こんにちはーCoffee Very Disease三神です。

今日は何となく思いついたのでコーヒーの病気について書いてみたいと思います。消費国側にいるとあんまり病気ってイメージわかないと思うんですが、実際に産地に行くとその大変さが身に染みてわかります・・・。

今飲食店さん達はコロナ禍で存続の危機に瀕している方々がいっぱいいますが、生産者さんもコーヒーの病気が発生すると甚大な被害に見舞われます。最悪その年の収穫がなくなってしまうほどのダメージが発生することもあります。そうするとその年の売り上げがなくなってしまう訳ですね(1年の売り上げがほぼゼロってやばいですよ・・・)やはりお国や銀行のサポートがないとこうした農家さんは立ち行かなくなってしまいます。

コーヒーの病気は国の経済を揺るがす一大事に発展しかねないので、生産各国の研究機関は耐性のある品種を生み出すことに心血を注いでるわけですね。

という事で今回はどんなコーヒーの病気があるかリストアップしてみます!

菌?細菌?バクテリア?ウイルス?

具体的な病気に行く前にまず大体の原因である“菌”をよく考えてみたいと思います。日本語だとみんな“菌”が付くのでなんかわかりづらいですよね・・・。菌の小さいやつが細菌?みたいな?(・・・そのまんまじゃん・・・(*´Д`))実は英語だと全く違う単語だから区別がつきやすいのです。なのでまずそこから見てみます。

  • 真菌(Fungus)=真核生物(基本単細胞生物)
  • 細菌/バクテリア(Bacteria)=原核生物(単細胞生物・・・悪口じゃないよ(笑))
  • ウイルス(Virus)=RNA/DNAも持つタンパク質(非細胞生物)

みなさま微生物のカテゴリーになりますがそれぞれ別種です。下に行くにしたがって大きさが小さくなり、ウイルスに至ってはナノメートル単位なので、すんごい微小サイズになりますね!!(ちなみにウイルスは生物と非生物の中間なんだって。・・・なんだそりゃ?)

酵母とかキノコは“真菌”。

大腸菌、結核菌、ブドウ球菌などは“細菌/バクテリア”

インフルエンザ、コロナ、エボラなどは“ウイルス”になります。

コーヒーの病気は大体“真菌”の“Fungus”原因が多いですね!

ちなみに微生物の分類は超複雑で無限に近いほどバリエーションがあるので、ここでは病原菌その物や病理メカニズムに深く突っ込みません。突っ込むと超めんどくさいことになりそうなので(死)・・・・。あくまで原因の菌と病状についてのみ記述していきたいと思います。

コーヒーの木の病気

ざっと挙げるとこんなとこだと思います。

  • Coffee Berry Disease(CBD)
  • Coffee Leaf Rust(CLR)
  • Nematodes
  • Ojo de Gallo
  • Phoma
  • Coffee Berry Borer(CBB)/Broca

このうちCBDはアフリカで猛威を振るい、CLRは中米で暴れまわり、CBBは最近ではハワイのコーヒー産業を壊滅させました。(T_T)

Coffee Berry Disease(CBD)

こーひー・べりー・でぃじーず。真菌植物病原体。Colletotrichum kahawaeという菌類が原因で引き起こされる病気です。この病気にかかるとコーヒーの実が壊死して黒い斑点が現れます。青い実は熟す前に落ちてしまいます。湿度が高く、温かい気候で、特に標高の高い地域で菌の活動が活発になり、罹患しやすくなります。罹るとおよそ収穫量の80%を失う危険があります。

有効な対処法が確立されておらず、感染拡大の恐れがあるため、特にまだ被害を受けていない中年米アメリカの生産諸国から警戒されています。

ミイラ化したコーヒーの実や、樹皮に種菌が生息し、胞子をまくことで繁殖します。特に水の流れで感染することが多く、雨風で飛ばされた胞子が木に接触し、木の天辺から下に向かって感染が進みます。そして横枝に広がっていって最終的に木が丸ごと罹患します。

・・・・実際の細胞破壊のプロセスもリサーチ可能なのですが、そこまで行くと戻ってこれなくなるのでやめときます・・・・(笑)。

対策としてはこの病気に耐性のある品種の栽培、つまりはRume Sudan、Ruiru11、Catimor等の品種を植えるという選択があります。

薬剤だと銅殺菌剤の使用(ボルドー液みたいだね)もありますが年に7-8回ほど散布しなければいけないので、コストと時間がかかります。さらに土壌を痛めるのでいいところがほとんどありません。それでも収量は良くて50%を維持するのがせいぜいです。

農園マネージメントとしては、ミイラ化した実と感染した小枝の除去、農園の衛生管理の強化、果樹の植林(雨除けとなって感染拡大を減らす)、敵対する他菌類(ストレプトマイセス属)の使用等があります。・・・まあ基本は衛生管理と栄養状態の強化が基本ですかね。殺菌剤はこうした有用菌を殺してしまうことがあるので、使用には十分考慮する必要があります。

CBDが初めて報告されたのは1922年のケニア西部においてでした。これにより一部の地区では農地が壊滅、耕作放棄する事態になり、その後急速にアフリカ大陸に蔓延します。1964年にタンザニア、1974年にエチオピアで広まり、ほぼ全てのコーヒー生産地に罹患しました。今のところ今CBDはアフリカ大陸から外部に広まった形跡はなく、何とか封じ込められている状態です。

・・・・エチオピアやケニアの品種編でCBD耐性種の開発の話が良く出てきたけど、相当猛威を振るったのですね。この病気はアフリカ大陸全体のコーヒーの大敵という訳です・・・。

恐るべし・・・Colletotrichum kahawae・・・・。(コレトリチュム・カハワエって読むのかな????)

Coffee Leaf Rust(CLR)

こーひー・りーふ・らすと。真菌植物病原体。いわゆる“さび病”です。アフリカがCBDなら、中南米ではCLRが脅威ですね。Hemileia vastatrix(ヘミレイア・バスタトリクス?)という菌類が引き起こし、こちらは実ではなく、“葉”に感染して、葉が落ちてしまう病気です。葉が落ちてしまうことで木が光合成できず、実を実らすどころではなくなります。最悪枯れることもあります。黄色い、きな粉のような物が葉の“裏”に繁殖するので、ぱっと見感染が分かりません。裏返してみないとわからないので、発見が遅れることがあります。

この病気も被害が甚大なのですが有用な対抗策が存在していません。重症化すると葉の裏が一面真黄色な粉に覆われ、葉のほとんどが落葉してしまいます。

Hemileia vastatrixは葉にコロニーを形成し、感染が広がっていくのですが、とにかくこの感染力が半端じゃありません・・・・。粉なので風で飛ばされる上に、湿度が高いと繁殖力が高まります。そして何と言っても物理接触がとんでもなく怖い・・・。木の手入れで農園に入ると否が応でも感染した葉に接触してしまうので、そこから他の木に移っていきます。複数農園を管理しているとさらにやばいです。きちんと服とか、農機具を洗浄しないと他の農園に持ち込んでしまいます。

中米の収穫においては流れのチェリピッカーやインディオ系の先住民などが行う事が多いです(基本アウトソーシング)。こうした人たちは国をまたいで仕事をするので、感染が拡大する可能性が高くなります。

対処法は銅殺菌剤などの殺菌剤なのですが、CBDと同じように費用対効果がネックです・・・。やはり基本は衛生管理の徹底ですが、特にCLRの場合は・・・・。

  • “みだりに農園に入らない”
  • “葉に触れない”
  • “木に触れない”
  • “手や服を良く洗う”
  • “感染した葉はすぐ撤去する”
  • “木に栄養を与える”
  • “木と木の間を長く取る”(Social Distancing(;゚Д゚)!!)

・・・・今のコロナ予防に通じるものがありますね。

木に栄養を与える事もかなり重要です。窒素、リン、カリウムの3種はコーヒー栽培における基本の栄養素ですが、CLRの場合はカリウムを与えすぎると良くないようですね。

シェイドツリーを植えると結露防止になるようですが、密(密!!)になるので湿気が上がってしまうようです。

ファナティックもエルサルバドルに行った時に視察したのですが、ほんとひどかったですね・・・・。ある農園の収穫量が500キンタル⇒50キンタルだったので、90%減ですね(;゚Д゚)。・・・おそらくこのCLRが最も危険で壊滅的な病気だと思います。

それでも標高が高いエリアは幾分か被害が軽かったです。・・・環境ってすごいですね。

Nematodes

ねまとーです。植物寄生性回虫。植物の根に寄生するネコブ線虫属、Meloidogyne(メロイドジン?)によってコーヒーの木の根が侵される病気です。このネコブ線虫属は数種のバリエーションがあり、M. incognita, M. arenaria, M. exigua, M. javanica and M. coffeicola等が代表的なようです。M. exiguaは中南米でよく見られます。

この線虫の針が植物の根にある木部、師部(xylem?phloem?・・・Biologyはあんまり得意じゃないから難しいなぁ・・・・)といった部分に差し込まれ、栄養を吸収していきます。それにより根の繁殖、発展が阻害され、結果、開花不良、葉の白色化などを招き最悪木を死滅させてしまいます。

栄養を採取するための特殊細胞が膨張し、増殖することで根が裂けて破壊されるようですね(怖い(/ω\))。

対処法としてはNematodesに感染していない健康な種子を確保する事です。殺虫剤もあるのですがそれほど効果的でないので、灌漑の衛生向上、感染した木の撤去、木の植林間隔をとる等、まあ・・・基本的にどの病気もみんな同じような処置をとりますね・・・。線虫はホスト(宿主。歌舞伎町じゃないよ(#^.^#))がいなくても6か月は生き延びるので、気長に対処する必要があります。

その他には強い根を持つ、ロブスタの台木を使用した接ぎ木(Grafting)やNematodesに耐性のある品種=Parainema種等への植え替えが対策として挙げられますね。

Ojo de Gallo

おほ・で・がよ。真菌植物病原体。Mycena citricolor(ミセナ・シトリコロール?)という菌によって発生します。ラテンアメリカに多い病気です。別名Leaf Spot。

コーヒーの葉に鳥の目みたいな斑点が生まれ、大きくなってきます。ちょっと黄色い部分もあるので、一瞬さび病かと思う時もありますが、大きな斑点ができるのが特徴です。“鶏の目”に似ていることからスペイン語でOjo de Galloと呼ばれています。枝や実にも感染するみたいですが、葉が一番代表的な部位です。

なんか生育するとキノコを形成して、しかも発光性があるみたいですね!!夜光るのか!!光るキノコ!!!(;゚Д゚)

他の菌類と同じく、高温多湿下で繁殖が活性化し。斑点が大きくなることで葉が枯れて落葉します。悪化すると花が落ちたり結実不良を伴います。それほど深刻な病気じゃないと思います。CBD、CLRみたいな凶悪な繁殖力ではないので・・・。農園に入るとたまに見ることがありますね。

ケアは他の病気と同じく、通気性を良くしたり、衛生管理を行いながら木の栄養を与えことです。特に樹齢30~40年くらいの古木が罹患しやすいので、植え替え、または剪定、カットバック等で対処する感じになりますかね。

Phoma

ふぉーま。真菌植物病原体。Phoma tarda(フォーマ・タルダ?)アフリカ、Phoma costarricensis(フォーマ・コスタリセンシス?)は中南米で多く見られます。

葉や枝の先端が寒い条件下で焼け付き、Necrosis(壊死)を起こして黒変します。開花不良や落花/落果を引き起こします。枝の先端がやられてしまうと、そこから伸びて成長しないので、次のシーズンに実をつかることができなくなってしまいます(実は新しい枝の組織につくため)。

感染して蔓延することはなく、純粋にコーヒーの木の生育環境によって発生します。簡単に言うと霜焼けみたいなもんです。低い気温、長雨、強風、雹等、基本的に寒い環境下に置かれると繁殖が活発化します。大体15~20℃位ですね。

昔ニカラグアのEmbassyという農園に行った時にJava種が植えられていたのですが、谷から風が吹く1600mのエリアはJavaにとって環境が厳しすぎたため、多くの枝の先端が黒変していました。その時にこの病気の名前を教えてもらいました。

対策としては・・・。寒い場所を選ばないこと(当たり前か!!)・・・ですが、できることとしたらシェイドツリーを植えるとかですかね?でも最近は温暖化で被害は減ってるようです。

Coffee Berry Borer(CBB)/Broca

こーひー・べりー・ぼーらー。スペイン語名ぶろっか。害虫。アフリカ原産のHypothenemus hampei=コーヒーノキクムシというゾウムシの仲間の幼虫がコーヒーチェリーに侵入し、生豆を食い荒らします(ハイポセネムス・ハンペイ?)。害虫の類ではコーヒーにとって最も被害が甚大です。

成虫のメスがチェリーに穴をあけ中心部付近におよそ50個くらいの卵を産み付けます。一つの実に最高100匹いることもあるようです(うげぇ・・・)。ブロッカの幼虫は2つの牙を持つ顎があり、この顎を使って生豆を砕き内部に侵入していきます。幼体期間は長くて26日間に及ぶので中の種子を食い尽くすのに十分な期間ですね。

産地にいってチェリーをもらうこともあるのですが、しばらくするとジップロックの中で小さい芋虫がむにむに動いてます。まあどこの農園でも少なからずいますね。実を食べる輩は・・・。

アフリカ発の害虫ですが、1926年にブラジルに到達し、1970年代にはグアテマラなどにも伝播してしまいました。2010年にはハワイで大発生し、とんでもないことになりました。

それまでハワイは災禍を免れていたのですが、発生した時は本当にひどかったですね。収穫量は軒並み下がり、最高グレードであるExtra Fancyは事実上生産できなかったと思います。なんせフローター(水槽)にチェリーを投入すると、全部浮き上がってしまう状態でした。・・・・生産者は泣けたでしょうね・・・・。

価格は高騰し、一時期はブルーマウンテンを超える生豆価格が付いていました(あべし!)。

対策としては害虫を持ち込まないような検疫の強化、殺虫剤の使用(成虫が卵を産む前)、鳥を放つ、ブロッカに寄生する生物や、敵対虫の使用などが挙げられます。また結構やばい方法もあって、ある種のNematodesがブロッカに感染して攻撃することを利用した危険な対処法もあるようです。

・・・・しかし・・・。根本療法は植え替えです(涙)。

一度蔓延するとね・・・もうね・・・土壌と木々のほとんどが汚染されてるから、対処療法がほとんど効かないんです。木を引っこ抜いて、土壌をきれいにして再生させない限りはなかなか回復が望めません。植えてから結実まで3年はかかるので時間がかかります。なので今もハワイのコーヒーはまだに完全に回復できていいないと思います。

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こんなとこかなー?

こうしてみると細菌=Bactria要因の病気ってないんだね。真菌類、寄生虫、害虫が主なんですね。

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(私)先生・・・最近胸のあたりが苦しいんです。

(医者)・・・それは恋の虫があなたの心を蝕んでいるからです。

(私)え?

(医者)・・・恋夢虫病(CMD)ですな。

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・・・・って恋煩いかよ!!!!!!!!!!!( *´艸`)

私ハートは穴だらけ♡

ずきゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!