Plot/Roasting Curve
ぷろっと。いわゆるグラフになります。大体縦軸が温度、横軸が時間になります。ロースティングカーブは焙煎曲線とも呼ばれ、コーヒー豆が時間帯でどのように温度変化したかを視覚的に示しています(グラフ曲線ね)。
Logging System
ろぎんぐしすてむ。上記のProfileやPlot、Roast Curveを焙煎中に追跡表示するモニタリングシステムです。和製英語っぽい言い方だと、データロガーになります。CropsterやFuji RoyalのRoasting Compass等がありますが、Probat、Loaring、Giesen等各焙煎機メーカー独自のシステムもあります。火力やRORなどメーカーによって表示できる項目が異なります。
Charge/Discharge
ちゃーじ=生豆をドラムに投入すること。でぃすちゃーじ=焙煎豆を排出すること。Charge Temperatureといった場合は投入温度、Charge Weight(Amount)といった場合は投入重量を意味します。
生豆の量を減らすと必要とされる総熱量も低くなるので、生豆によりカロリーを与えたい場合は量を減らします。半面焙煎時間が短くなり、火力に対する反応も早くなるのでコントロールが難しいです。
熱風式の場合は豆全体に熱風が接触するので、大きな窯であってもかなりの少量で焙煎することができます(この点が熱風のいいところだよね)。Loaringの35kg窯で1kg焼くこともできますしね(すごい!!)。
Bottom Temperature/Turning Point
ぼとむてんぱーちゃー。ボトム温度。生豆が投入された後に焙煎中最も低下した温度を示します。この地点から温度が再上昇するのでターニングポイントとも言います。
Color Change
からーちぇんじ。青い生豆が、焙煎が進むにつれて黄金色に色づいてきます。この色の到達点をGold Colorといいます。大体投入後4、5分で到達するのが一般的と言われています。Cropsterのログシステムでは投入後この到達点までを生豆から水分を揮発させるDrying Phase。この到達点から1ハゼまでを糖類の褐色変化が始まるMaillard Phaseとしています。
ちなみに色づきのタイミングは生豆の密度、乾燥度合いによってバラバラです。同じ温度帯でも密度が高いものはより色が濃く暗くなり、密度の低い柔らかい豆は浅い黄色になります。なのであくまでもおおよその目安にしかなりません。
ROR
あーるおーあーる。Rate of Rise(レイトオブライズ)の略です。Changing Rateととも言います。時間当たりにどれだけ温度上昇したかの数値です。大体30秒ごとの数値で示されます。または1分あたりの数値になります。焙煎中データロガーでRORが6℃/30secと表示されたら直近30秒間の温度上昇が6℃であったということになります。
フレーバーをより発達させたい場合はこのDevelopment Phase直前からのRORを高めに維持することになりますが、焦げるリスクが高まります。反対に下げすぎると焙煎が進まずフレーバーが発達しません。12kgを超えるやや大きめの焙煎機は蓄熱量が多いので中盤のRORが高いと火力を下げてもブレーキがあまり効きません。場合によっては1ハゼ直前に火力を下げる必要があります。
Increasing/Diminishing Curve(2022.6.18修正)
いんくりーしんぐ/でぃみにっしんぐかーぶ。一般的な焙煎用語ではありませんが、グラフのカーブの属性を判別するにあたって大切な概念でもあります。Increasing Curveはインプットに対してのアウトプットが増大するカーブで、例えば1分で5度上昇したら、正比例だと2分後は10度上昇になりますが、もし15度になった場合、時間帯温度が上昇しているのでIncreasingとなります。Diminishing Curveは反対にアウトプットが減少(減衰)していくカーブです。1分で5度上がるところ、2分後で8度になっていたら、時間帯温度が下降していっているのでDiminishingになります。
ここのところは結構大事で、その時の焙煎時のカーブは火力供給が過多なのか、もしくは不足気味なのかを見極めることができます。なお焙煎中盤以降で部分的にIncresing Curve状態になることを最近はFlick(フリック)と言っています。なお通常の焙煎カーブは緩やかなDiminishing Curveを描きます。
焙煎温度がBottom/Turning Pointに達して温度上昇が始まると、窯と生豆の温度差が高くなるのでRORが高い状態になります。Bottom直後のグラフの線がIncreasing Curveになり、以降特に特に火力上昇を行わなければ、温度上昇が緩やかになってRORも減少していきます。その後1ハゼまでのあたりの線は緩やかになりDiminishing Curveとなります。
*すいません。後半にアウトプットが減少するのはDescreaseではなくてDiminishing(減衰)でした(汗)。
Crack
くらっく。1st Crack、2nd Crackの2種類があり、それぞれ1ハゼ、2ハゼといいます。1stは水蒸気体積膨張によるハゼ。2ハゼは表面体積の膨張と乾燥破壊によるひび割れになります(ぴしぴし)。
1st Crack時にそれまで吸熱(Endothermic)していた豆が発熱(Exothermic)し始めるので温度上昇が高まります。ハゼによって生じた隙間からさらに熱が流れ込むことによって豆内部の化学成分に熱量が加えられ、これによりコーヒーのフレーバーが発達します。1st Crackから焙煎終了のDischargeまでの期間をDevelopment Phaseといいます。
Drying/Maillard/Development Phase
すでに説明してしまいましたが、投入後、生豆が黄金色に色づく地点(Color Change=Gold Color)までを水分蒸発期間、Drying Phaseといいます(Dehydrationとも言う)。
Gold Pointから1st Crackまでの間で、糖類がアミノ酸と結合して褐色物質Melanoidinと香気成分を生成します(Sugar Browningともいう)。この期間をMaillard Phaseといいます。
1st Crackから焙煎終了の焙煎豆排出、Dischargeまでの間で、豆はExothermic状態に転じ、増大した熱量が生豆内部に浸透し化学物質が変異してコーヒーのフレーバーが生成されます。この期間をDevelopment Phaseといいます。
Development Time Ratio(DTR)1/8加筆
でべろっぷめんとたいむれしお(でぃーてぃーあーる)。コーヒーコンサルタントのScott Rao氏が提唱した概念です。1ハゼ開始から終了までの時間(Development Phase)とトータルの焙煎時間の比率を示します。Rao氏の度重なる検証の結果、DTRは20~25%のレンジが推奨とのことです。例えばトータル10分間の焙煎でDTRが20%だった場合Development Time(Phase)は2分という事になります。
Scott Rao
https://www.scottrao.com/about
Cropsterのロギングシステムだと“1st Cruck”のボタンを押すと自動的にこのDevelopment Timeの計測表示が開始されますが、刻々と状況が変化していくのである程度決まった焙煎でない場合、焙煎しながら手動で計算するのはちょっと無理ですね・・・。
Rao氏によると推奨値20~25%は全ての焙煎度合いに当てはまるという事ですが、どの評価尺度に基づくのかが不明である上に、序盤で長めに時間をかけて後半火力を上げる焙煎や、その反対に前半短く後半火力を下げる焙煎など色々あるので、結局全ての方法論には当てはまりません。なので、推奨値はあくまで目安です。
Neutral 1/15加筆
にゅーとらる。排気調整のバランスポイントのことを指し、排気調整を中立に保ち定量排気を維持する動作です(ダンパーの開度調整)。テストスプーン口、もしくは生豆ホッパーに指をかざすと温かい空気の層が感じられ、空気の流入/流出の両方がない中立状態を言います。
ドラムの内圧を一定圧に保つ動作なのですが、空気は温まると体積が膨張するので、Neutral(中立点)を保ち続けるには徐々にダンパー開度を上げる必要があります。またGiesenの場合はPIDで排気圧を目標数値で自動制御しているので、いったん数値設定した後は、基本的に調整する必要はありません。
焙煎機用語
焙煎機そのものに表示されるパラメーター等です。
- Gas/Calorie
- Air Flow(Drum Pressure)
- Drum Speed
- Exhaust Temperature
- Bean Temperature
- Inlet/Outlet Air(1/27追記)
Gas/Calorie
がす/かろりー。すでに説明しましたが、熱源の出力、いわゆる火力になります。ガスだとガス圧計、ダイヤル、%表示などがあり、電力等だと目盛り付きのダイヤルの場合もあります。
Air Flow(Drum Pressure)
えあふろー。ドラム内を流れる空気の流量になります。半熱風だといわゆる排気圧になります。Pa=パスカル表記、もしくは排気側のダクトの目盛り付き調節弁やダイヤルで調節します。いわゆるダンパーですね。数値が高いほど流量が多くなります。
空気は温度が上昇していくと膨張してその体積が大きくなります。つまり温度が高くなるにつれて空気のEntropyが増大していきます。なので焙煎が進むにつれダンパーを開いていかないと排出流量が確保できなくなってしまい、煙が出戻ってしまうことがあります。
【半熱風式の場合】
閉めると窯の圧が高まり温度上昇しやすくなるのでしっかりした味になりやすいです。半面煙が逃げにくくなるので刺激味やスモーキーなフレーバーが付着するリスクがあります。また反対に開けると排煙効率があがるので明るくクリーンな味になりやすいですが、ドラム内の熱風はそれほど高くないので、開けすぎてしまうと逆に窯を冷やしてしまい、カロリーが上がらず焙煎が進まなくなるリスクがあります(時間がかかって焦げることもある)。
【熱風式の場合】
高温の熱風を流入させているため、閉めると熱風の流量が減ってしまうので火力を上げてもあまり温度が上がっていきません。構造上ある程度Air Flowを確保しないときちんとした焙煎ができないようになっています。基本的に排気を上げたほうがクリーンで明るい方向になります。反対に下げると少し重めの味づくりになります。
Drum Speed
どらむすぴーど。ドラムの回転速度、Hertz(Hz=ヘルツ)やRPM(RevolutionまたはRotation Per Minute=アールピーエム)で表示されます。数値が高いほど回転数が高いです。RPMは1分間に何回転するかという単位になります。
回転数が高いと豆の攪拌回数が多くなるので熱風効率が上がります。この場合焙煎時間は短くなります。
なお回転数をあげすぎると遠心力が強くなるので、重力を上回った場合、豆がドラム面に押し付けられて逆に攪拌されなくなってしまう可能性があるのでこちらも注意が必要です(スペースコロニー的な?)。
Exhaust Temperature
いぐぞーすとてんぱーちゃー。いわゆる排気温度です。窯が温まっているかどうかの目安になります。大体の焙煎機は生豆ホッパーの付け根に温度感知をするところがあり、温められた空気はドラムを通ってから生豆ホッパーの下あたりを通過してサイクロンに運ばれます。そのためReturn Air(帰りの空気)とも呼ばれます。この温度が高くないと窯に蓄熱すべき熱量が足りていないので焙煎が進みません。半熱風の場合、空気は火元でも温められますが主にドラム内で加温しています。
Exhaust Temperatureは熱量供給側の温度を示しています。供給側なので、下記の豆温度より20~30度(焙煎機による)高いことが多いです。
Bean Temperature
びーんてんぱーちゃー。豆温度です。テストスプーンのあたりに温度を検知する針があり、ここに豆が接触することで温度を測っています。豆の量によっては接触の仕方が変わるので、投入量が変わると表示温度が変わります。例えば3kgの投入で1ハゼが180度で来るところ、2kgの投入だとそれ以上の温度で来ることがあり、さらに煎り上りは同じ温度でも焙煎度合いが浅くなっている場合があります(焙煎機のタイプ、火力によっては逆になることもある)。
また検知針が細くなればなるほど反応速度が良くなります(大抵ボトムが低く表示される)。2台の同モデルの焙煎機があった場合、針の位置、細さが違うと同じ温度でも表示される数値が異なるので注意が必要です。またカーボンが付着してくると精度が狂うのでファナティックはたまのお掃除をお勧めします。
Bean Temperatureは熱量需要側の温度を示しています。昔の焙煎機の中には排気温度しかわからないものもありましたが、今では豆温度の方が重要視されています。必須機能。
Inlet/Outlet Air(Temperature)(1/27追記)
いんれっとえあー/あうとれっとえあー。流入/排気熱風を指し、特に熱風式焙煎機では重要なパラメーターです。Inlet Air温度はドラムに流入するときの熱風温度を示し、Outlet Airは窯から排出される熱風温度、つまり排気温度を示します(Outlet Air Temperatureは上記Exhaust/Return Air Temperatureと同じです)。
【熱風式の場合】
共に熱量供給側を示し、Inlet Air温度は熱量使用前、Outlet Air温度は熱量使用後の温度になります。
例えばInlet Air Temperatureが200℃で、Outlet Air Temperatureが160℃だとした場合(すごくざっくりとした例ですが・・・)。生豆やドラム、その他の熱量損失を含め、焙煎に消費された熱量は40℃だという事になります。
上記の場合やや不正確ですが・・・。
Inlet Air温度=(Outlet Air温度+((Outlet Air温度-豆温度)+焙煎機で損失した温度))
といったイメージになりそうです。
窯の余熱(蓄熱)が多いとInlet Air温度は高くなくても焙煎が進みますが、反対に余熱が十分でない時や、蓄熱しづらい窯の場合は熱量が足りなくなるので、Inlet Air温度を高くする必要があります。
【半熱風式の場合】
通常Inlet Air温度の計測表示はついてません(半熱風式はドラムを火で温めるのがメインなので・・・)。基本的に排気温度(Exhaust Temperature=Outlet Air温度)を見て熱量供給状態を把握します。
(でも最近の半熱風は排気温度計ついてないのが結構ある・・・。ざんねーん(/o\))
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最近は豆温度(Beans Temperature)に注意が行きがちですが、一見豆温度で希望の温度が表示されていても、InletもしくはOutlet Air温度と豆温度との差が少ない(=供給熱量が足りていない)場合には焙煎の進行が遅くなったり失速します。なので、これらの数値は焙煎機の熱量状態(Enthalpy/Entropy)がその焙煎で十分足りるかを知る上で重要な指標になりますね。
焙煎欠点用語(Roasting Defect)
発酵やフェノール等の生豆の欠点ではなく、焙煎によって生じる欠点となります。WCRC(World Coffee Roasting Championship)のルールを基本にして少々(だいぶ?)加筆しました。なお“Stir Fried”と“Raw Burn”はファナティック三神による定義です。
- Under Development
- Over Development
- Stir Fried
- Baked
- Scorch
- Raw Burn(2/4追記)
Under Development
あんだーでべろっぷめんと。簡単に言うと焙煎が浅いということです。酸、甘さ、フレーバーの不十分な発達とされています。酸が強くアフター短く感じられ、場合によっては青臭く、野菜のようなフレーバーを伴うこともあります。一応、生焼け(一見焙煎されているようだが、豆内部に十分に火が入っていない状態)が伴うことも多いのですが、あくまでも浅い焙煎で酸が単調かつ強いことを指します。
渋み(Tannin)が出やすくなります。
なお生焼けについては浅くても、やや焙煎が進んでいても発生する場合があります。代表的な表現にHay(わら)、Green、Vegetative、Nuttyなどがあります。
Over Development
おーばーでべろっぷめんと。上記とは反対に焙煎が深いことを指します。焙煎が進みすぎてフレーバー等を破壊してしまっている状態です。酸やフレーバーが焼失し特徴なく、場合によってはロースト臭等が付着することがあります。こちらも、焦げ臭、ロースト臭等が付着することもありますが、主に焙煎が深いということ自体を指しています。
苦み(Bitter)が出やすくなります。
焙煎が進みすぎて焦げ臭のあるものは良く“Burnt”(バーント:焦げている)と言われます。
Stir Fried(Stir Frying)*ファナティック三神定義
すてあふらいど。この表現、実は公式にありません。ファナティックが個人的につくりました。この後紹介するBakedの反対の概念がなかったのでこちらで説明します。要は高温攪拌焙煎です。ジェットロースターなどの短時間熱風焙煎機などでは3~5分くらいで焙煎してしまうものもあります。短時間高温焙煎はフレーバー、酸共に印象が強くなるのですが、 特に焙煎が浅いといわゆる生焼けになりやすく、かなり強い酸(シャープ!)があり、Hay、Green、Nutといったわらや、青臭いフレーバーが伴うことが多くなります。
ちなみにStir Fryは中華料理など(中華料理だけに限りませんが)のいわゆる炒め物等のことです。なので“炒める”という意味。(Stirはかき混ぜるという意味)
Baked(Baking)
べいくど。低温長時間焙煎がよくBakedのサンプルとして出てきます。一応WCRCのルールブックにはカラメル化(そこはメイラードと言わないんだ・・・?)の発達不良が発生しており、その味わいはポップコーンやシリアル、オーツなどのフレーバーがするとされています(これも生焼け)。大体20分を超える焙煎がBakedになっていますね。質感は重く、甘さが感じられるのですが、肝心のDevelopment Phaseできちんとした火力が与えられていないので酸の印象、フレーバー共に弱く重々しくなります(ぼやけた感じ)。
また長時間ドラムに豆があたり続けるため、下記のScorchなどの焦げ味、PepperやIronといった胡椒や金属臭といったオフフレーバーが付着することがほとんどです。
なお8、9分程度の時間がやや短い焙煎でも、カロリー(熱量もしくは火力)が低く推移すると酸が発達せず、フレーバーが貧弱で、さらに1ハゼすら来ない場合は穀物や藁のようなニュアンスが現れることによってBakedになります。
Stir Friedは酸の強いLight Bodyの生焼け、Bakedは酸の弱いHeavy Bodyの生焼けって感じかな?
Scorch(Scorching)
スコーチ。必要以上の火力によって生じる焙煎欠点です。灰や焦げ臭といった炭化したフレーバーが感じられます。
焙煎の浅さ、深さ(Under、Over)に限らず、その時の高火力のあて方=Heat Applicationによって生じますが、焙煎時間が長かったり、Over Developmentの度合いが強くなると発生しやすいです。
排気不足で、排気できなかった煙が再付着することでも発生します。また直火式焙煎機では発生頻度が高まります。
Raw Burn(2/4追記)*ファナティック三神定義
ろうばーん。生・・・焼け・・・・(笑)。さっきから何度も“生焼け”って言ってるので定義作っちゃいました(誰かいい感じの単語知ってたら教えて)。という事でファナティック定義♡。豆内部への熱量伝達不良により、フレーバーや香気成分に転化しなかった前駆体成分が残っている状態です。主に浅煎り=Under Development側のコーヒーで発生しやすいです。煎り上りのアグトロン値80~90、もしくはそれ以上の場合は熱量の与え方に注意すべきレンジだと思います。すでに上記で説明しましたが、焙煎傾向の“Stir Fried”と“Baked”でそれぞれ感じられる生焼けの味が異なります(WCRCの定義とはちょっと違うので注意してね♡)。
【Stir Fried傾向の生焼け】
主に乾燥した穀物様の生焼けフレーバーが感じられます。Nut、Straw、Hay、Cereal、Breadなどが相当します。加えて酸が強く、ボディは軽くなります。RORが高くDevelopment Phaseが短いとより顕著になります。
【Baked傾向の生焼け】
主に新鮮な草や、青いフレーバーが感じられます。Green、Cut Grass、Vegetative、Citrus Peel等が相当します。酸は単調で印象がはっきりせず、ボディは重くなります。RORが低すぎて1st Cruckが弱い、もしくは発生しない場合にはより顕著になります。
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個人的には“焙煎欠点”というと上記の“Scorch”と“Raw Burn”しかないんじゃないかと思います。Under/Over Developmentは“焙煎度合”。Stir FriedとBakedは“焙煎傾向”と考えるのが正しいじゃないかなーと思います・・・・。
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こんなところかなー?
小休止のつもりがとんだボリュームになってしまった・・・。うほう。
まあこれで少し整理はついたかも・・・・。
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君の視線はRadiation!
輻射で高まるMy Entropy!
これこそ恋のThermal Reaction!
ちぇけらっちょ♡