こんにちは!!Coffee Trader三神です!

前回に引き続いてスペシャルティーシーンの重要なキーワードを考察していくシリーズ。今回は後編、“Direct Trade=ダイレクトトレード”の話をしたいと思います。

スペシャルティーの醍醐味と言えば“ダイレクトトレード!!( ゚Д゚)”

・・・・みたいに言われますが、実際どういうことなのか?きちんと把握しときたいところですね!

それではいってみよー!!

生産者から直接買う??

“ダイレクト”は直訳すると、“直接”という意味なので、“ダイレクトトレード”は“直接取引”という意味になりますね。

こうした事を喧伝するのは主にロースター/焙煎業者さんになります。

「私たちが直に産地に行って買い付けしました!!」

・・・・という文言をみなさん見たことあるかもしれません。

ダイレクトトレードは“フェアトレード”の一種と考えることも可能で、品質に対する対価と利益還元性が高いため、上位のフェアトレードであると提唱しているロースターもあります。

ただ、一般的なフェアトレードでは支払われるプレミアムが決まっているので、結局生産者は自由に値付けすることはできず、さらに査察、書類作成、ガイドラインに沿った生産や労働環境を守らなきゃいけないので、ぶっちゃけ小規模生産者とかはできないんですね。オーガニックも超めんどくさいので、基本的に認証系は、小規模生産者は無理になります。

なので品質に自信があったら変にフェアトレードやらないで、スペシャルティーとして販売した方が小規模生産者にとって楽だし、実入りも多い訳です。

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ただここで一番の誤解は・・・

コーヒーを“生産者から直接買っている”という認識が実は誤りである事です。

正しくは“輸出業者から買っている”です。

もちろんある程度の規模があったり、法人化している農園の場合は輸出業者を兼ねることがありますが、いわゆる小規模農園物のマイクロロットなどに関しては、生産者は直接バイヤーに販売することがはできません。

多くの生産国にとって輸出作物であるコーヒーは重要な外貨獲得資源です。輸出にあたっては免許の取得が必要とされ、政府の管理下に置かれることが一般的です。

なので生産者は輸出業者にロットを販売、もしくは委託販売し、出港前の最後の生産/グレーディングを行う“ドライミル精製”や輸出における事務/雑務等を代行してもらっています。

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勝手に売ってはいけないのです(;´・ω・)。

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・・・・・と言うか売れないです。

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例えばブルンジみたいに政府が厳しい国だとまず輸出するにあたって、政府に輸出申請して、デポジットを払って輸出が許可されます。ここでチョンボすると輸出免許が停止されたり、剥奪されたりします(/・ω・)/。

基本的にどの国でもライセンスをもった輸出業者でないと海外へ販売できません。

また各農園にはひも付きの輸出業者がいるので、いきなり農園に行って「買いたい」と言うと超迷惑になります。まずその農園の輸出業者とコンタクトをとって仲介してくれるかを確認しないといけません。そんでもって日本に販売したことのない輸出業者だったら、日本の輸入に際して必要な書類を準備させて、残留農薬基準なんかを知ってもらう必要があります。

日本の場合、一番の障壁は“残留農薬”です。小さい生産者は日本の禁止農薬や商習慣なんか知る由もありません。輸出業者や農協の指導やサポートがなければ分かりようもないし売りようもないです。

輸出業者はコーヒーを生産者達から集め、商社やロースターにサンプルを送ってコーヒーをオファーします。輸出業者が生産者達を代行してマーケティングと営業活動を行います。ただ輸出業者もコマーシャルを主に扱うところ、スペシャルティーの扱いに力を入れているところなど色々違いがあります。

よって、どういった輸出業者と付き合うかはバイヤーである輸入者にとっても、コーヒーの販売を委託する生産者にとっても超重要な事項になります。

輸入者は誰に対して支払ってるのか?

見出しの答えは“輸出業者”です(早!)。輸入者(商社もしくはロースター等)は該当国の輸出業者に対してコーヒーの代金を払っています。いわゆるFOB価格(本船渡し条件)は輸出直前の価格を表し、船積みまでされた状態での支払いになります。船賃は輸入者船会社に別に払います。

またコーヒーの取引は国際通貨である“$ドル”で行われます。

・・・・ここが超重要です。

例えば日本にいる我々は“円”で生活してるので、銀行口座の預金や、会社からの給料、会社の経費などは当たり前ですけど“円”になりますね。

これが突然“ドル”で振り込まれたらどうでしょうか?

日本国内で円に換金しなければ使用できませんが、それ以前に外為に対応した口座じゃないと振り込めないですよね?

これと同じで、例えばコロンビアの山奥の3ha位の生産者が外為の銀行口座とかを持っている訳がないのです(中米のいくつかの国はドルがそのまま使えますけど)。

国内の通貨で支払ってもらわないと困る訳です・・・・(;´・ω・)。

という事で購入者は代金を直接生産者に支払うことができません。生産者は輸出業者に国内通貨に換金してもらって支払いを受ける必要があります。

またこうした生産者への支払いに関してもスペシャルティーだと、生産者のコーヒーが売れてから(入金がされてから)の支払いになりますが、コマーシャルだと在庫として輸出業者が生産者からコーヒーを購入する場合もあります。

換金速度が異なるので、いくら利益が高くてもキャッシュフローが回らないと、生産者は生活が成り立ちません。こうしたクレジットラインも輸出業者や地元の農協が提供しているのです。

ではダイレクトトレードとは一体????

上記の通り、輸出業者を兼ねる生産者でなければ生産者に直接支払うことができません。この点においてはスペシャルティーもコマーシャルも同じです。

では何をもってダイレクトなのか?

・・・・よくわからないので、購入のパターンをいくつか見てみます。

  • 商社が輸入
    • 商社が生産国の輸出業者に対して支払い
  • ロースターが輸入
    • ロースターが生産国の輸出業者に対して支払い
    • 又は、商社に代行輸入を依頼⇒商社が輸出業者に対して支払い
  • 輸入業者(ブローカー等)が輸入
    • 輸入業者が生産国の輸出業者に対して支払い
    • 又は、商社に代行輸入を依頼⇒商社が輸出業者に対して支払い

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あれ?

みんな同じですね(;・∀・)

お金の払い先は同じなので、支払っている人が変わるだけですね。

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という事は、ダイレクトトレードは“消費国国内での流通の違い”を指すのでしょうか?

ロースターが自分で輸入して、自分で焙煎して販売することが“ダイレクトトレード”なのでしょうか?

しかし商社の立場から見れば自分たちの在庫となったコーヒーは“ダイレクトトレード”で買った事になっています。

また商社の買い付けツアーに参加するロースターは「産地で買ってきた」という風にPRしてたりします。輸入は商社が行うのですが・・・。

実際にスペシャルティーロースターでは商社に代行輸入を依頼しているところも多いです。そもそもの物量が違うし、適用される金利も、もろもろのコストも、商社の手数料を考えたとしてもリスクが高く割高になってしまうからです。

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どういうこっちゃ????????????????

中間業者は悪者??

スペシャルティー業界だと大体悪玉として挙げられるのが流通の中間業者です。消費国だと商社だったり、生産国だとブローカーやチェリーの仲買人などがやり玉にあがります。

これらは“流通に必要な枠組みの一つ”なのですが、生産者の上前を撥ねる邪悪な存在みたいに言われます。

そういったあくどい業者も確か存在するでしょうが、これらはちゃんと存在する理由があります。

例えば通称“コヨーテ”と揶揄されるチェリーの仲買人ですが、エルサルバドルでは個人の農家がウエットミル=水洗所を持っていることはまれなので、基本的にチェリーを売ることで生計を立てています。

この時、近くにウエットミルがないと自分でそこまで運ばないといけない訳です。もちろん輸出業者や農協が回収することもあるでしょうが、農協と言えど物流を全て自前で行うのは困難です。なので、中間流通業者である仲買人に販売するとすごく楽です。

また仲買人は買い叩くとも言われますが基本的に相場に準じています。例えばある農園が「このロットのクオリティーはいまいちなんだけど、すぐに販売してお金が欲しい」といった場合に、仲買人に売ることで現金を早く得ることができたりします。だから販売先の一つのオプションなんですね。もちろんスペシャルティーを扱う仲買人もいます。

またインドネシアなどでは生産者単位が細かすぎるので、仲買人(コレクターという)に販売することが当たり前になっていることがあります。こうした仲買人は農協や輸出業者と連携しており、地域のウエットパーチメント(アサラン)を収集してロットを形成したりします。

このようにそれぞれの国や物流事情があるので一概に悪者にしちゃいけないんです。

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また商社も消費国では悪者のイメージがあり、中間マージンを中抜きしていると言われますが、そもそも原料なのでそれほど利益を乗せてもあまり意味が無かったりします。原料商売は結局ボリューム=量が重要なので、商社がとるマージンはたかが知れています。

それよりロースターは商社を使う事で、コーヒーの先物契約ができるし、支払いは引き取りごとに起算されるし、品質に問題があったら返品できるし、支払いは月末締めの翌月末払いでOKなので、お金的に全然メリットがあります。商社がリスクを負ってくれるので。

これが、ロースターが自分で輸入したら、代金は全額前払いだし、倉庫は自分で契約しなきゃいけないし、物流は自分で組まなきゃいけないし、品質に問題があったら自分でクレームしなきゃいけないし、そもそも個人だと金利も倉庫保管料も手数料も全て割高になります。

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そもそも一番マージン抜いているのは何を隠そう“ロースター/焙煎業者”ですからね(Roast Design Coffeeも当然含まれます)。もちろんコストは色々かかってるし、そういう商売の形態だからってのもあるんですけど、ロースターは小売りだと大体原料の6倍くらいの価格で販売してるので、中間業者の事をそんなに悪しざまにいう事できなかったりして(/ω\)。うへへへ。

ただロースターもぼろ儲けしている訳ではないので、誤解無き様にお願いします。これだけ利をとらないと商売として成り立たないのです(家賃や人件費が払えない)。

じゃあダイレクトトレードって??

という事で、物流サイドでは明確な違いが判りませんでしたね。・・・・別の言い方をすれば物理的に変わりようがないとも言えます(物を運ぶのは大変ってこと)。

こうした考察を進めてみると、やはり、一番大事なポイントは、“細かいトレーサビリティー”だと言えます。

もっと強引に言うと“マイクロロット”を買うことが“ダイレクトトレード”にあたるのかもしれません

前回のサードウエーブ編でお話しましたが20年以上前は得られる情報には限りがあり、小さい単一農園までトレースすることができませんでした。やっと今頃になって3ha程度の小さい農園名や位置が分かるようになってきましたが、トレーサビリティーの細分化が判別できる体制になるまで、つまり生産国の仕組みが整うまで待たなければいけなかったのです。

今でも多くの生産国においてはまだまだたどり切れていないところがほとんどです。

という訳で、農園主の顔や名前、マイクロクライメット=テロワールが判別できるコーヒーを買うことが、“ダイレクトトレード”と言えるのかもしれませんね。

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愛の打算なき等価交換とは一体!?

我こそは愛のスペシャルティーブローカー・・・・

愛のトレーサビリティーを届ける、

Love Trader♡である!!!!!!!!!!!!!