こんにちはファナティックみかみりょうです。
この間がWCRCの振り返りだったので、今回も焙煎に関わる化学反応現象を今一度考えてみることにしました。
その名もメイラード反応!!
なにそれって?って方はパンの焼けるにおい等と捉えていただければと思います。
よく糖分のカラメル化と混同して化学者から怒られるやつですね(め!)。メイラード反応はアミノカルボニル反応の一つで、糖類とアミノ酸やタンパク質などが熱によって結合することで褐色成分と香気成分が生成される現象です。
なのでカラメル化と違いますが、実際それほど香り的には違いはないかも・・・。まあメイラードの方が香気成分の発生は多いのですが、香ばしくなることにおいてはあんまり両者変わんないじゃないかとも思います。
ちなみにメイラード反応は英語だとSugar Browningとも言われます。
前出のCropsterのチェックポイントカテゴリーでは、生豆が黄色に色付く時点、いわゆるGold Colorあたりから1ハゼまでの期間が”Maillard Phase”とされていますね。
Maillard Reaction
メイラード反応はフランスの科学者、ルイ・カミーユ・マイヤールが発見したそうで、彼の名Maillardの英語読みから来ています。このメイラード反応は還元糖とアミノ化合物(アミノ酸、ペプチド、タンパク質等)が加熱され、褐色物質=メラノイジンが発生する現象のことを言います(あ、色のことを指すのね)。そして非酵素的褐色現象にあたります。熱を加えると短時間で進みますが、そんなに高温でなくても時間をかけて進行するみたいです。(味噌とか醤油が茶色になっていくのはこれらしい?)
反応の進行具合によって3段階あり、初期、中期、最終期に分類されています。特に140℃から165℃のレンジで活発に反応が進みます。
初期、中期はアマドリ何とかが変異、転異して大変なことになっているみたいです。
なお中期はほとんど脱水反応なので、これは焙煎時の脱水期(Drying Phase)にも相当しているかもしれません。
最終期に入るとメラノイジンの生成終期になるみたいですね。メラノイジンは高い抗酸化作用があり、吸光度の高さ(つまりは色調の濃さかな?=L値とかアグトロンに変換できるかな?)に正比例しています。つまりは焙煎度合いが濃いほど抗酸化作用も高いということになりますかね。
またメラノイジンの化学構造は明らかになっておらず、窒素を含む高分子の着色物質の集合体とされています
そしてこれが大事なところですが、メイラード反応時には香気成分が同時生成されます。香気成分は元になった糖類とアミノ酸の種類によって変わるのですが、まあ色々あります。
ということでちょっとどんなのがあるか見てみましょうか(わくわくどきどき♡)。・・・
あ、あとこんなのもあったずら
(主に日本食品行動科学研究所のCHA22号を参照してます)
日本食行動科学研究所 CHA22号
http://ifbs.or.jp/katsudo/files/2014/03/CHA22.pdf
食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16045_6&MODE=4
味の素
https://www.ajinomoto.co.jp/amino/chikara/shoku.html
バリン(Valin)
英語だと“ベイリン”と発音するんですかね。化学式はC5H11NO2・・・必須アミノ酸です。バリンがグルコース(ブドウ糖)C6H12O6と反応すると・・・。
100℃ ライ麦パン臭
180℃ 刺激のあるチョコレート臭
の香りを出すそうです。
ロイシン(Leucine)
“リューシン”と発音するのかな??化学式はC6H13NO2。これも必須アミノ酸ですね。S体とR体があり、S体は苦くR体は甘く感じるみたい。
100℃ 甘いチョコレート臭
180℃ 嫌なチーズを焼いた臭い(ん?チーズを焼いた嫌な臭いじゃなくて??)
・・・嫌なチーズってなんだ・・・?
イソロイシン(Isoleucine)
アイソリューシンかな?C6H13NO2。必須アミノ酸。
100℃ カビ臭
180℃ 嫌なチーズを焼いた臭い(again・・・)
んー・・・。アウト!!
フェニルアラニン(Phenylalanine)
これはそのままフェニルアラニンかな?C9H11NO2。必須アミノ酸かつ芳香族アミノ酸。む・・・これは期待が持てそうですね。
100℃ スミレの香り
180℃ ライラックの香り
おお!素晴らしい!!フェニルアラニン万歳!!
メチオニン(Methionine)
メティオニン。C5H11NO2S。必須アミノ酸。コレステロールを下げる働きがあるんだって。
100℃ ジャガイモの臭い
180℃ ジャガイモの臭い
ダブルポテトフレーバー!!・・・これも微妙だな。
トレオニン(Threonin)
スリオニン?C4H9NO3。必須アミノ酸。穀物に多いそうです。
100℃ チョコレートの臭い
180℃ 焦げ臭・・・(え・・・180℃でもう焦げるの?)
バーント(Burnt)!!
ヒスチジン(Histidine)
ヒスティディン(ヒスティダイン?)。C6H9N3O2。必須アミノ酸。前駆体はヒスタミンでこれはよく花粉症で出てくるやつですね。
100℃ なし
180℃ トウモロコシパンの臭い(コーンブレッドってこと?)
まあ、甘そうな香りがあるということですかね。
アスパラギン(Aspartic Acid)
アスパーティックアシッド。C4H7NO4。“非”必須アミノ酸。うまみ成分の一つ。酸味も甘味もあるそうです。これも期待できそうですね。
100℃ 砂糖菓子の臭い
180℃ カラメル臭い
甘さにフォーカスした香りなんですね。クエン酸、酒石酸とは違う、アミノ酸のグループですが、酸味のフレーバープロファイルもありそうですね。
グルタミン(Glutamine)
グルータミン(“ル”にイントネーションがあります)。C5H10N2O3。“非”必須アミノ酸。うまみ成分の一つ。うまみとしては有名な成分で、昆布に含まれていますね。これぞ DASHI!これぞUMAMI!
100℃ チョコレートの臭い
180℃ バターボールの臭い
こってりうまみ系の甘さ・・・かな?
アルギニン(Arginine)
アージニン。C6H14N4O2。“非”必須アミノ酸。よくわかんないけど安全性は高いらしい。
100℃ ポップコーンの臭い
180℃ 焦げた砂糖の臭い
香ばしい砂糖系ですね。
リシン(Lysine)
ライシンかな?C6H14N2O2。必須アミノ酸。植物性にあまり含まれていないので、動物性蛋白摂取率が低い地域は不足しやすいそうです。
100℃ なし
180℃ パンの臭い
甘い香りかな?いわゆるパンだとイーストとか酵母の香りに近いのかもしれませんね。
プロリン(Proline)
プロライン。C5H9NO2。“非”必須アミノ酸。コラーゲンの合成を促進するらしいです。
100℃ タンパク質の焦げた臭い
180℃ パンの臭い
肉の焼ける臭い・・・(じゅるじゅる)。・・・でも180℃でパンの臭いになっちゃうんだ。なんか順番が反対に感じますね。面白いですね。
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こんなところかな?
こうしてみるとアミノ酸はことごとく炭化水素基(CH)に窒素(N)と酸素(O)が結合したものなんですね。みんな数とくっつき方がちょっと違うだけ。
メラノイジン以外でも、アミノ酸は単体で苦みや、甘味、うまみを持っているので、アミノ酸もいろいろあるとフレーバーに複雑さが出るかもしれないですね。
ただやっぱり、チョコ、カラメル、トースト等の砂糖を焦がした系の芳香成分が多いので、メイラード反応で得られるフレーバーはある程度限定されると考えたほうがよさそうですね。
フレーバーを構成する物質については、焙煎時に別系統で発生する芳香成分、そしてクエン酸、リンゴ酸、酒石酸等の有機酸がコアなので結局ポテンシャルのある生豆が元来持つものに依存せざるを得ないような感じもします。
またそれらを際立たせる焙煎は必ずしもメイラード反応の積極的な促進を伴わない場合もあります。(結局火を入れるわけなので、メイラード反応は不回避ですが)
やっぱり化学は難しいけど面白いね。うぽ。
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熱を与えれば与えるほど高まるときめきの波動・・・。
そう私は愛の集合体!愛羅乃偉人(メラノイジン)!!
めらめらめらめらめら