Coffee Fanaticみかみりょうです。

ひっぱりにひっぱってきた硬度と味の関係ですが、やっとこさ、ここらで触れてみたいと思います。

でも引っ張った割にそんなに大したコンテンツじゃなかったらどうしよう・・・。

ううん!そんなことない!

勇気を出して踏み出してみるわ!!

とう!!

・・・。

味の相互作用

前回も触れた味の種類ですが、“甘味”、“塩味”、“酸味”、“苦味”、“旨味”の5種類があり、5味とも言われます(漢方などの中医学だと、旨味の代わりに辛味になっていますね)。

これらの味は単一あるいは複数で食物に存在してますが、それぞれの味の組み合わせによって感じ方が変わります。その作用は下記の4種類があって、これらを総称して“味の相互作用”と言います。

  • 対比効果
  • 抑制効果
  • 相乗効果
  • 変調効果

恋愛効果はないのかぁ・・・。がっくり。

対比効果

2種類以上の味を混合した時に、優位に感じられる味が強調されます。

例としては・・・

  • あんこを砂糖で煮るときに一つまみの塩を入れる(甘味+塩味)
  • スイカに塩をかける(甘味+塩味)
  • メロンに生ハムをのせる(甘味+塩味)
  • 味噌汁に出汁を入れる(旨味+塩味)

*先頭の味が強調されます

コーヒーの場合だと、水の硬度が関係してきます。硬度はそれぞれカルシウム塩、とマグネシウム塩の含有率の指標ですが、これらのミネラル塩は疑似的に塩味ととらえることができます。なので、ある程度硬度のある水を使った方がコーヒーの甘さやフレーバーがしっかり感じられるのです

実際に実験してみると硬度の低い方が繊細な印象。硬度が高いと対比効果によって味がはっきりしてきます(抽出過多Over傾向)。そして高硬度の方が、粘性があるので、液体も重たくなり重厚感が増します。

しかしながらミネラル塩は若干苦味やエグ味も感じられるので液体のきれいさを阻害します。酸も印象が弱くなっていくので、検証をしながら好みの味になる硬度を選定するのがベストですねー。

自分が競技者サイドで関わる大会ではRO水などの超低硬度を最近使っていますが、個人的な感じだと一般的に硬度は100ppm位が上限かなぁ?・・・と思っています。それ以上高いとクリーンカップが維持できない・・・。SCAAの推奨値は125~175ppmですけど、たぶん今のトレンドだと高いと思いますです。

ちなみに東京の水道水の平均硬度は60ppmらしいです。

昔コントレックスで実験してみたけど、あれはすごかったなぁ・・・。なんてったって硬度1,468ppmだもんな・・・(かちかち)。

お湯注いだときのクラストは通常の2倍位に盛り上がりましたよ。恐らく多すぎるミネラル塩がコーヒーの成分と結合してCO2が多く発生してたんでしょうね(たぶん)。フレーバー成分も化合して違う物質に変質したかも・・・。

ん?味はどうだったかって?

・・・ちょーエグくて、おいしくなかったよー(涙)。

フレーバーは怒涛の硬度に打ち消されてしまいましたね。

酸味・・・どこ行った?

べっぽ。

抑制効果

2種類以上の味を混合した時に、1つ以上の味が弱くなる現象です。

例としては・・・

  • 深煎りのエスプレッソに砂糖を入れる(苦味+甘味)
  • レモン汁に砂糖を入れる(酸味+甘味)
  • さんまのワタにカボスをかける(苦味+酸味)

            *先頭の味が弱くなります

苦いエスプレッソに砂糖を入れるのはイタリアでは定番ですね。甘さが苦味を緩和してくれます。

なおCOE等のカッピングカリブレーションで実験することがあるのですが、酸味の溶液に甘味を足して、どのように印象が変化したかを審査員全員で体験することが昔ありました。

酸味だけだと単調なフレーバーなのですが、甘さが加わると複雑性が増すと同時に強い酸の印象が弱まって飲みやすくなります

この作業は甘さが強いコーヒーの評価は高く成りえるという事を体験し、実証するための物でした。(でも甘いだけだと野暮ったいコーヒーだから酸は必要よ)

標高の高いコーヒーは明確な酸のキャラクターがあるのですが、甘さがないとその強さだけが強調されてしまうのですねー。

相乗効果

同じ種類の味を複数混合した時に、より強調される現象です。

例としては・・・

  • かつおと昆布の混合出汁(旨味+旨味)
  • ミックスジュース(甘味+甘味or酸味+酸味)

            *同じ味が強調されます

上記のCOEのカリブレーションではクエン酸、リンゴ酸、酒石酸などを最初個々にテイスティングして単体の味を確かめます。

その後クエン酸にリンゴ酸を足してどう変化したかを確かめ、そのあとに酒石酸を足してさらにどう変わったかを確認するという実験ですね。

実際、酸の種類が増えれば増えるほど、フレーバーは豊かになっていきました。

なので酸の種類が豊富であると、コーヒーはより一層魅力的な印象になるのですね。

ただ気を付けたいのは、甘くて酸の種類が多いコーヒーが必ずいいとは限らないという事です。シンプルでも特徴的なフレーバーが1つあればそれはそれでいいし、派手ではなくても味のバランスがいいコーヒーも素晴らしいと思います。(シンプルな酸も好き。さっぱりしてて小気味いい♡)

コーヒーは多様性だからね。みんなケニア(あるいはエチオピアのナチュラル)みたいな味だったらつまんないもんね。

変調効果

2種類以上の異なる味を続けて味わったときに、後で摂取した味が変化する現象です。

例として・・・

  • 塩水を飲んでから水を飲むと甘く感じる(塩味→甘味)
  • イカの塩辛を食べてからワインを飲むと苦く感じる(旨味/塩味→苦味)
  • ミラクルフルーツを食べた後に酸味を取ると甘く感じる(酸味→甘味)

            *後の味に変化する

いわゆる飲み合わせ、“マリアージュ”や“ペアリング”などにも関わってくる味覚効果です。(ペアリングについてはまた別の時にやりますね・・・。)

コーヒーの場合だとカッピングなどのテイスティングで重要になりますね。

検体の多さに関わらず、コーヒーのカッピングを行う場合、最初にコーヒーで舌慣らししておくと、フレーバーがとりやすくなります。コーヒーは浅煎りといえどある程度苦味があるものなので、まず数カップとって苦味に舌を慣らさないと、その苦味に阻害されてフレーバーや酸、甘味がわかりずらいのです。

カッピングの経験を長く積んでる人ほど、水で口を洗うといったことはしませんね。水で洗ってしまうと、またコーヒーで舌慣らしをする時間を取らないといけないので・・・。ただ水分はこまめにとっておかないと結構脱水になりやすいので気を付けてくださいね♡。

特にWBCやWCTCなどの大会に参加、もしくは審査にはいる人は必ず直前にコーヒーを含んでから味覚チェックに臨むことがほとんどです。

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ライバルがいるからこそ、恋は燃え上がる。

さしずめ貴様(ライバル)は俺にとってのささいな“苦み”だな!!(意味不明)

ふはははははははははは!!!