こんちはF.みかみです。

引き続き焙煎方法の下巻に行きたいと思います・・・・。

なんでこんなに更新早いかというと・・・。むかし書いたマニュアルのほぼコピペだから・・・・(#^.^#)。ワタル時代に私がまとめた膨大な資料群の一つなのでね・・・。うほほ。

今回はCup of Excellenceのヘッドジャッジの最古参であり、カッピングを含めた全プロトコルの科学的設計を行ったPaul Songer氏の焙煎アプローチを紹介します。

Cup of Excellenceでのカッピングカリブレーション、セッション、ジャッジカリブレーション、焙煎プロファイル等は同氏の尽力で科学的な裏付けが行われ、きわめて整合性の高い品質評価方法の体系が確立されました。

各カッピング項目の定義や、酸/質感成分/生豆欠点に関連する成分分析と試薬を用いたテイストトレーニング。そして統計学に基づく各ジャッジの採点分布/傾向分析など、George Howell氏と別の意味で“COEの父”と言える方です。

なお焙煎についての科学的考察はすでに同氏が分析、構築していて、現在の焙煎トレンド、用語、理論等は10年以上前にほぼ全て存在していました(10年たって科学トレンドがきたね)。当時は今ほど科学的アプローチがトレンドになっておらず、また生化学、熱力学用語は難解だったため日本ではあまり脚光を浴びませんでした。当時はやや“感性的”な職人的焙煎が多かったのも要因かもしれませんね。

しかしながら彼の構築した焙煎アプローチはCOE審査会での基準焙煎となり、各ヘッドジャッジに伝授され、世界各国の生産地に広まりました。ブラジルの偉大なカップテスターであるSilvio Leite氏や、ホンジュラスのRony Gamez氏が行った生産者による焙煎セミナーも基本的にPaul Songer氏が構築したアプローチがメインフレームになっています。

SCAAのTechnical Standard委員会にも10年属し、“Water Quality Hand Book”の著者でもあります。発表した文献も数多く、コーヒー科学におけるまさに”先駆け“の御仁です。

Paul Songer

https://tastingcoffee.com/about/

という事でPaul Songer氏による焙煎アプローチを見てみたいと思います。あ、あと・・・・その前に下記の用法、用量を守って正しく通読くださいね♡

【注意!!】

  • 焙煎プロファイルはProbatino 1kg窯が想定されています。ボトム温度110℃が推奨されていますが、小型焙煎機でないと、ほとんどの焙煎機はこれほど高い中点を維持できません。なので、実際には余熱温度での調整がせいぜいです
  • プロファイルは絶対ではありません。各生豆の生化学特性、物理特性を考慮して検証を行い、個別のプロファイルを柔軟に構築する事が推奨されています
  • “その当時”のプロファイルです。現在のCOE焙煎プロファイル(マル秘)と焙煎時間が異なっています(基本的なベースは同じ・・・まあ現場でヘッドジャッジがプロファイル決めるんだけどね)
  • どうしても人間なのでFanatic三神のバイアスがかかってます。参考程度に読んでください(/o\)

Paul Songerの焙煎アプローチ

【概要】

  • 最初にどういうフレーバープロファイルを達成するのかを決定する。
  • 生豆のサイズ、密度、含水率、経時変化の度合い等の物理的特性を把握する。
  • 予熱をしっかり行い、高高度、低気温、低気圧などそれぞれの周辺地理条件下に適合した焙煎を行う=充分なカロリーを生豆に確実に供給する。
  • 時間ごとの熱量の化学変化と色調をしっかり管理しながらロースティングする。
  • 各変化段階の時間(Changing Rate等=ROR)を想定焙煎カーブに合わせるように努め、火力の調整を行っていく。
  • 基準となるロースティングプロファイルを構築し、常に焙煎データとカッピング評価を行い、基準のプロファイルをアップグレードしていく。
  • ショ糖の褐色化(メイラード反応)、焙煎度合いに応じたフレーバーや酸の成分、細胞壁劣化進行度合いに応じた質感の強度変化、等々の各項目の特性のバランスを考慮し煎り止めを決定する。

ポール・ソンガー式(以下PS式)はProbatino 1kg窯が想定されており、個体差はあるものの165℃位で1ハゼが来る想定になっています。Probatinoは熱効率が高いためDevelopmentの温度は+5~10℃の範疇に入ると思われます。なので、170℃台(180℃以下)での排出が想定されますね。

PS式においては序盤から高いカロリーを当てることで、生豆外皮の繊維の崩落を促進し質感(Mouthfeel)を強めます(本人談だが結果的に反対の現象が確認されている=ライトボディになります・・・)。またボトムを高く、初期から窯の余熱を多く保つことによって高めのカロリーを維持し、フレーバーの形成を行いやすくする狙いがあります。

香りも確認しますが、生豆の色調変化を“目視し”“得られた数値やデータを重視する”のがPS式です。特に今流行りのGold Colorへの到達時間やROR等(文中ではChanging Rate)を重要視したのは同氏が最初ですね。

【焙煎ステップ】

温度は全て豆温度。なお排気温度は+20~30℃位誤差がある)

生豆の物理特性を観測する

  • 含水率、密度、豆のサイズ ⇒これらの値が高いとカロリーアップに時間がかかるが、一旦熱量を保持すると高温を維持し、なかなか冷めない特性がある。逆に値が低いと温まりやすいが余熱を保持しにくい。

焙煎機及び焙煎周辺環境の特性を観測する

  • 湿度が高いと ⇒熱が上がりやすく冷めにくい
  • 高度が高いと(気圧が低いと) ⇒熱量を保持しにくい。

窯を余熱し、投入する。火加減は弱め。ボトム温度110℃あたりを目指す。

⇒一定の高温状態を維持することで、豆表面の粒子化を促進し、マウスフィール(質感)の向上を図る。(これ以降、生豆、焙煎環境を考慮して火力を調整する。)

4~5分の間で黄金色(Gold Point)の段階に到達させる。

⇒基本的に弱火を維持するが逐一火力調整をしながら時間を合わせる。進行が遅い場合には火力を上げていく。

Gold Point⇒7あたりの色

7~8分で1ハゼに入る。(Gold Point到達3分後)

⇒Gold Pointに入った時間帯を考慮しながら火力調整を引き続き行う。

排気ダンパーで中立点を維持。定量の排気を維持する。

⇒放熱反応で温度上昇が早い場合は火力を下げる。

⇒火力調整がシビアであれば排気加減調整でも若干の温度調整は可能。

11~12分程度で引き上げるとミディアムレンジ。(フルフレーバー)

深煎りに移行する場合は13分で2ハゼに入るように火力調整する。

【まとめ①】

・生豆の”密度” ⇒耐熱、保温性に影響

・水分量 ⇒温度上昇速度、保温性に影響

・サイズ ⇒温度上昇速度、保温性に影響

・焙煎行う場所の高度 ⇒焙煎に必要な総熱量、焙煎機のキャパに影響

・1ハゼ後は余熱で焙煎を進行させる。

・時間ごとの焙煎変化(ROR)を合わせていくように作業する。

・1ハゼまでの温度上昇のカーブは急勾配(高ROR)となり、その後の温度変化を緩やか(低ROR)にする。

・カッピングを頻繁に行い、希望するフレーバー特性を達成できるようなロースティングプロファイル基準を作る。またそれを検証して見直し続ける。

・水抜き ⇒4-5分(Gold Point)

・1ハゼ ⇒7-8分

・煎り止め ⇒11分前後(目安)

・2ハゼ時の煎り止め ⇒13分前後(目安)

*なおこの焙煎方法は一定のカロリーが加わるため、冷温地区や高標高の場所に於いての焙煎、又は焦げやすい柔らかい豆に適している。

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もういっぱいいっぱいな感じですね(涙)・・・。

【まとめ②】

PS式で焙煎すると、酸が強く、質感は軽くなる。甘さの印象は弱い

初期のボトム温度が高く生豆表面が凝結しやすいため、繊維が崩落しにくく、質感が軽くなります。初期のカロリー状態が高いので酸の形成が早く、印象ははっきりします。焙煎カーブの角度が低く、焙煎中のRORが低いのでフレーバーはやや発達しにくいですね。Development Phaseでのカロリーは相対的に少なくなりやすいので、Under DevelopmentやBakedに注意する必要があります。

・・・・PS式の場合は明るくライトな仕上がりになります。さっぱりしてますが、酸が強くフレーバーの印象がやや弱く感じられます。甘さが弱いものの、よく味わえば酸やフレーバーの複雑さが感じられるコーヒーですが、インパクトに欠けるかもしれません。甘さが強く重たい風合いのナチュラルはPS式で焼くと、酸が軽快になり上品さがプラスされてバランスが良くなるかもしれません。

*なお経時劣化したコーヒーについてはPS式で焼くと、酸化度合いの強い表面に高いカロリーがあたり、なおかつ繊維の崩落も少ないので、いわゆる“ウッディー”に代表される劣化臭が低減されます。

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こんなとこかな?

抑えるポイントがいっぱいあって大変だわさ。

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焙煎になると・・・つい書きすぎちゃう・・・・。

でも・・・想いは伝わったかな?

PS. ・・・・アイラブユー♡

ぐは