こんにちはCoffee Fanaticみかみりょうです。

JCRC(Japan Coffee Roasting Championship)予選も終わり、8月はいよいよ決勝ステージですね。

WCE(World Coffee Events)が主催する世界大会のうち、競技者が使用するコーヒーが完璧に固定されているのはカップテイスターズとこのロースティング競技会のみだと思います。(WBCなど他の競技会は自分でコーヒーを持ち込みます)そういう意味では各競技者に対して最もフェアな競技会になるかもしれませんね。

同じ素材を焙煎して、それをジャッジがカッピングして評価を行います。また生豆の選別:Green Gradingの能力も試されます。つまりはロースターとしての文字通りの技量が現れる、とてもやりがいのある大会です。

2019年は1月。イタリア、観光地のリミニで開催されました。

どんな競技かというとこんな感じ・・・。

競技内容

WCRCでは以下の通りのスケジュールおよび競技内容があります。

  • Green Grading(生豆鑑定)
  • Sample Roasting(サンプルロースト)
  • Practice Roasting(練習焙煎)
  • Sample Cupping/Color Reading(サンプルカッピング/焙煎色計測)
  • Production Roasting(シングルオリジン)
  • Production Roasting(ブレンド)
  • Evaluation Cupping(カップ審査)

このうち採点項目になるのは・・・

“Green Grading”

“Production Roasting/ Single Origin”(焙煎計画)

“Production Roasting/ Blend”(焙煎計画)

“Evaluation Cupping”

以上の4点ですね。

Green Grading

ぐりーんぐれーでぃんぐ。生豆鑑定ですね。焙煎人であれば焙煎前の生豆で選別、状態を把握し、焙煎計画を立てるのが当たり前ですね。見た目が枯れていれば、ああ火が入りやすそうだな・・・とか、密度が高ければ、硬い豆で火が入りにくいなー・・・とかいろいろ予測がたてられますね。項目は以下の通り・・・。

  • Colour
  • Moisture Reading
  • Density Reading
  • Odor
  • Screen Size
  • Defects

あんま細かくやっていくと紙面が足りなくなるので、さっくりと行きます。生豆は後日行うシングルオリジンで使用する生豆300gになります。ここで鑑定して、実際の焙煎に役立ててね♡という意味もあります。

まず生豆の色合いを見ます。Blue-Green~Brownの範囲で適当と思われるものに〇をします。そのあと水分計で水分値を図ります。機器の都合上、同時に密度も同じ機械で計測値が出ます(2個セット)。そして香りを見ます(すっぱかったら発酵かも???とか)。その後はスクリーン選別機を使って生豆のサイズを測ります(分布上位3つのグラムを書き留める)。最後に欠点カウントです。

なお欠点カウントはEquivalent(欠点のダメージ度合いと、数量から換算する欠点値)ではなく、欠点の個数を記入します。

普通はEquivalentでの計算なので、黒豆で1欠点、部分発酵2個で1欠点~等のルールになっているのですが、それを競技会でやるとややこしくなるので、純粋に個数を記入します。そもそもSCAAの規定では無欠点がスペシャルティーの条件だったから、あんまり欠点チェックするのもどうかとも思いますが、Qグレーダー等の輸出国側の資格とかだったらやっぱり必須スキルになりますかねー。

基本ルールはSCAAのGreen Grading Hand Bookの内容になるので、競技会に参加したい人は購入することになりましゅ。まあ・・・競技会は大体SCAA教材のプロモーションになるんですがね。いやーん!商売上手(汗)

SCAA Shop

(あれ?今はArabica Green Coffee Defect Guideっていうの??)

Sample Roasting

さんぷるろーすてぃんぐ。ここで実際にシングル、ブレンドで使用する生豆を渡されます。シングルが1種、ブレンドが3種ですね。たしか500gずつ渡されたような気が・・・。制限時間は準備時間も入れて50分なので、実質1回ずつしか焼けません。サンプルロースターは大体2種から選べるようになっていて、アメリカ製半熱風式Diedrichの1kgと、韓国製熱風焙煎式Strong Holdのどちらかで焙煎します。

Diedrich

https://www.diedrichroasters.com/

Stronghold

https://www.stronghold-technology.com/main/010100en.rq;jsessionid=89DDA9B9AF234F710A922B66E084A312

あ、この間の大会使用豆はこんな感じでした。

Single Origin:        Nicaragua/ Finca El Limoncillo/ Red Catuai/ Washed

Blend#1:                Rwanda/ Abateraninkunga Ba Sholi/ Washed

          (長!CWS名?品種は?)

Blend#2:                Colombia/ Bolival Estate/ Caturra/ Natural

Blend#3:                Brazil/ Matinha das Pitas/ Yellow Catuai/ Natural

Practice Roasting

ぷらくてぃすろーすてぃんぐ。焙煎機の使い方、データロガーCropsterの使い方説明ですね。実際の焙煎時間は60分です。お豆はSingle Originに近い豆ですが、同じものではありません(同じにすりゃいいのにね)。純粋に使い方に慣れるのが目的です。

Giesenのディーラーさんがない国とかだと、実質この時に初めて実機に触る競技者とかもいるので、超重要な時間ですね・・・。

Giesen

https://www.giesencoffeeroasters.eu/w6-series/(で検索してね)

Cropster

https://www.cropster.com/

(今ならWCRC2018競技者のログがみれるよ!!)

https://www.cropster.com/news-detail/thats-a-wrap-at-the-world-coffee-roasting-championships-2018-here-are-all-the-results-profiles-an/

Sample Cupping

さんぷるかっぴんぐ。サンプルロースターで焼いた豆をカッピングし、プラクティスで焼いた豆の色=アグトロン値を計測します。WCRCは作業工程が多いので、スケジュールが大変・・・。Green Gradingの前にカップする人や、そのあとにカップする人など、その人に割り当てられたスケジュールの違いで順番が前後します。

なおアグトロンは近似値となり、Lighttells社製の計測器が使われます。一つ持ってるといいとも思いますが(あ、また機器買わなきゃいけない系かな?・・・汗)、アグトロン値は豆の密度、経時変化やもろもろの事情で変わりやすいので、厳密にはあんまりあてにできないですかね?

なおSCAAでのスペシャルティー(グルメ)カッピング推奨アグトロン値は63±1ですが、WCRCの競技者の値は大体80~90台(!!)なので、かなり浅煎りです。結局これくらいが評価軸なので、ちょっとでも深煎りに入ると評価されるのは厳しいですね。

別にジャッジや運営も浅煎りを推奨しているわけではないのですが、純粋にカッピングでクオリティーを評価していると、クリーンカップできれいな酸、フレーバーが出てるものがどうしても高評価になってしまうんですね(コレハショウガナイ・・・)。

Lighttells

http://www.lighttells.com/front/bin/home.phtml

Production Roasting/ Single Origin

ぷろだくしょんろーすてぃんぐ。シングルオリジンの部。準備時間を除いた競技時間は30分です。前日の夜までに焙煎計画を提出する必要があります。生豆は6kg渡されるのですが、実質2回焙煎するのがせいぜいですかね・・・。1バッチ2kgで焼く人もいますが、ここのところは3kgで焼く人が多いと思います。

一応メインモニターには各競技者(大体3-4人くらい)のCropsterのログが順番にモニタリングされる、超マニアックな戦いになります。焙煎に関心のあるギャラリーは、時間帯のROR(Rate of Rise=時間当たりの温度上昇率)や排気圧力、火力、ドラムの回転数を見ながらふむふむしてますが、一般のギャラリーには全くぴんと来ない熱い戦いです。

Production Roasting/ Blend

ぷろだくしょんろーすてぃんぐ。ブレンドの部。準備時間を除いた焙煎時間は1時間となります。こちらも焙煎計画とブレンド比率を明記して先日の夜までに提出します。生豆は各6kgもらえたかな?ちょっと不確か・・・。ルール上各オリジンは最低でも10%は入れなければならない決まりになります。大体あんまりフレーバーがぱっとしないオリジンが入っているので、いつもそれが10%になることが多いですね(シクシク・・・)。まあこの場合はブラジルだったんですけど・・・。

今回ルワンダのコーヒーはとてもクオリティーがよかったです。コロンビアのコーヒーはナチュラルでワイニーなフレーバーだったんですけど、クリーンカップがちょっと微妙で、こいつの割合をどうするかでとても悩みました(ワイニーなフレーバー好きな人多いからね)。

ブレンドはPre BlendかPost Blend、つまり生豆の状態で混ぜて焼くか、それぞれ焼いた豆を後から混ぜるかのどちらかを選択します。最近はPre Blendを選択する競技者が多いように思います。焙煎する回数が多いと、失敗する確率も上がりありますからねー。しかもPost Blendだと時間の関係上、おそらくそれぞれのオリジンは1回しか焼けないと思います。

Evaluation Cupping

えばりゅえーしょんかっぴんぐ。それぞれ別日にシングルオリジンとブレンドがカッピングされます。各焙煎豆は焙煎日の翌日、少しエイジングされてカップされることとなります。まあ競技者順で、微妙にエイジングの時間が違うんですけど、それを言い始めたら競技会もう運営できないのでここは大目に見てね♡。

なおチームは5人のジャッジ編成になっており、上下2人のスコア、すなわち最高点と最低点を削除した中間3名のスコアが得点となります。シングル、ブレンドでそれぞれ別のチームがあたるので、カッピング部隊は全部で10名います。

競技者は今年24人だったので、一気に24名分(つまり24サンプル)の競技者のカッピングをするので、これは結構大変ですねー。うほい。

なお、ジャッジのテーブルとは別に競技者用のカッピングも用意されていて、誰がどのサンプルかは伏せられた状態ですが、全ての競技者の物をカッピングすることができます。ここで世界的なトレンドが分かるので、大変重要です。

またBrew Barでは各国の代表が自分のお店で提供しているコーヒーをサーブしたり、実際にシングル、ブレンドで競技者が焙煎したコーヒーを伏せた状態で提供もされるので、選手や観客がそれらのプレスコーヒーを飲めたりもします(楽しいよね!)。

あ、あと焙煎前に提出されている焙煎計画では焙煎後重量、開始/終了時温度、アグトロン値が計画通りになっているが採点されていますよ。

Award Ceremony

全てが終わる、アワードセレモニーとよばれる表彰ですね。先にあげました下記の項目の合算で得点が最も得点が高い人が優勝です。

“Green Grading”

“Production Roasting/ Single Origin”(焙煎計画)

“Production Roasting/ Blend”(焙煎計画)

“Evaluation Cupping”

今年の日本は世界第二位にはいりましたー!!ぱちぱち。

世界大会はもう5年近くコーチ、サポートしてきましたが、さすがにこの時はファナティックもウルウルしましたね(涙)。うおーん!

5年前に初めてコーチに入った時はイタリアのリミニ、そして2018年の開催もリミニでした。なんか感慨深いものがありますねー。

歴代の日本代表選手の工夫、努力と悔しさ(本当に皆さん一所懸命練習されてました)。そして次の代表へ情報をつなげたいという思いがやっと結実した瞬間でしたね。

毎年自分が間違っていたのではないか、ミスリードしてるのではないかと悶え苦しみましたが(ぬわー)、やっと少し気持ちが晴れた気がします(成仏)。

あ、あと詳細なレポートはSCAJのニュースレターVol62号に掲載されてるのでよかったら見てみてください(文字ばっかりだけど、プロファイルも載ってるよ)。

でもまだ優勝してないので(初代は優勝ですけどね)、今年のWCRC台湾大会もしっかりサポートできるようにがんばります!!

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焼くのなら!恋の炎に焼かれたい!!ほととぎす・・・(激しく字余り)

ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち