“なぜ焼くのか?”

“・・・・そこに豆があるからだ・・・!!”

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Roast Designerみかみです(/・ω・)/

ファナティックの焙煎シリーズ。最終編です。

今まで焙煎に関わる項目や考え方に対して、色々Break Downしてきましたが、今回は実際にどういうアプローチをとるかというお話ですね。

うちの店の屋号にもなっている“Roast Design”・・・・。和訳すると“焙煎設計”になります。組み上げるという意味ではArchitectも相当するかもしれませんね。

なお命名はわが社、社長、ファナティックの嫁様です。ぱちぱちぱち。

なぜこのワーディングを選んだかと言うと、今までにお話ししたとおり、これが“ベストな焙煎方法だ”という風に喧伝したくないという気持ちがあります。

ロースターの皆さんはそれぞれの哲学や感性にのっとってコーヒーの焙煎を考えています。ファナティックはあくまでそれらのお手伝いをしているにすぎません。こうしたらこうなりますが、どうしますか?というスタンスでいるので、そういった設計方法の一つとしてご提案しているのです。

昔留学していた時に、同級生がDesignの勉強をしていました。その彼が授業の最初に教授から言われたことが、“Designはアートではない。問題解決の手段である”・・・だったそうです。つまりはProblem Solutionと言う事なんですね。“Design”はソリューションビジネスの一端を担っている訳ですね。

という事でファナティックの“Roast Design”は焙煎ソリューションの提案となります。

Roast Design

前回で焙煎における3つのカテゴリーを整理しました。焙煎度合、焙煎傾向、焙煎欠点でしたね。今回は焙煎に設計おける設計パーツとして以下の3つの要素をとり上げます。

  • 焙煎度合
  • 焙煎傾向
  • 余熱温度(投入温度/ボトム)

実際の焙煎ではこれらを指標に温度計などで設計していく形となります。ではそれぞれの要素を改めて分析します!

*温度とカーブは適当に入力したので参考にしないでね(笑)

焙煎度合(Roast Degree)

コーヒーのキャラクターや味のバランスに決定的に関わる項目

  • 浅い焙煎方向で“酸とフレーバー”が優位になる
  • 深い焙煎方向で“質感と甘さ”が優位になる

焙煎傾向(Roast Trend)

コーヒーのフレーバーの発現度合いに関わる項目

  • 高火力、高攪拌、短時間焙煎=Stir Fry傾向で“酸とフレーバー”が優位になる
    • Stir Fry傾向⇒Solid Structure(フレーバー/キャラクターがはっきりする)
  • 低火力、低攪拌、長時間焙煎=Bake傾向で“質感と甘さ”が優位になる
    • Bake傾向⇒Dull Structure(フレーバー/キャラクターがぼんやりする)

余熱温度(Preheat Temperature Management)

酸と質感の強度バランスに関わる項目

  • 余熱が高い方向で“酸とフレーバー”が優位になる(Stir Fry傾向補助)
  • 余熱が低い方向で“質感と甘さ”が優位になる(Bake傾向補助)

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端的に表すと上記のような感じになります。

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焙煎工程を分解すると実はたったこれだけのパート・・・。もちろん排気や窯の回転数等、Drying、Maillard、Development Phase等、色々な指標がありますが、これらのステータス管理は全部“焙煎傾向”のカテゴリーに含まれますね。

なので、焙煎を設計するには上記3つのパートをロースターさんの任意のバランスで決めればよいのです。

Roast Designの順序

じゃあ実際にどうやって組んでいくのかと言うと、これまた超簡単です。まず“焙煎度合”を決めます。当たり前ですが、焙煎度合が最も味に影響するので、お客さんに出したい煎り具合を決めるのが最初です。浅煎りで明るく演出するか、苦みを効かせた深煎りを楽しんでもらうのか?・・・といったところです。

その後は“焙煎傾向”を設定します。フレーバーをどの程度発現させたいのか。個性をはっきりさせたいなら、Stir Fry傾向を強め、個性をマイルドにさせたいならBaked傾向を強めます。フレーバーも強ければいいってもんじゃないですね。ちなみに生豆が枯れている場合WoodyやStrawyなどのフレーバーもStir Fry傾向でははっきり出てきます。発酵がどぎついコーヒーもフレーバーを明確にすると飲みづらくなるかもしれません。どの程度フレーバーを明確にしたいのか?シングル用に強めるのか?ブレンド想定で弱めるのか?・・・・等を考えていきます。

次に“余熱温度”(投入温度or ボトム)でコーヒーの酸と質感の強度バランスを設定します。同じ“焙煎度合”、“焙煎傾向”のコーヒーが2種類あった場合、余熱が高い方が、酸が優位で質感の強さが低下します。反対に余熱が低い方が、質感が優位で酸の強さが低下します。ということで、AcidityとMouthfeelの根本的な配分調整はここで行います。

こうして上記がそれぞれ設定できたら、最後にもう一度、最も味に影響する“焙煎度合”を微調整して整えます。

こうして基準プロファイル=モデルプロファイルを設計していきます。

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といった流れになりますです。

しかし、必ずしもこの順序である必要はないです。クライアントの希望によっては、最初に着手する地点が変わることもあるし、検証中に求める方向性を変えた場合には再度同じ個所に戻ってきたりもしますね♡

実際のトレーニングではまず上記の様にモデルプロファイルを設定して、方向性が定まったらさらに細かい部分に手を入れてきます。排気、回転数、投入量や、クライアントが希望するのであればDry/Maillard/Developmentの3フェーズ分割の他、水抜き等も指標に入れ込んで火力操作に変化をつけていきます。

ケーススタディー

じゃあちょっと簡単に想定モデルを使ってシミュレーションします。いろいろな意図を反映して、どういった操作でモデルを達成するのかを考えます!

【焙煎簡単シミュレート】(超ざっくり編)

  • 浅煎りでフレーバーを最大化して酸を明確にしたい

⇒焙煎度合をUnder方向に、焙煎傾向をStir Fryに、余熱温度を高く維持する

  • 深煎りでフレーバーを出しつつ、甘さ質感を強めたい

⇒焙煎度合をOver方向に、焙煎傾向をStir Fryに、余熱温度を低く維持する

  • 浅煎りでフレーバーを繊細に、質感も軽くさわやかにしたい

⇒焙煎度合をUnder方向に、焙煎傾向をBakeに、余熱温度を高く維持する

  • 深煎りで甘さ質感を強く、苦み/パンチを効かせたい

⇒焙煎度合をOver方向に、焙煎傾向をBakeに、余熱温度を低く維持する

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と言うように如何様にでも設計することができます。ただ上記の場合だと①はStir Fry傾向のRaw Burn(生焼け)、④だとScorchが発生しやすくなるかも?ちなみに③の焼き方だと枯れ臭=Woodyフレーバーを軽減することができます。

ただ注意したいのは以前でもお話した、“いいとこ取りはできない”“生豆が持ってないものは作り出せない”という事は常に頭の中に入れておく必要があります。

酸と質感(Acidity vs Mouthfeel)は相対的な関係にあります。酸を優位にしたい場合、質感の印象は低下します。反対に質感を優位にした場合、酸の印象は低下します(コーヒーの相対性理論・・・ナンチャッテ( *´艸`))。

それと、例えどんなにミラクルな焙煎をしても、ブラジルのMundo NovoがパナマのGeishaみたいにはなりません。・・・・あたりまえですけど・・・・。

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という事で、上記でご紹介したファナティックの“Roast Design”のアプローチは焙煎の診断ツールに近いかもしれません。ある焙煎プロファイルを見たときに、なんとなく味づくりの方向性が見えるという感じです。なので、ファナティックの“Roast Design=焙煎設計”はいかなる焙煎方法も否定しません。反対にあらゆる焙煎方法を内包するものだと思っていただければ幸いです。

ちなみに調整で大事なのは・・・・

あ、あと調整と検証に関する注意なのですが・・・・・。

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必ず一手(一か所)ずつ変更すること

・・・です。

どの要因で何が変化したかを知るにあたっては、要素を複数個所一気に変更するとわけわかんなくなります・・・。例えば質感形成の度合いを知るために余熱温度を見極めたかったら、まず余熱温度だけが異なり、その他の焙煎条件が同じサンプルを複数焼きます。

同じように焙煎傾向違いを比較するときは余熱温度、焙煎度合いが同じで、焙煎傾向だけ異なるサンプルを複数焼いて比較します。

そうしないと回転軸を失ったコマみたいに、どこに行きつくのか全く予測不能な事態に陥ります。まぢで故障した車のナビみたいになります(どこ走ってんの?みたいな(/・ω・)/)。

なので、プロファイル設計には近道がないですねー(;´・ω・)

1つずつしらみつぶしに行くしかない・・・。

もちろん全てを0から検証していく事は無限に時間がかかって無理なので、まずクライアントが行っている焙煎プロファイルか、もしくはファナティックがトレーニング用に設計したスターティングプロファイルから設計していく事になります。

でもやはり焙煎回数と時間がかかるので地道な作業になるのは仕方がないですね。うぽ。

また複数バリエーション違いの検体を用意しないと検証できないので、ある程度のロスは仕方がない部分でもありますが、窯のサイズが大きいと生豆の使用量も増えるので、しっかり見極めて、集中して次の一手を考えていかないと、大量の豆が廃棄されることになってしまいます・・・・。

うおーん。

・・・・でもこの検証を通して生まれ変わった焙煎はきっとお客様にも気に入っていただけるはず!!・・・・もしくはロースターさんが自信を持ってご案内できるコーヒーになっているはず!!!(゚Д゚)ノ

いずれにしろ、ロースター(クライアント)の不安や迷いが払しょくできれば、味づくりと品質に自信が生まれてくるので、お客様へのプレゼンや訴求力が高まるでしょうね。

やはりロースティングは“うまい/まずい”ではなくて、ロースターのコーヒーに対する考え方や“哲学”をお客様にプレゼンするのが本義だと思いますです。

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こんなとこかな?

それではみなさんも、れっつとらい!!(^○^)

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どんなに思い描こうが、

どんなに準備していようが、

いつも思い通りにいかない・・・・

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それが恋愛というもの!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!( *´艸`)