こんにちはGeisha Hunterならぬ、Hunted by Geisha三神です(??)。
エチオピア品種再編集偏・・・・新生Part3のこちらではGeisha種に関して整理した内容をお届けします。
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これであなたもGeisha Masterだ・・・・Σ(゚Д゚)!?
という事で早速行ってみたいと思いますー。
【参考文献】
World Coffee Research
https://varieties.worldcoffeeresearch.org/varieties
Gesha Village Coffee Estate
https://www.geshavillage.com/the-village/
A Reference Guide to ETHIOPIAN COFFEE VARIETIES(書籍)
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Geisha事始め
2004年にBest of Panamaでにわかに脚光を浴びることとなったGeisha種(ゲイシャ)。中南米のコーヒーではまずありえなかった、力強いエチオピアライクなフローラルノートとフルーツフレーバがあることから、現在多くの生産地でも栽培が試みられ、様々な国のGeisha種のロットが今日ではあふれかえっていますね。
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しかし、一般的な認知度は高まったものの、いわゆるパナマ系のGeishaとは異なる系統のGeisha種が市場に多く出回っている事に一般消費者はもちろん、実はロースター自身もよくわかっていない事実があったりします(死)。(´∀`*)ウヘヘ
スペルはGeisha(ゲイシャ)という表記が一般的なのですが、発生地とみられるGesha村(ゲシャ村)にちなんで、Gesha(ゲシャ)に表記を変えようという動きもあって、余計に混乱が進んでいます。そもそも現地語なので、正確なアルファベットを当てることに無理があるというのが現実です・・・・。中米でもGeshaの表記を行っているところもありますが、基本的にこの記事の中ではパナマ系とマラウィ系Geishaを“Geisha:ゲイシャ”として表記しておきます。
せめてパナマ由来の場合はGeisha(ゲイシャ)。それ以外はGesha(ゲシャ)と言う風に分けてほしいのですが、中南米での表記も両方あるので結構しんどいですねー・
中米グアテマラの超有名農園であるEl Injerto(エル・インヘルト)はパナマ由来とマラゥイ由来(アフリカ)の2つのGeisha種を持っていて、オークションなんかでも一応区分を分けて表記しています。
ファナティックも今まで各生産国でのGeisha種を紹介しましたが、ここいらでちょっと整理しておきたいと思って今回の記事を執筆することになりました。という事でまずはどんな系統があるのかをざっくり見ていきたいと思います。
現在市場でGeisha種と呼ばれる物には大きく分けて4つの区分があり、それが以下の物になります。
【Geishaの種類】
- コスタリカからパナマに伝播したGeisha(ゲイシャ)
- アフリカに逆輸入されてマラウィに伝播したGeisha(ゲイシャ)
- インドとポルトガルからエチオピアに里帰りしたGesha(ゲシャ)
- エチオピアのBench-Maji(ベンチ・マージ)地区にあるGesha Villageが独自に開発した選抜品種群のGesha(ゲシャ)
この内、いわゆる典型的なGeishaフレーバーを持つものは、実は①のみです(/・ω・)/。
これ以外は何となくエチオピアライクなフレーバーを表すことがありますが、一般的なGeishaとは違ったカッププロファイルになりますね。
・・・・では、それぞれがどういった品種なのかを深堀していきたいと思いまーす♡
1.Geisha(Panama)(パナマ・ゲイシャ)
エチオピア原生種。およそ1931年あたりにBench-Maji(ベンチ。マージ)ゾーンのGesha村(ゲシャ村)からコーヒーの種子がケニアに送られたとの記録が残っており、この元となった選抜品種には病気耐性等の見込みがあったため、数年後にこのGeshaエリアの種子の追加配布をケニアの農務局が打診しました。そうした経緯で1939年、イギリス支配化のエチオピアのMaji地区においてRichard Whalley(リチャード・ワーリー)氏がTishana族(ティシャナ族)による力添えを受けながらGesha Missionを敢行し、約10ポンドの種子の調達に成功しました。
これらの種子はケニアのKitaleにある研究所に運ばれ、そしてタンザニアのLyamungu研究所(リャムング研究所)にも持ち込まれました(これらの事実は情報の整合性に欠けており、ケニアの研究所からの手紙などには記載があるのですが、本当にRichard Whalleyの10ポンドのGeishaの種子が渡ったのかが不明瞭になっているようです)。
数10年後の1953年には、種子はLyamungu研究所から中米コスタリカのCATIE(カティエ:Centro Agronomico de Investigacion y Ensenanza)に渡りました。そして1963年にGeisha種の栽培がFranciso “Pachi” Serracin氏(ドンパチ農園のセラシンさん。数年前に惜しくも他界されました)によって同氏のパナマの農園にて開始され、周辺の少数の農園にも種子が配布されました。
これらの農園の中にはその後脚光を浴びる“Hacienda La Esmeralda(アシエンダ・ラ・エスメラルダ)”の名もあり、Esmeralda農園の高地に植えられたGesha=Geisha種は2003/4年に初めて単一品種のロットとしてBest of Panama(ベスト。オブ・パナマ)に出品されるのですが、この品評会においてEsmeralda農園のGesha種のコーヒーは、著しく強いフローラルキャラクターとそれに付随した甘いトロピカルフルーツノートを持つことが知られ、瞬く間に国際的な注目を浴びました。そして2004年からこの特別な選抜をうけたパナマを第二のルーツとするGeisha種はラテンアメリカの生産諸国を始め、太平洋諸国、そしてアフリカ諸国に里帰りする形で伝播し、世界各地に広まっていきました(現在ブルンジやルワンダで栽培が始まっています)。
Geisha種は高い樹高を持ち、開けた天蓋、そしてややしな垂れる横枝を有することで知られています。多くの場合、グリーンビーン(生豆)は大きく縦長な形状を持ち、新芽はグリーンもしくはブロンズ色に萌芽します(ケニアではブロンズ色の新芽でかつ小さい葉を持つという記録もある)。もともと適度なさび病耐性を持つことで研究者の興味を引いたのが持ち込まれた要因だったのですが、まさかこれほどのスターダムになるとは誰も予想しえなかった事でした。
導入当初は、木が大きくて密植できないし・・・、節間は長くて実成が少ないし・・・、枝がもろくてすぐ折れてしまうので、そのカップクオリティーが認められる以前は生産者に全く好感されていない品種でした・・・。
自分が初めてEsmeraldaのオークションロットをカップしたのは2008年ものだったかな?当時はコーヒーとは思えないフレーバーに度肝を抜かれた記憶がありますね。いやー・・・あん時は衝撃だったなぁー・・・・。
当時はアメリカのStump TownがイケイケでEsmeraldaのプライベートオークションの1位とかを毎年落札してましたね。
ファナティックがその後2014年のBest of Panamaの審査員で現地に赴いたときには本当に多くの農園がGeisha種を植えていました。時はまさにゲイシャブーム・・・。
最近の中南米も栽培が増えていきましたが、基本的にこのPanama Geishaに連なるラインです。種子はコスタリカの研究所であるCATIEでも入手はできそうですね。
2.Geisha/Geisha 56(Malawi)(マラウィ・ゲイシャ)
エチオピア原生種。今ではあまり見かけなくなりましたが、パナマ経由ではなく、“マラウィ・ゲイシャ”と呼ばれるラインです。アフリカのコーヒー生産国の一つであるマラウィでは1927年にFusarium Bark Disease/Bark Canker(フサリアム・バーク・ディジーズ)という名前の、真菌による感染で幹の樹皮が潰瘍化する病気が確認されました。この病気は1950年に感染爆発したのですが、当時は耐性がなく脆弱な品種が主流であったため、急遽この病原体に対応する品種を特定し検証を行う必要に迫られました。こうした中でM.A. Siddiqi氏(シディキ)とD.C.M. Corbett氏(コルベット)の2名の研究者によってプロジェクトが進められました。
1956年にマラウィにもたらされたGesha種はNamin’omba紅茶農園(ナミンオンバ?)に持ち込まれ、試験栽培が開始されました。明確な渡来日は不明なのですが、ブラジルからもたらされたことを示唆する文献があるようです(ブラジルにも到達していたのね)。
1963年までに良好な耐性を示した木々をいくつか得ることができたのですが、残念ながら火災事故によってその多くが焼失してしまいました。この中で幸運にも災禍を免れたGesha種のラインはBvumbwe Research Station(ブブンブウェ・リサーチ・ステーション)に持ち込まれて再試験が行われました。1967~1978年の12年に渡る試験栽培の結果、最終的に“Geisha 56”と呼称されていたセレクションが採用されました。しかし、この選抜品種の特異性が確認されたのにも関わらず、それを待たずに他の数種類のラインの“Geisha種”が1970年代の後半にマラウィの生産者に広く配布されたようです。
マラウィで選抜されたGeisha種はいわゆるパナマのGeisha種とかなり違います・・・・。まず実の形が小さくて丸いです。何となく縦長っぽい雰囲気はあるのですが、パナマのGeisha種みたいに明確な縦長で大きめのスクリーンとは異なりますね。
病気への耐性はCBDとFusarium Bark Diseaseにあるものの、パナマのGeisha種が持つCLR(さび病)には耐性がありません(むしろ弱い?)。
かなり昔にマラウィのGeisha 種をカップしましたが、感動した記憶がありません・・・(;・∀・)。グアテマラEl Injertoのロットにしてもそうですが、全くGeisha感ないですね(笑)。なんとなくエチオピアライク(微かにTea Like?)ではあるのですが、明確なフローラルはなく、いわゆるGeishaの期待値に見合った品質ではないのが現状ですねー(まだJava種の方がテイスト的には近いかもしれないです・・・・)。
カップ的には全然別物ですが、遺伝子検査したところ、マラウィGeishaのいくつかの木々はパナマGeishaに近似性を示したようです(ふーん)。
3.Gesha(CLR耐性種)*品種アップデート偏の再掲載
エチオピア原生種。中米に伝播したGeisha(ゲイシャ)種とは別の経路で戻ってきた品種で、パナマのEsmeralda 農園が脚光を浴びる以前にエチオピアで2000年代に再認知された“Gesha(ゲシャ)種”です。同じエチオピアでもGesha VillageのGori Gesha種、Gesha1931種とはまた別のものになります。
1930年代にエチオピア南西のGesha村から得られた種子はケニア、ウガンダ、タンザニア、コスタリカ、パナマ等と伝播していったのですが、多くの研究所を渡り歩く中で、インドとポルトガルに伝播したものがあります。インド系統は1968年にエチオピアに再輸入され、ポルトガルのCFIC研究所(Centro de Investigacao das Ferrungens do Cafeero)からの系統は1984年にエチオピアへの帰還を果たしました。
エチオピアのJARC(Jimma Agricultural Research Center)はこの2系統のさび病への耐性をテストしましたが、ポルトガル系統の方が低地における耐性をより示したため、こちらの系統が採用されて2002年にCLR耐性種(Coffee Leaf Rust:コーヒー・リーフ・ラスト=さび病)として配布承認を受けました。なおインド系統は採用されませんでしたがJARCによって保管されています。
パナマに渡ったいわゆるGeisha種といくつかの近似性はあるものの、他のアラビカ種にくらべてGesha種自体に遺伝的多様性が認められるため、バリエーションが多くなっているようです(同じGesha種でも新芽がブロンズ、グリーンの両タイプある)。
カップは・・・・。ちょっとわからないですねー。一応COEの品種記載は生産者申告がベースになっているため少しあいまいである可能性があります。ファナティックもさすがにエチオピアのGesha種はカップしたことないです。・・・・なんとなくJava種みたいな感じかな?と想像しておきます(笑)。
4.Gesha1931とGori Gesha2011(GVCE:ゲシャ・ビレッジ独自の”ゲシャ”)
GVCE選抜品種。すでに競技会などで名声を得ているGesha Village Coffee Estate(GVCE:ゲシャ・ビレッジ・コーヒー・エステイト)はBench-Majiゾーンで始まった471haの新しく、そしてエチオピアでは珍しいプライベート(私営企業)の農園プロジェクトです。このゾーン内にある“Gori Gesha”と呼ばれる森はいわゆるPanama Geisha種の生まれ故郷として知られているのですが、GVCEは自らの商用品種としてGori Geshaの森に存在するLocal Land Race種の探求開発に力を注いできました。複数の品種群の収集後にGVCEはこれらのLocal Land Raceを選別し、最終的に2つのオリジナルの選抜種に名称を付けました。それが“Gori Gesha 2011”種と“Gesha 1931”種です。なお当地ではGesha地区の土着品種以外にも、1974/75年にCBD耐性種が植えられていたようです。
Gori Gesha 2011(ゴリ・ゲシャ2011)
ゴリゲシャ2011。このオリジナル選抜品種Gori Gesha森の遺伝的多様性を顕し、Gasha地区の土着品種の混合とみられています(あれ!?単一品種じゃないのか!?)。2011年に最初の種子が採取されたので、末尾に2011の名称を冠しているようです。
Gesha 1931(ゲシャ1931)
ゲシャ1931。このオリジナル選抜品種は森林で生育している、複数のPanama Geishaに“似た特徴”、つまり縦長の実と生豆形状を持つ品種群の選抜によるものです。この品種はその形態学的要素とそのカップクオリティーに基づいて選抜されました。1931年は初めてPanama Geishaの祖である苗が採取された年なので、これにあやかって末尾につけたのでしょうね。
・・・・何となくあいまいなのが気になるが・・・・。
ということで、Gesha VillageのGesha種はいわゆる“Geisha種”ではなく、オリジナルの別品種です(それほどフローラルなタイプじゃないしね・・・)。パナマゲイシャの生まれ故郷はBench-Majiゾーンであるとはみられているのですが、GVCEの品種とは別の物ですね。いわゆるゲイシャブームに乗っかって出てきたビジネスで、パナマゲイシャの故郷にせまるドキュメンタリー的なプロジェクトに近いと思います。個人的には大変面白く興味深いのですが、消費者は混乱するだろうなー・・・と思います・・・・。
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ちと心配・・・・。
カップは良好ですが、いわゆるエチオピア的な感じです。ナチュラルの精製ロットが多いのかな?少し乳酸的なニュアンスもロットによってはあるかもしれません。
GVCEはこの他にもIllubabora(イルバボラ)の森で採取し、選抜した品種を“Illubabor(イルバボー)”とういう名称で販売しているようです。1979年に探索ミッションがあったという事ですが、これもCBD耐性種用に採取された品種の1つですかね?
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というところでのGeisha周りの状況でしたー。
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Gesha?Geisha?
名前や故郷なんて関係ない!!
自らの真のカップクオリティーは心意気で示すのだぁ!!!!
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貴方はエキゾチックなマインドを持っているか!?
・・・・・・(何それ(゜-゜)?)
Global Exotic and Innovative Sensation of Honest Attitude・・・・・
GEISHA!!