こんにちは!!
Statistic Fanatic三神です!!
す、すたてぃすてぃっく・ふぁなてぃっく(舌噛みそう・・・)
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データ分析では大変需要な学問である統計学・・・。
ファナティックは昔学校でべんきょーしたことがあるんですが、残念ながらその多くが記憶の彼方に飛んでいきました・・・。
ぴゅーーーーー。
統計学は他の学問に比べてちょっと地味なイメージがありますが、実はものすごく重要な分野で、この学問がないとマーケティングとか、会計とか、データ分析とか、いろんなことがおぼつかなくなるかと思いまふ。
学生の時にもっと統計学とスペイン語を勉強しておけばよかったですなぁ。(そんでもってマクロ経済を専攻にしとけばよかった・・・・(‘ω’))
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そんな統計学ですが、コーヒー業界では主にグラインダー周りで使われてますねー。(グラインダーの粒度分布のグラフは、統計図だって知ってました?)
そして実は焙煎にもこういった統計分析ができるようになったのです!!最近の機器の進歩により、やっとこさデータ化/視覚化できるようになりました!!
とうことで、本日はまだ業界でもほとんど触れられていない焙煎度の分布の考えた方についてお話したいと思いますー(*‘ω‘ *)。
・・・・と、その前に統計図(ヒストグラム)について、グラインダーの例を用いて復習したいと思います。
何故ならニュアンス的には粒度分布と焙煎度分布はかなり似ているからですねー。
グラインダーの粒度分布
それではまずグラインダーの粒度分布の図を参照してみましょう。業界内で粒度分布の均一性が最も高いのはditting社の807 LAB SWEETというグラインダーだと言われています(確かオーストラリア?のロースターがいろいろ調べたんだったけかな?)。
下記のグラフはditting公式が挙げている粒度分布の図で、これは“ヒストグラム(Histogram)”と呼ばれています。ヒストグラムは量的データの分布を見るのに用いられ、横軸がデータの階級、縦軸がその階級におけるデータの数を現します。一般的には棒グラフや線グラフなどで示されます。
(ベーシックの807と上位モデルの807 LAB SWEETの粒度分布比較)
【引用】Particle Size Spread, ditting UK.
コーヒーグラインダーのヒストグラムは、こんな感じになっています。
- 横軸=サンプルの粒度(粉の大きさ)
- 縦軸=それぞれの粒度におけるサンプルの数(粉の数)
コーヒー業界のざっくりとした理解では、ピーク(山)が高くて細いと、粉の粒度の均一性が高くて分布に優れているとされます(これを”尖度”が大きいと言う)。
全協(全日コーヒー協会=JCQA)が行っているコーヒーインストラクター検定でも習いますが、粒度分布の均一性は コニカル・バー ⇒ フラット・バー ⇒ ロール・グラインダー と、に右に行くにしたがって均一性が高くなっていきます。ちなみロール・グラインダーはグラニュレーターなどに使用される大型の設備なので、基本工場とかでない限りは使用されません(*’▽’)。
じゃあ、粒度がそろっていてピークが高けりゃいいのかと言うと、そんな単純な話ではありません。実はヒストグラムにはいろんな形があってそれぞれ特徴があるんです。
【ヒストグラムの種類】
【引用】なるほど統計学園
https://www.stat.go.jp/naruhodo/4_graph/shokyu/histogram.html
ざっくりとこういった種類がある(これ以外にもまだ種類がある)のですが、コーヒーのグラインダーは上記の内の“多峰性”に該当し、ピークが“2”つある物が多いです。
エスプレッソ・グラインダーではヒストグラムの左側、つまりは粒度が細かいところで小さいピークを形成し、粒度の大きい右側で大きなピークを形成するケースが多いです。
(業務用グランダーの粒度分布比較(EK43、Mazzer他))
【引用】Beckman Coulter LS Particle Analyzer, Mahlkonig and ST Ali.
https://www.home-barista.com/grinders/death-big-conicals-big-flats-are-coming-t34409-40.html
(24種の家庭用グラインダーのエスプレッソ粒度における粒度分布)
【引用】What I learned from analyzing 300 particle size distributions for 24 espresso grinders, Coffee ad Astra.
ditting 807 LAB SWEETも40~60㎛の間で極小のピークを形成しますが、コーヒーのグラインダーはやはり、「左に小ピーク、右に大ピーク」を形成することが一般的ですね。
なので、コーヒーの粉には一定量の微粉が混入することがわかります。
*微粉(Micro Fine):コーヒーを粉砕した時に発生する微細粉。抽出方法によってターゲットとなるサイズが異なるが、少なくとも100㎛以下で、一般的には50㎛以下の粉体を指すことが多い。
微粉は絶対悪で粒度は均一でなければいけない謎神話?
えーと、データで見てしまうと、なんか「均一性が高い&ヒストグラムの見た目がきれい」でないとダメみたいな論調が出ることがあります。抽出だと微粉がなくて粒度の均一性が高い方が良いとされますが、一概にそうとも言えなかったりします。ちなみにこういった「微粉がなくて粒度が均一な粉」は、確かにきれいな味わいがありますが、単調で物足りない、あんまり面白くない(笑)コーヒーになります。単純に均一だから味が良い訳ではありません。
基本的にはまずテイスティングが先に立ち、その後でどういう傾向がデータとしてあるのかを確認するのが常に正しい検証アプローチになりますです。
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ということで粒度に戻りますが、あるコーヒーをエスプレッソとして抽出する場合、完璧に粒度が均一である必要はなく、一定量の細かい粒度(微粉的な物)があった方が現在では良いとされています。細かい粒域(Micro Fine)が存在しないと、酸とフレーバーはあっても、甘さとボディ、そして味わいの強度が形成されずに印象が貧弱なエスプレッソになってしまうからです。
もちろんある程度粒度はそろっていた方がいいにはいいのですが、やりすぎは禁物という事ですね。
例えば上記の807 LAB SWEETは微粉が少なく、粒度分布に優れる鋳鋼鉄の楕円形カット刃が採用されていますが、このグラインダーを使ってエスプレッソ抽出すると、質感が軽く甘さが控えめで、結構すっきりしたエスプレッソになります。
では同じようなリテール・グラインダーであるEK43が、なぜエスプレッソに多く使われているかというと、dittingに比べてヒストグラムの左側の微粉域がやや多く、さらに全体的な粒度分布にやや広がりがあるので、甘さとボディがONされて味のバランスが良くなりやすいからです。
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粒度分布の均一さのみを盲信してはダメなんですねー(/・ω・)/。別にすっきりしたエスプレッソでも全然問題ないのですが、重要なのはどういう意図でどういう味わいにしたいかであって、グラインダーの粒度分布の均一性は抽出オプションの一つに過ぎないという事なんです。
(鋳鋼鉄の楕円カット刃(微粉が少ない))
(鋼鉄掘削の鋭角カット刃(微粉が気持ち多め))
上記2つの写真は別のブログでも紹介していますね。
ちょっと前までは上記の鋳物の鋼鉄で楕円形のカットを入れたものが選好されていましたが、現在の競技会エスプレッソ抽出では下の方の鋭角なカット刃を選好する人も多くなっています。
あ、そうそう・・・、過去のエスプレッソ・トレンドを時系列的に整理するとその経緯の変遷が面白いです。
ファナティックの回想( ˘ω˘)スヤァ
・2000年代初頭。グラインダーの粒度分布が不均一で微粉が多く、エスプレッソの味わいが安定しなかった
・2003年。トリプル・リストレット(粉量約21g)で抽出をアンダー(低EY)に寄せ、抽出のネガティブを出しにくく、かつ味わいを強く(高TDS)するトレンドが到来(ポール・バセット)
・2000年代後半。不均等な抽出(Channeling:チャネリング)の要因となるクランプ(Clump:微粉の塊)の低減が重視されるようになった。細かい粒度域が得意なフラット・バーは粉を練り込みやすく、さらに摩擦熱が発生しやすい(バーの径が小さくて高回転)ことからコーヒーの風味を傷めるとされた。これらにより、コニカル・バーの方がエスプレッソ抽出に向いていると考えられるようになった(Mazzer Ruberが代表的なグラインダーに)
・業界の浅煎り傾向が強まり、クランプが発生しづらくなる。反面、コニカルでは刃が硬い豆を噛んでしまい、粉砕できなくなる事例が増えた。フラットはこれに対応するために刃の径を広げることになった
・リストレットではコニカルより粒形が小さいフラットの方がドーシング・アップしやすい(粉量を多くできる)ため、フラットが再評価されるように
・2013年。粒度分布の特性がエスプレッソ抽出に向くとしてリテール・グラインダーであったEK43に脚光が当たる(マット・パーガー)
・粒度分布の分析トレンドが進む。様々な材質やカット形状などに注目が集まる
・フラットの粉体はコニカルより小さいため、収率をより稼ぐことができると考えられるようになった。また粉量を多くすることが可能(嵩増ししにくい)で、調整幅が広い事が好感されてフラットがエスプレッソ・グラインダーの定番に返り咲く
・粒度分布の均一性が重視されてきたが、特定の刃にこだわらず、ターゲットの味に基づいて刃を使い分ける事例が増加。エスプレッソ抽出では、一定量のMicro Fine(微粉)がある方が好ましいと考えられるようになった(←今ココ(‘ω’))
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いやー、今の人はあんま知らんかもですけど、昔はコニカルじゃないとだめだと言われてましたし、EK43はマットが使わなかったら設計が古すぎて廃盤になってたかもしれないグラインダーでしたからねー。こうしてみると面白ですねー( *´艸`)。
と言うことで、現在のエスプレッソ・シーンではある程度細かい粒度が入った、ほどほどに分布が均一なグラインダー(まあ、わがままネ♡)が望まれているようです。
では焙煎度分布(Roast Color Distribution)とは?
思いっきり遠回りして、グラインダーの粒度分布とその味わいにおける傾向をお話しましたが、今回のトピックである肝心の焙煎の分布とはなんなのか・・・・?・・・そろそろ本題に入っていきたいと思います。
焙煎における煎りの深さの指標は色差計である、アグトロン(Agtron)がスペシャルティ業界では使用されています。でもメインストリーム(普通のコーヒー業界では)国際規格であるCIELABのL値が標準です。
現在のアグトロン計測器ではコーヒーの豆、あるいは粉に電磁波(近赤外線だったっけ?)を当ててその反射率を計測しています(要は光の反射と同じ)。日本と欧米ではそれぞれの数値における用語や定義が異なるのですが、一応以下のようなスケールとなっています。
(反射率が高い=数値が高いと焙煎が“浅い”ことを示す)
焙煎豆やその粉は焙煎の進行によって色が暗くなっていく(煎りが深くなる)訳ですが、一粒の豆は完全な楕円形ではなく、歪で、内部の密度も場所によって異なってきます。なので、豆全体が丸ごと同じ暗さや色になりません。焙煎豆の内部は外部より明るくなりますし、豆の糖分が集中している所は他より暗くなります。また豆同士の焙煎度合にも揺らぎが生じます。
このように、一つの焙煎バッチの中に、多様な焙煎度合(色の暗さ)が分布しているので、ファナティックはこれを“焙煎度分布=Roast Color Distribution”と呼ぶことにしました(公式な用語はまだないと思いますが、勝手にそういう事にしときます(笑))。
アグトロン値はこういった計測時の焙煎度分布の内、“平均値”を現していて、これが計測器とかで計った際に表示されて、皆さんが認知するアグロトンの数値となってる訳です!!
まあ・・・♡
これは、グラインダーの粒度分布にとても似ているではありませんか!!!(*´ω`*)
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ただしアグトロンの計測は結構ナイーブで変動要素がかなり多いです・・・。通常は粉の状態で計測して上記の区分(Light~Italian)を割り当てることが一般的なんですが、実は計測時における偏差がすっごく大きくて、様々な要因でアグトロンの数値が揺動します。
【アグトロン計測が変動する要因】
- 粉の挽目
- 粉の粒度分布
- 粉の粒形
- アグロン計の充電不足(笑)
- 計測する人の力量(つまりやり方)
基本的にはSCAメッシュ(850㎛のメッシュを70~75%通過するメッシュ)で計測することが多いと思いますが、まず、計測時のメッシュが細かいと反射率が上がって数値が高く(浅く)表示されるようになり、反対にメッシュが粗いと隙間が多くなって数値が低く(深く)なります。
そんでもって粒度分布も考慮すべきポイントになります。いくら70~75%で仕切っても、これ以上の粒度でばらつくと数値が変動しちゃいます。またコニカルとフラットでは粒の形が異なる(コニカル=多角形状、フラット=フレーク形状)ので、光の当たり方も絶妙に異なってきます。
まあ、何より最後の人の手が最もぶれるので、計測の仕方がアウチだと結果も毎回アウチになります。
あわわわわ・・・・・・・
ということで、そもそも一貫した精度の高い計測がほぼ不可能であることは一応頭の片隅に入れておいてもらえれば幸いです。コーヒー業界では科学的なことを重視して、それを絶対視する人がいますが、はっきり言って、正確な手順を踏んだ計測や科学的再現性を担保した実験が行いづらいのが現状です。やはり前提として、取得データの信憑性と検査の再現性がものすごく低い事を認識すべきだと思います。きちんとした研究所での実験でもやはり準備条件が揺らいでいる(焙煎機の予熱プロトコルや、焙煎度合、プロファイル、生産国オリジンが違うとデータが変わって来る)場合があるので注意が必要です。計測方法が異なると同じ実験でも得られるデータが全く変わってくることもザラにあります・・・・。
最近市販されている計測器では粒度分布や焙煎度合を計測できるようになりましたが、素人が市販の計測器で計っても、精度の高いデータになりません。本気で信憑性の高いデータを得るのであれば、ISOなどの手順を順守し、それなりの計測器で計らないとダメです。ちなみにグラインダー・メーカーのラボにある粒度分布計測器は数百万円以上します。
いくら高いと言っても数十万円程度の計測器、ましてや素人の計測で得られるデータは荒物であり、たかが知れています。この点はきちんと押さえておかないと、傲慢で偏った脇の甘い科学主義者になっちゃうので要注意です(`・ω・´)キリ!!
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あ、ちょっと横道にそれちゃった(汗)
アグトロン計で表示される数値の注意
まず基本的なところを押さえていきたいと思います。肝心のアグトロンの数値なんですが、上記で説明した通り、サンプルの“平均値”になるので、理解の仕方に注意が必要です。・・・と言うのは、統計学的には“平均値”、“中央値”、”最頻値”という指標があってですね、必ずしも平均値が、計測サンプルにおける中間の値になる訳ではないという事実に注意する必要があるからです。
【平均値、中央値、最頻値】
- 平均値(Mean)=データの合計をデータ数で割った値で、データ全体における中心的な値。極端な値(外れ値)に影響を受けやすい
- 中央値(Median)=データを数値の小さい順に並べたときに、全データの真ん中に位置する値。極端な値(外れ値)に影響を受けにくい
- 最頻値(Mode)=全データの中で最も頻度が高い値(一番多く出現している値)。
イメージとしては日本人の給与を考えるとわかりやすいです。
【引用】2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa23/dl/03.pdf
令和5年(2023)の日本人の給与の平均値は約524万円ですが、中央値は405万円です。なので、405万円を境に全人口の50%がこれ以下の収入を得ており、同じく人口の50%がこれ以上の収入を得ていることになります。最頻値は100~200万円(14.6%)になりますね。と言うことで平均給与である524万円以上の水準の人は全国民の半数以下(上図の場合だと37.8%)で、あんまり多くないってことですね。
(15年前と比べて平均値も中央値も20万円以上下がってる・・・・最頻値は200-300万から100-200万のレンジに繰り下がった(死)。(´Д⊂ヽニホンハ、モウオワリダ・・・)
これは結構重要です。例えば平均給与を引き合いに出して、ある国の一般的な家計を説明したとしましょう。しかし実際には貧富の差が激しく、収入が極端に高い人と極端に低い人で構成されていた場合、平均給与を計算してもその額を得ている人はほとんどおらず、実際にはそれよりも低い水準で生活している人が一般的になっちゃいます。
そうすると平均値と言うものが、実際の中間層の生活を現す指標とは言えなくなってしまうんですねー。
もっとカンタンに言うと、裕福層の収入が高いと平均給与は上がるものの、実際にその給与を得ている人はほとんどいないので、一般的な人の生活を説明する上で全く意味なくなっちゃうんですね(金持ちが稼いでも一般庶民には関係ねぇわ(^_^メ))。
なので、“中央値”や”最頻値”を知ることはとても重要です。なぜなら、それが一番Mass(マス=多数を占めるグループ=この場合は一般大衆)の実態を現すからですね。
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ということでアグトロンに戻りますが、繰り返しますと、アグトロンは“平均値”を現しています・・・。
こちらも同じように中央値や最頻値が異なると、はっきりいってそれらの焙煎度合は別物と言っても過言ではありません。まあ、プロファイルが異なると同じ焙煎度を達成するのは物理的に不可能になっちゃう(あくまで焙煎度を近似させる事しかできない)ので、当たり前と言えば当たり前なんですけどねー。
じゃあ実際にデータ(Roast Color Distribution)を比較してみるか・・・・
先日焙煎トレーニングに行ったときに、焙煎傾向は異なるがほぼ同じアグトロン値を持つ2つコーヒー豆のサンプルを分析する機会がありました。計測機器は最近流行りのDifluid Omniのアグロトン・リーダーです。
【サンプルの概要】
- ガス圧1.2kPa固定。焙煎時間8分強 粉Agtron:80.3
- 酸、フレーバー、甘さ、質感のバランスが良い
- ガス圧1.4kPa固定。焙煎時間7分弱。粉Agtron:81.2
- 酸とフレーバーが明確で①よりボディが軽い
豆はエチオピアのSidamaの水洗式です。それぞれCoffee Discoveryで焙煎しました。アグトロンのポイントは約1ポイント違いますが、アグトロンは計測するたびに数値が若干変わるので、まあ誤差の範疇ですね。強いて言えばかすかに②の方が深いってくらいです。でも業界の常識で考えると、やっぱりこれらは数値的にほぼ同じ焙煎度合だと言えます。
今をトキメク(?)Difluid Omniは様々な機能があるのですが、焙煎色分析では、アグトロンの平均値、アグトロンの分布(ヒストグラム)、標準偏差等を参照することができます。面白そうですね!!
・・・・ただ残念ながら、Difluid Omniが表示する分布データはかなり粗く、データ・サンプルのセットやその区分の根拠がちょっとよくわかりません。中央値は表示されず、最頻値はなんとなくわかる程度(ヒストグラムの形から予測・・・)です。ヒストグラムが分布全体を表示できていないので、本当に”なんとなーく”なデータしか分かりません。この点ぜひご承知おきください。
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では実際にどういうデータが出たのか見てみましょう!!
れっつらごー!!
・・・・・( *´艸`)ドキドキ
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- ガス圧1.2kPa:焙煎時間8分強
主体となる焙煎度合のレンジはLight~Cityの範囲まで分布しています。意外と深いレンジも入っているんですね!
ややなだらかな単峰性ヒストグラムで、平均値は80.3ですね。最頻値も80.3(占有率24%)なので、この数値がこの焙煎における中心的な焙煎度合と言えます。こうしてみるとそれなりに深くなっているものや浅くなっているものが多いんですね!標準偏差(STD)が15.4なので、この焙煎ではアグトロン64.9~95.7の範囲に入る粉が全体の68%を占め、2倍標準偏差では49~111.1の範囲の粉が全体の95%を占めます。
*標準偏差(Standard Deviation):サンプル・データ内の値が平均値からどれだけ散らばっているかを表す指標。数値が小さいほど各データが平均値に近い(ばらつきが少ない)事を現す。標準偏差には全サンプルの内68%のデータが含まれ、2倍標準偏差には95%のデータが含まれる。
サンプル①の味わいは、甘さと酸のバランスが良くて整った印象です。パンチには欠けますが、安定感がある印象のコーヒーでしたー(*’▽’)
それでは、もう一つの方はどうでしょう?
- ガス圧1.4kPa:焙煎時間7分弱
主な焙煎度合の分布はLight~Highまでになっていますね。レンジとしては①より浅めの分布になっているようです。ではヒストグラムの方はどうでしょうか・・・??
うお!!(゚Д゚;)なんじゃこりゃ!?
このヒストグラムは多峰性で両端にピークがありますね。①のヒストグラムと分布が大分違います。平均値は81.2ですが、最頻値は96.2?(占有値21%)ですかね?一番深い66.2(占有値21%)も同じ占有率ですが、ヒストグラムだと右側の棒の方が高くなっていますので96.2の方が度数は高いのでしょうか??(どういうこと??)。
標準偏差は14.4なので、66.8~95.6の範囲が68%を占めます。2倍標準偏差だと52.4~110の範囲が95%を占めますね。ちょっと横に広すぎて2倍標準偏差の範囲までヒストグラムに入り切ってないようです。・・・これ以上参照できないのですが、左右の先の分布が気になりますねぇ・・・・。
標準偏差は①より1ポイント少ないですが、左右の壁以外のサンプルらの占有率(数)が近いので偏差が少し低下したようですね。
味わいは酸とフレーバーが明確でしたが、特に酸のストラクチャーがはっきりして、ボディがすっきりしているのが印象的でした(*’▽’)
んじゃ①と②を比べてみるっぺ!!
まず最頻値が全く違うので、これら2つは同じアグトロンであっても、かなり系統の異なる焙煎豆だと言えます。
- ①の最頻値は80.3で占有率24%(②の最頻値である96付近は13%程度)
- ②の最頻値は96.2で占有率21%(①の最頻値である80近辺は13%程度)
一番数が多い粉の焙煎度合がそれぞれ異なるので、基本となるテイストも大きく異なります。もはや焙煎度合そのものが違うといっても過言ではありません。
そして、ヒストグラムの形は・・・・
- ①は単峰性
- ②は多峰性(2つのピーク)だが、別の系統である“高原性”もやや含む
*高原型ヒストグラム:同じ高さの柱が複数存在して、中心付近の頂点のラインがほぼ平らになるグラフを、高原型ヒストグラムと呼ぶ。平均値が異なるデータが混在しているときに見られるグラフ。
【参考】Marketing Picks
https://vectorinc.co.jp/articles/marketing/term_framework/1124537
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ヒストグラムの形が両者で全く違いますが、①は単峰性で80.3を中心にデータが集中しています。近しい焙煎度合の粉の割合が多いので、味わいとしては均一性が高く、統一感がある事が伺えます。
一方②は左右の壁の数値が高いので、浅い粉と深い粉のブレンドになっています。さらに76.2~91.2の範囲の占有率の幅が11~13%なので、それぞれの焙煎度合の粉がまんべんなく存在しています。これらのことから、味わいは均一性を欠くものの、複雑であることが伺えます。
標準偏差でのレンジを見ると・・・・
- ①STD=15.4のレンジは64.9~95.7
- ②STD=14.4のレンジは66.8~95.6
標準偏差のレンジは②が低い側で2ポイントほど浅くなっていますね。①と②の分布でアグトロン70付近以下の割合を比較すると、①は37%、②は30%位だったので、②は全般的に浅い側でデータが多いようです。なので、こういった部分で酸の印象に違いが出た可能性がありますね。
実際の味わいと焙煎傾向は?
- ①のテイストは甘さ/質感優位。焙煎傾向はLTLT/Bake側
- ②のテイストは酸/フレーバー優位。焙煎傾向はHTST/Stir Fry側
実際のテイスティングでは①は甘さと質感に秀でて、バランスが良くて安定感のある味わいでした。②の方は酸とフレーバーが明確で、ダイナミックで躍動感のある味わいでした。
焙煎時間では①と②では1分ほど差があり、お互いを比較すると①の方が低温長時間(LTLT/Bake)側になり、②の方が高温短時間(HTST/Stir Fry)側になります。HTSTでは酸とフレーバーが明確になることがわかっています。実際のテイスティングも焙煎傾向通りの結果となりました。
今回②より長い焙煎は行いませんでしたが、どのような分布になったかは気になりますね!一応、今回の件検証ではヒストグラム的にも両者に大きく違いが出ました。
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①と②のどっちが良いかは好みなので、はっきり言ってどっちでもいいです。確かにあんまり煎りムラし過ぎるとやばいですが、別に分布が均一であるから味覚的に優れている訳では全くないですね。こういったところも粒度分布と本当にそっくりで、要は味のターゲットによって違う分布データが出るよって事です。なので、味が気に入っていれば分布やヒストグラムの形なんてどうでもいいんですねー。
うぺぺ。
ちなみに深煎りもやってみた・・・・
実は深煎りの検証もやったので、同じように2つのフレンチローストの検体を比べてみました。その結果がこちら。
1バッチ目
2バッチ目
ん?あれ?ほとんど変わらなくない???(゚Д゚;)
・・・・まるでコピーしたかのようにほぼ同じ分布/数値を現す2つの深煎り・・・・。
数値上、この2つの焙煎バッチはほぼ同じ焙煎と言えます。アグトロンも、ヒストグラムも、標準偏差もほぼ同じですね。
だが、しかし!!!
実はカッピングしてみると明確に味の違いがあるんです。簡単に言うと、2バッチ目の方はボディが軽く、クリーンカップ性能が高いのです。
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じゃあ、何が違うかと言うと、②の方が投入量少ないんですね(500gくらい違うのかな?)。
味は異なるものの、計測してみると数値はほぼ同じ・・・・・。
ありま(@_@)
と言うことで、しょせん機械で見える範囲は限られているので、実際のテイスティングと焙煎操作とのすり合わせが大事という事でしたー!!ぱちぱちぱち。
数字だけ見てあーだこーだ言っても仕方がないってことですね。あくまで結果の記録として参照するのがよくて、こういった分布の形や数値を指標化して、絶対視してはいけないってことです(STDはどの数値にすべきとか、ヒストグラムの形はどれが良いかとか、変に決めつけちゃダメってこと)。
ということで数字やデータの形に惑わされないで、ぜひ実際のテイスティングを基準に焙煎プロファイルを設計しましょう!!
数字ではコーヒーおいしくならんからね!!コーヒーおいしくするのは“人間”だからね!!(。◕ˇдˇ◕。)/ワカッタマスカ?
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いやー、楽しかった!!
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けど、この検証・・・・意味あったんかな????
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貴方がおわす峰は一体どこに・・・・?
愛のModeは大全開♡
波打つ心の分布を超えていけ!!(∩´∀`)∩!!
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Meanを超えてPeekをめざすのだぁぁぁぁ!!!!
( ゚Д゚)ぽかーん