Clean Cup希望Fanatic三神です♡

とういう訳で、やっとこさ前回で品種編が一区切りついたので、カッピングの話を続けたいと思います。

前回でClean Cup、Sweetness、Acidity、Mouthfeelの4カテゴリーを紹介したので、今回はFlavor、Aftertaste、Balance、Overallの後半4つになりますね。

なお各解説はファナティックの見解も含みますのでご注意ください。あくまでも参考程度に読んでね♡。

それでは行ってみましょうか。

Flavor

フレーバーは、味覚(甘味、酸味、苦味、塩味、辛味)と嗅覚(香り)が結合したもので、優れたコーヒーがその上品さ、力強さ、そしてテロワール(Micro Clomate=小区画の土地の味)を顕わす項目でもあります。コーヒーカッパーはコーヒーのフレーバープロファイルが単に一般的な物なのか、それとも丁寧な収穫、生産処理の技術によってもたらされたテロワールの卓抜した顕現なのかを見極める必要があります。例えば発酵過程により生み出されたフルーティー(やや発酵的)なフレーバーが多くの人にとって好意的な印象であった場合、そのフレーバーが世界的に再生産可能である必要があります。反対にこうしたフレーバーがコーヒー本来のテロワールを覆い隠し、阻害する要因であれば低評価となります。

*現在ナチュラルのコーヒー等で親しまれているいわゆる“ワイニー”フレーバーは、かつてのコーヒー業界では“Fruity”と呼ばれ、“発酵”もしくは“過熟”という欠点だった。

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この項目は具体的な食品(フルーツやお菓子、花の香り、ワイン等)に例えて表現されます。

“Flavor”は味と香りの合成概念で、日本語では“風味”、“香味”などと言われます。上記で味覚について触れてますが、最近は“うま味”も味の一つとされていますね。ただ渋味だけは口内の収斂性刺激ととらえられています。基本的にはAcidityとAromaが主要構成要素ですが、そこに”Sweetness”や”Mouthfeel”が加わることで様々なフレーバーが生み出されてきます。

例えばAcidityがクエン酸などのシンプルなもので、かつSweetnessが低く、Mouthfeelも軽かった場合、“Lemon”といったフレーバーを感じるかもしれません。

またクエン酸とリンゴ酸主体で甘かったら“Green Apple”。リンゴ酸と酒石酸主体で甘く、かつミディアムボディの場合は“Red Apple”になるかもしれませんね。

クエン酸主体で甘さがあり、微かにTanninの刺激味を感じさせ、なおかつ好意的だった場合は“Citrus Peel”が相当するかもしれません。

ナチュラルの果肉臭があり、酒石酸主体だと“Red Wine”。水洗式のコーヒーでリンゴ酸+乳酸で、甘さが伴う場合は“White Wine”になるかもしれません。

またメイラード反応で生じた香気成分にSweetnessが加わることによって“Chocolate”、“Caramel”、“Vanilla”、“Toffy”等の砂糖菓子系のフレーバーも出てきますね。

・・・等々、様々な組み合わせによって無限代のフレーバーが生み出される可能性があります。これらは一例ですが、必ずしもこうした有機酸等が含まれているからそのフレーバーがするとは限りません。実際には分析しないと本当のところはわかりません・・・。

なお注意したいのは上記にもありましたが、“コーヒー本来の味=テロワールとは何か”を常に考えることだと思います。“ワイニー”なコーヒーも出たばかりの頃は、発酵臭が強すぎて、コーヒー本来のフレーバーが分かりづらかったことが多々ありました。今ではだいぶ洗練されてきましたが、近年ではアナエロビック(カーボニック)、イースト発酵、サイダー発酵(シードル酵母)、乳酸発酵(ラクティックファーメンテーション)フルーツ漬、ファンキーナチュラルなど、本当にいっぱい生産処理があります・・・。

土壌や標高に恵まれない生産者はこうした足りないテロワールを補うために苦心して行っていると思うのですが、こういった処理でコーヒーの味を脚色しすぎてしまっている物も多々あります。個人的にはこういうの大好きで、どんどん新しいことやってもらいたいと思っていますが、果たしてコーヒーの素の味は何なのか?・・・を見直すことはコーヒーに関わるものとして常に心にとめておきたいと思っています。

またもう一つ補足したいのは、同じフレーバーでも人によってとらえている部分が違うという場合があります。例えば“Grapefruit”というフレーバーを複数人でキャッチした場合、グレープフルーツを剥く香り、実際の味、微かな渋みを伴う酸、のど越し、清涼感、ジューシーさ等、何を感じてグレープフルーツに至ったのか?もしかすると果実ではなくてグレープフルーツジュースやキャンディーをイメージしているかもしれません。人によってそのフレーバーを連想させる要因が実は結構異なります。

なので、多少コーヒーカッパー同士の描写が異なっていてもそれほど気にする必要はありません。ただコーヒーに素晴らしいフレーバーがあると様々な表現で表すことができるので、味覚の記憶のストックはあったに越したことはないかもしれませんね。ただあんまり特殊な表現、例えば「何某が小区画で育てている、あまおうの亜種のイチゴ」などと言われても、誰も知らなければ共有できないので、特殊すぎる表現には注意が必要です(個人的な記録用とかだったらいいですけどね・・・)。

ちょっと横道にそれました・・・。

ある程度“Clean Cup”で、酸と甘さが感じられれば6点付くと思います。7点以上はさらに酸と甘さの印象が強く、クリーンで果実等のフレーバーがより具体的になる必要があります。

Aftertaste

アフターテイストは、コーヒーが飲み込まれた時のフレーバーの余韻がコーヒーの他の特徴からくる心地よさをさらに強めているのか、または反対に弱め、阻害しているのかを評価します。コーヒーが甘さの余韻で消えていくのか?もしくは荒々しさが表面化してしまっているのかをここでは問います。

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“After”と言う表現は一応ありますが、大抵の場合は“Finish”と言われることの方が多いと思います。一般的に“Aftertaste”は余韻が長い方が良いとされていますが、短くてもきれいな印象で小気味よいフィニッシュであれば高評価になります。

個人的には“Clean Cup”に紐づけて評価していますが、この項目こそ他のフレーバー項目(Balance、Overallは一応除く)に密接に関係し多様性があります。整理すると下記のような組み合わせになると思います。そしてそれぞれが相関する各Flavor項目の点数に影響を受けます。

  • Clean Cupとの相関

汚れや雑味のないきれいな後味になります。“Clean Cup”に何かしらの瑕疵があると自動的にAftertasteの点数も下がる可能性があります。心地良い場合はClean Finish等と言われます。

  • Sweetnessとの相関

甘さの余韻で終わるAftertasteは高評価になります。しかし“Sweetness”が単独で高得点という事はあまりないので、“Flavor”での印象にも影響を受けます。Sweet Finish等。

  • Acidityとの相関

明るい余韻や快活さで終わるAftertasteです。“Acidity”も“Clean Cup”でないと高評価にならないので、きれいさはそのまま酸の後味に影響を及ぼします。

  • Mouthfeelとの相関

基本的に“Mouthfeel”の強度が高い=High Bodyだと、Long Afterになる可能性が高いです。しかし質感が重くても刺激があったり、粉っぽかったりすると評価は下がります。Aftertasteの表現と“Mouthfeel”のフレーバー表現は重複する場合が多くあります。Syrupy After、Silky Finish、Smooth Finish等。

  • Flavorとの相関

好意的なFlavorが長く続けば高評価になります。しかしそれを下支えするのはやはり“Clean Cup”、“Acidity”、になるので複合的な印象が重なりやすいです。ですが“Flavor”で高得点になると連れ添って高得点になりやすいのも事実です。ただ具体的なフルーツを上げて、“Strawberry Finish”等と表現することはあまりありませんね。”Floral Finish”は聞いたことがありますが。

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Aftertasteは上記の中でも特に”Clean Cup”と“Mouthfeel”に影響を受けやすいと思います。結構アフターに残る印象はごまかしがきかないので、一見良さそうなフレーバーを持つコーヒーでも“Aftertaste”でネガティブを露呈することがあります。

Aftertasteはこのように各Flavor項目に連動するパートなので、単独で高評価になることはまずありません。

Balance

コーヒーにハーモニーがあるか?何かが突出していないか?または足りない部分はないか?などを精査する項目です。

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ある意味一番難しい項目です。何となくわかるけど正確にはわからないのがほとんどではないでしょうか?まずはハーモニーがあるかという点。今まで上げてきた各Flavor項目がお互いを補完しあい、もしくは協調し高め合っている場合に高評価になります。いわゆるシナジーってやつですね(例:酸+甘さの味覚の相乗効果等)。単に各Flavor項目の印象の強度が全て同程度であれば良いというものではないのが重要な点です。

あともう一つは“それらしさ”があるかという事です。

”それらしさ”とはどういうことか・・・?

例えばレモン的なコーヒーと、ピーチ的なコーヒーでは当然味のバランスが異なります。

レモン的でフローラルな場合は甘さが穏やかで酸が明確であるのが良いバランスかもしれません。

反対にピーチは甘さ質感が共に強く、酸はやや控えめなバランスが良しとされるかもしれません。

そうするとレモン的コーヒーはピーチ的な物に比べると甘さが低いことになりますが、だからと言ってレモン的コーヒーにもっと甘さが必要であるかというと、そういう訳でもありません。

各フレーバーやそのバランスにおいては個々に”それらしさ”が異なるのです。

ただ飲料として(コーヒーとして)、明らかに甘さが不足して物足りない場合は、人は自然にその不足感を感じると思います。そういった意味で各コーヒーの個性や多様性を尊重しながら、そのバランスを精査していくことが必要なのです。

・・・・だからやっぱり一番難しいパートですねBalanceは・・・。“Aftertaste”同様、単独で高得点になることはまずないです。各Flavor項目が7点の場合に連れ添って7点になったり、反対に“Clean Cup”で問題があった場合に減点されたりと、なにかと点数調整目的で採点されることが多いかもしれません。

Overall

コーヒーにわくわくするような複雑さがあるか?もしくはシンプルだけどとても素晴らしいコーヒーなのか?そのコーヒーが好きか嫌いか?コーヒーカッパーの個人的な嗜好を反映しても良い項目です。

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最後の点数調整でよく用いられる項目の様にも思えます。一応定義上は個人の好き嫌いを盛り込んでいいいことになっていますが、各Flavor項目の点数から著しく外れることはありません。例えば各Flavor項目が6点ついてるのにOverallだけ8点、あるいは4点とかにはなりません。加点、減点するにしても平均の点数レンジから±1点位ですね。

基本的にはそれまで付けてきた点数の延長上になります。6点平均なら6点、7点平均なら7点を付けるのが妥当な感じですね。ただ6点平均だけど、好きなコーヒーだからOverallは7点にしておく、といったような付け方はもちろんOKです。

また最終点数を調整するために加点、減点することもあります。

例えば各レベルのコーヒーに値するか?つまりは84点でExemplary Coffee(模範的スペシャルティー)、86点でCOE認定レベル、90点でPresidential Award Coffeeになるので、こうした節目の点数が持つ意味は重大になります。

このコーヒーが果たして各レベルに値するコーヒーなのか?を決める際に、このOverallや”“Balance”などで点数調整する事もできます。例えば「今フォームの上の点数は89.5点だけど、このコーヒーは賞賛に値するから、90点にしよう」・・・というような感じになります。

Final Points(最後に)

コーヒーがワインと違う点の一つに、温度の変化によって風味特性が変化していくという点があります(George Howell談・・・。え、ワインも同じだと思うけど・・・・?)。しかしコモディティーコーヒー(一般品のコーヒーのこと)の世界から脱却するためには、コーヒーの第一印象のみならず、時間の経過によってゆっくりと変化、発達していく稀有なコーヒーの素晴らしい特徴をつかむことが大変重要になってきます。コーヒーカッパーにはこうしたアプローチで品質評価を行うことが求められているのです。

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時間の経過によって特徴が判別しやすくなる現象ですね。温度が下がってくると特徴が出てくるというよりかは、人間が味を感知しやすい温度帯になったというのが正確なところだと思います。例えば時間の経過=温度の低下につれて印象が上がっていくことを“Improve=向上”と言いますね。消費者はコーヒーを一気飲みする訳ではなく(火傷するわい・・・)時間をかけて一杯のコーヒーを飲むので、時間の経過によって特徴が変化することをカップテイスターは知っていなければならないのです。そういった変化は下記の様に表現されます。

  • Consistent 

時間がたっても最初の好意的な印象から変化がなく、一貫した品質を保つこと。素晴らしいコーヒーはこうした強い一貫性を持ちます。

  • Improve

時間の経過と共に印象が向上していくこと。最初の印象より、後半に伸びてくるコーヒーです。

  • Decline

時間の経過と共に印象が下がっていくこと。ひょっとするとこの言葉はあまり使われず”Going Down”とか”Diminish”とかがかわりに使われるかもしれません。フレーバーが派手なコーヒーは、第一印象は良いのですが、“Clean Cup”や“Mouthfeel”に問題がある場合、結果的に下がることがあります。早合点は禁物ですね。

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こんなとこかな?

いやーカッピングは奥が深いねー!!

結構表現が各項目に渡って共有されるからちょっと難しいよね・・・。

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Clean Cupでいたい!!

しかし貴女の印象に残るには、人として“アク”が必要なのかもしれない・・・!!

Roughにならないよう、適度なTanninを持った人に私はなりたい・・・。(宮〇賢〇風)

・・・・渋い男ってこと??(意味不)(/o\)

・・・・・ぱた・・・・・・