こんにちはー。Coffee Fanatic三神です。

最近のCOE(Cup of Excellence)は外部機関との提携を始めて、正しい品種の遺伝的裏付けを獲得しようと頑張っています。

基本的にはまだ生産者の自己申告制なので、ちょっと怪しいところもありますが、さすがにエントリー数が300~500位あるので、全てを検査するのはまだまだ難しいでしょうねー。

今日は2021年の前半のオークションなどでCOEが発表した品種の内訳と、まだご紹介していない品種や初見の品種をピックアップしてみましたー(^○^)

【今回ご紹介の方々】

  • Bourbon Aji
  • H3
  • Gesha
  • Oro Azteca
  • Dilla Algue
  • Elefante
  • San Roque Kenia
  • Esperanza
  • Milenio

*Gesha種に関してはEthiopia以外の国のものはいわゆるPanama Geisha種(Gesha表記になっている)になります。エチオピアCOEのGesha種は別系統なのでお気をつけ下さい!!

*なお”Blended”と書かれているものは品種が混合しているロットと言う意味です。

それでは出品された品種の内訳と、新品種のご紹介をします♡

Colombia COE

  • Gesha 34.3%
  • Tabi 4.3%
  • Bourbon 26.1%
  • Bourbon Aji 4.3% (Aji=唐辛子)
  • Bourbon Rosado 17.4%
  • Catillo 4.3%
  • Caturra 4.3%
  • Chiroso 8.7%

Bourbon Aji(ブルボン・アヒ)赤色品種

エチオピア原生種(と考えられる)。2021年のコロンビアCOEで6位に入賞したHuila県、Pitalito(ピタリート)地区にあるLa Guaca(ラ・グアカ)農園で発見された品種です。唐辛子のようなスパイシーな香りがチェリーから感じられたことから、オーナーのJose Salazar氏がBourbon “Aji”(アヒ=唐辛子)と名づけました。・・・・唐辛子ブルボン!!(≧◇≦)

COEがRD2 Visionに依頼して行った調査において、Bourbon Aji種はBourbon種には属さない別系統の品種であることが分かりました。さらこの品種はコスタリカのCATIEの標本にも存在せず、今までに確認されていない新たなエチオピア原生種であることが判明しました(コロンビアはWush Wush種といい、Chiroso種といい、伝播系統が不明のエチオピア原生種が多いなぁ・・・・密輸??(・ω・)ノ)。

COEのカッピングプロファイルによると、Black Cherry、Grape、Chocolate、Dark Sugar、Complex等のコメントがあるので、やや質感は重く、ベリーや酒石酸系の甘さを持った特徴があるようですね。甘くて質感がしっかりしているのがこの品種の特徴と言えそうです。

Nicaragua COE

  • Typica 4.3%
  • Blended 13%
  • Catuai 8.7%
  • Catuai Rojo 13%
  • Caturra 8.7%
  • Geisha 4.3%
  • H1 4.3%
  • Java 8.7%
  • Maracaturra 13%
  • Maragogype 13%
  • Pacamara 8.7%

Nicaragua NW

  • Blended 11%
  • Caturra 11.1%
  • H3 11.1%
  • Maracaturrra 22.2%
  • Marsellesa 11.1%
  • Obata 11.1%
  • Pacamara 11.1%
  • Parainema 11.1%

H3(エイチスリー)赤色品種 *F1品種

F1系品種。エチオピア原生種E531種とCaturra種との交配種です。F1品種はF1 Hybridとも言われるのですが、このH3種はTimor Hybridの系統に属さず、ロブスタの遺伝的系譜に入りません。ちょっとややこしいですね(汗)。遺伝子移入を行われていない交配種です。次世代に特徴が変異してしまうため(先祖の別の遺伝特徴が発現してしまう)一代限りのF1品種として扱われています。

なおE531種は1964/65年にFAO(Food and Agriculture Organization of United Nations)によってエチオピアの西、Illubabora(イルバボア)ゾーンから採取された品種です。

開発においてはフランスのCIRAD、メキシコのPROMCAFE、コスタリカのCATIEが関わりました。さび病の耐性を少し持っているのですが、実は2000年代以降の種子選別が完了していません。しかしフィールドテストにおいてカップクオリティーが抜きんでていたことが農家から好感されて採用に至りました。

H3種も両親の遺伝特性が離れているので品種として頑強なF1種ですが、栽培するためには研究所などから種苗を購入する必要があります。

H3種はコロンビアのEl Satuario農園とコスタリカのコラボレーションプロジェクトでカッピングしたことがあります。確かコスタリカの有名マイクロミルであるHerbazuのロットだったと思います。明確なエチオピアライクではありませんでしたが、アフリカ系の明るい酸と甘さが感じられ、かなり印象度の高いコーヒーでした。まあ、Herbazu周辺のテロワールがそもそも優秀なので、おいしくない訳ないですけどね(笑)。

コスタリカにおけるエチオピア原生種との掛け合わせでは、他にH15種、H17種、H19種、Esperanza(L4A5)、L2A30種などもあるそうです。

Ethiopia COE

  • 74110 23.3%
  • 74112 33.3%
  • 74158 20%
  • 74165 3.3%
  • Gesha 3.3%(JARC承認品種)
  • Heirloom 3.3%
  • Heirloom Typica 3.3%
  • Kurume 6.7%
  • Typica 3.3%

Ethiopia NW

  • 74110 22.2%
  • 74112 44.4%
  • 74158 11.1%
  • Heirloom Typica 11.1%
  • Kurume 11.1%

Gesha(ゲシャ)赤色品種

エチオピア原生種。中米に伝播したGeisha(ゲシャ)とは別の経路で戻ってきた品種で、パナマのEsmeralda 農園が脚光を浴びる以前にエチオピアで2000年代に再認知された“Gesha(ゲシャ)種”です。以前にご紹介したGesha VillageのGori Gesha種、Gesha1931種とはまた別のものになります。

1930年代にエチオピア南西のGesha村から得られた種子はケニア、ウガンダ、タンザニア、コスタリカ、パナマ等と伝播していったのですが、多くの研究所を渡り歩く中で、インドとポルトガルに伝播したものがあります。インド系統は1968年にエチオピアに再輸入され、ポルトガルのCFIC研究所(Centro de Investigacao das Ferrungens do Cafeero)からの系統は1984年にエチオピアへの帰還を果たしました。

エチオピアのJARC(Jimma Agricultural Research Center)はこの2系統のさび病への耐性をテストしましたが、ポルトガル系統の方が低地における耐性をより示したため、こちらの系統が採用されて2002年に配布承認を受けました(インド系統はJARCに保管されている)。

パナマに渡ったいわゆるGeisha種といくつかの近似性はあるものの、他のアラビカ種にくらべてGesha種自体に遺伝的多様性が認められるため、バリエーションが多くなっているようです(同じGesha種でも新芽がブロンズ、グリーンの両タイプある)。

カップは・・・・。ちょっとわからないですねー。一応COEの品種記載は生産者申告がベースになっているため少しあいまいである可能性があります。ファナティックもさすがにエチオピアのGesha種はカップしたことないです。・・・・なんとなくJava種みたいな感じかな?と想像しておきます(笑)。

Mexico COE

  • Bourbon 3.3%
  • Blended 36.7%
  • Caturra 6.7%
  • Gesha 23.3%
  • Marsellesa 13.3%
  • Oro Azteca 3.3%
  • Pache 3.3%
  • Sarchi 3.3%
  • Typica 6.7%

Mexico NW

  • Blended 62.5%
  • Colombia 12.5%
  • Costa Rica 95 12.5%
  • Garnica 12.5%

Oro Aztaca(オロ・アステカ)赤色品種 *Catimorグループ

Hybrid系品種。Timor Hybrid 832/1種とCaturra種の交配種であるCatimor系ハイブリッドです。Oro(オロ)=金という意味があるので“アステカゴールド”という景気のいい名前ですね。

メキシコのINIFAP(Institute of Forestry, Agriculture and Livestock Research)にて15年に渡って研究されていた品種で、同国で初めて開発承認された国産耐性種です。さび病に耐性を持ちますが、別の病気であるOjo de Gallo(オホ・デ・ガヨ)に弱い特徴を持ちます。

生産性がかなり高く、1ヘクタール辺り35-52キンタルのパーチメントが収穫可能で、これは多産なCatuura種より37%多い計算(国内生産比)になります。

研究によるとChiapas、Oaxaca、Puebla、Veracruz(チアパス、オアハカ、プエブラ、ベラクルス)各県の標高600-1300mの生産環境に適しているとの事です(主要生産県全部に適合しているのね)。

いやー初めて聞きましたね!この品種。カップクオリティーは良いとされているので、COEに入賞できるくらいポテンシャルがあるってことですね。カップしたことはないですが、その内味わってみたいですな!!

Guatemala COE

  • Bourbon 3.6%
  • Blended 14.3%
  • Gesha 46.4%
  • Java 3.6%
  • Maragogype 3.6%
  • Pacamara 25%
  • SL 28 3.6%

Guatemala NW

  • Bourbon 27.3%
  • Dilla Algue(Alghe)9.1%
  • Gesha 18.2%
  • Blended 9.1%
  • Maracaturra 9.1%
  • Pacamara 18.2%
  • Parainema 9.1%

Dilla Algue/Alghe(ディジャ・アルゲ)赤品種

エチオピア原生種。エチオピアのDilla Alghe(ディラ・アルゲ)という町の近くで発見された品種です。Google Mapで調べると、Algeという町がIlubaboraゾーンの方にあり、Dillaという町がGedeoゾーンにあるのですが、一体どっちかしらね?(・ω・)ノ

樹高は高く、横枝は広く伸び、収量はあまり多くないものの、実は均一に熟すそうです。新芽は赤みがかっており、病気などには弱い品種です。

コスタリカの南部、パナマの国境に近いBiolley(ビオレイ)地区にあるCoffea Diversa(コフィア・ディベルサ)農園でよく扱っている品種ですね。#2742と#4100の数種バリエーションがあるようで、この農園物は日本だとアタカ通商さんが扱っています。

グアテマラにはコスタリカのCATIEを介して伝わったのかもしれませんね。

カップに関していうと、それほどエチオピアライクな印象はなかったですね。やや酸に明るさは出やすいかもしれません。特に目立った個性はありませんが、甘さ、酸、質感などの全体的なバランスは良さそうな感じがします。

El Salvador COE

  • Bernardia 8.3%
  • Bourbon 8.3%
  • Blended 4.2%
  • Gesha 16.7%
  • Pacamara 50%
  • SL 28 8.3%
  • SL 34 4.2%

El Salvador NW

  • Bourbon 7.1%
  • Blended 7.1%
  • Elefante 7.1% 
  • Gesha 14.3%
  • Pacamara 50%
  • SL 28 14.3%

Elefante/ Bourbon Elefante(エレファンテ/ ブルボン・エレファンテ)赤色品種

エチオピア原生種×Bourbon-Typicaグループ。2021年のエルサルバドルのNational Winnerに入賞したNueva Granada(ヌエバ・グラナダ)農園で発見された品種です。8年前に発見された後、WCR(World Coffee Research)に調査を依頼したところ、エチオピアの原生種とBourbon種の遺伝子の痕跡があることが分かりました。

数種のバリエーションが確認されており、現在も品種選抜を農園内で行っているのですが、別ロットのElefante種は2017年のCOEで3位。2018年のCOEで7位に入賞した実績があります。

実の密度は通常のBourbon種の2倍程度あり、果汁にいたっては4倍くらいの量があるとの事です。

ファナティックはカップ行っているはずなのですが、すいません・・・・。あんまり覚えてません・・・・(/ω\)。上位に食い込んでいたのでBourbon種の割にはかなり甘さとボディーが強く、リンゴのようなニュアンスだったようなイメージがあります。まあ・・・それほど際立った特徴がなかったので1位を取るのは無理な感じでしたが、正統派なフレーバープロファイル形態と言えるかもしれませんね。

Honduras COE

  • Bourbon 4%
  • Gesha 24%
  • Lempira 4%
  • Pacamara 4%
  • Pacamara Amarillo 4%
  • Pacas 16%
  • Parainema 28%
  • Blended 4%
  • SL 28 4%
  • Typica 8%

Honduras NW

  • Gesha 14.3%
  • Parainema 85.7%

・・・・該当なし・・・・。

コスタリカ番外編

コスタリカCOEの品種内訳のデータがまだ開示されていなかったので、番外編としてコスタリカで植えられている品種をいくつか取り上げましたー!!

San Roque Kenia(サン・ロケ・ケニア)赤色品種 2022.10.29追記!!

スターバックスがタンザニアに所有するFarmer Support Centerで確認された品種だそうです。この品種はコスタリカのWest Valley地方のGrecia(グレシア)にあるSan Roque地区にもちこまれて、栽培が始まりました。名前はこのサン・ロケからとられたのですが、タンザニア出身なのにSan Roque ”Kenia”と呼ぶあたりに、タンザニアの残念さがひしひしと感じられます(´Д⊂ヽ。うぽ。

DNA的にSL種系統なのかはちょっとわかりませんが、味わいはSL種に近く、明るくて良好なので、最近のCOEでは入賞実績がかなり多くなっています。下記のように以前も書いてますが、勝手にスタバの品種に名前をつけて大丈夫なのかしら・・・・(;’∀’)。

系統不明品種。おそらくHybrid系の品種だとファナティックは思いますが、定かではありません。

コスタリカにスターバックスが所有するHacienda Alsacia(アシエンダ・アルサシア)という農園があるのですが、San Roque種はここで確認された品種です。スターバックスのHPではさび病に耐性があり、カップクオリティーの高い品種が開発されたとあります。ですが、この品種の正式な名称が記載されていません。

Hacienda Alsacia

コスタリカ帰りの駐在員に聞いてみたところ、なんでも輸出業者である〇xclusive Coffeesの〇ランシスコ・〇ナとそのパートナーである〇rumas農園の〇ァン・〇モンが、SL種に木の形が似ているから、”San Roque Kenia”と名づけたそうです。当然ながら遺伝的裏付けが取れていないです。まあ、スタバの方ではリサーチされているとは思いますが・・・。

それにしても、同じような経緯で名づけられたTypica Mejorado種と同じくかなり怪しい品種ですね(Typica Mejoradoはエクアドルのネスレの農園で開発された品種でした)・・・。勝手にスタバの農園の品種に名前つけていいのかしら・・・・(汗)?しかも他の農園に苗が出回ってるし・・・・。なんだか危険な香りが・・・(;・∀・)。

カップ?・・・・よくわからないですねー。COEの場合、品種の名乗りが農家の自己申告制なので、ちょっとこの品種に関しては新しいという事もあって整合性がつかめないですねー。まあSL種に近い味があるのかもしれませんが・・・・・・・。うぽ。

Esperanza(エスペランサ)赤色品種 F1品種 *Sarchimor系

F1 Hybrid系品種。エチオピア原生種であるE25種とSarchimor T5296種との交配種で、上記で触れたH3の兄弟にあたる品種です。高いカップクオリティーと病気への耐性を持ち、特にOjo de Galloなどの菌類系の病気に耐性を持っています。

ペルー農務省資料より(Cetnroamericano種やCasiopea種等の記載もありますね)

コスタリカにあるFinca Aquiares(フィンカ・アキアレス)農園で植えられている品種で“Esperanza(希望)”という名はオーナーのDiego Robelo氏が名づけたそうです。

Finca Aquiares

この品種も遠い遺伝的特性を持った品種同士の掛け合わせのF1品種です。次世代で別の遺伝子が発現してしまうため一代限りの品種です。種苗は研究所などから購入する必要があります。

ファナティックはまだこの品種をカップしたことないです。その内試してみたいですね!!

Milenio/Millennium H10(ミレニオ/ミレニアム エイチテン)赤色品種 F1品種 *Sarchimor系 

F1 Hybrid系品種。エチオピア原生種であるRume Sudan種とSarchimor T5269種との交配種です。以前にちょっとご紹介したことあります。フランスのCIRAD、メキシコのPROMCAFE、コスタリカのCATIEが共同で開発した初期のF1品種群にあたります。

F1種なので次世代に種苗を残すことができず、栽培において農家は研究所などから種苗を購入する必要があります。病気への耐性、干ばつへの耐性、高収量、カップクオリティーなど、複数の特徴を意図的に発現させるF1系品種はここ10年位で発展を遂げた新しい品種開発の分野となっていますね。

Milenio種はさび病に耐性があるものの、Nematode(根に寄生する線虫)には耐性がないようですね。

上記で触れた、コロンビアのEl Santuario関連の生産地共同プロジェクトでは、コスタリカ、メキシコ、ブラジルで特殊なロットが数多く作られました。この一環でメキシコかコスタリカのいずれかのロットでMilenio種の名前があった記憶があります・・・・。

ファナティックはおそらくコスタリカのMilenio種をカップしたような気がします。既存の中米物でありがちな、ナッツ臭や青臭さはなく、割ときれいにまとまっていたと思います。

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とりあえずこんなところですかねー?

また面白い品種が出てきたらその都度ご紹介しますですー。

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明日のスターは誰だ!?(≧◇≦)

次の品種シンデレラクイーン(なんだそれ?)に輝くのは・・・・

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貴方かもしれないよ!!!!!!?

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スター発掘オーディション( *´艸`)・・・・・

投票する・・・・・・?